第36話 家族
蜘蛛の会話の囲みを変更しました。
第36話 家族
ライムをどう捉えているか。
う~ん……どう言えば伝わるだろうか?
「友達はなんか遠いし、仲間もまだ遠い。相棒ってのは、あとちょっとだが……。そうだな、家族ってのが一番近いかな?」
親友みたいに一緒にいて楽しいし、今では戦闘で頼りにもなる。
相棒よりも格は上で、尚且つ手離し難い仲間。
それらの要素を全部ひっくるめて家族。
血の繋がりは無いが家族だ。
一番しっくり来る。
『そうか、家族か』
俺の答えを聞いて考えている。
こいつ、最近考えている事が多いな。
考えても答えが出ないことはあるが、探すことが経験になる。
俺達が現れたことでこいつの世界も大きく変わったんだろう。
責任くらいとってやるさ。
『なあ、私も……その家族に加えてくれないか?』
「へ?」
いきなりびっくりすることを言い出した。
取り合えず蜘蛛の話を聞くか……。
『私はいままでここで眷属と過ごしてきた。私を群れの頭として扱ってくれた。それなりに幸せだったと言えるだろう。だが、お前は私に新しいことを知る喜びを教えてくれた。魔物の死後の事のようにな。』
そこで蜘蛛は、少し悲しげに笑ったような気がした。
俺は魔物の素材化現象について聞くべきでは無かったと後悔した。
もっと言動について気を配らなければ……。
自分の至らなさを痛感していると蜘蛛が言葉を続ける。
『お前達に着いていけばこれからその機会も増えるだろう。それに、もうここには仲間はいない。広すぎる巣が残るだけだ。だから、私をお前達の新しい家族に加えて欲しい』
懇願の言葉を告げる。
仲間が居たのにこれからはいない。
どこかで仲間の影を探し、居ないことに改めて気付く。
それはとても寂しいことだ。
ここまで手を出した以上責任は取るべきだしな。
《蜘蛛が仲間になりたそうな目でこちらを見ている。使役しますか?yes/no》
yesだな。
《蜘蛛の使役に成功しました。このまま王の器の能力『絆の干渉』を使用して絆の繋がりを創りますか?yes/no》
これには相手の許可がいる。
「これから『絆』を創るが良いか?」
『今さら問題ない。どんと来いだ』
そうか、なら……yes!
《……『絆』の構築を確認しました。これにて構築シークエンスを終了致します》
……どうやら終わったようだ。
これで新しく家族が増えたな。
「終わったぞ。これでお前も家族の一員だ」
『よろしくね!』
俺とライムの歓迎に、蜘蛛は
『ああ、よろしく頼む』
と、鈴が転がるような声で言うのであった。
――――――――――――――――――
「ところで、お前の名前、まだ無いよな」
風呂から上がった後、気付いた紫苑。
今さらである。
『ああ、いままで名前で呼ばれたことは無いな』
「そうだな……お前の名前は……んん~……フィラムってのはどうだ?」
『フィラム、か……フィラム……。ふふふ、気に入った。私は今日からフィラムだ!』
どうやら気に入ってくれたようだ。
今回もぱっと思い付いたんだよな。
何でだろう。
『む……。なんだ?』
フィラムの体が鈍く輝き、震えだした。
これは進化の兆候だな。
『力が……湧いてくるぞ』
一段と強く輝いた後、そこには新しい姿の蜘蛛がいた。
白を基調に翠の配色は変わらない。
いや、寧ろその気品を高めたような気さえする。
姿は少し変わった。
大きさはほぼ変わらないまま、攻撃的な姿になった。
現に、両前足の鋭さが増している。
「わあ……素敵だよ、フィラム!おめでとう!」
「おめでとう、フィラム。また強くなったな」
風呂から上がって人化したライムと俺の称賛を受けて、
『ありがとう主、ライム』
伝心により、嬉しそうな感覚が伝わって来る。
楽しそうでなにより。
使役の件から、フィラムの俺に対する呼び方が変わった。
お前と呼んでいたのに、いつの間にか主と呼ぶようになっていた。
ライムの事は、ライム殿と呼ぼうとしていたが、ライムの要望によりライムのままとなった。
俺も名前呼びで良いと言ったのだが、そこはどうしても譲れないらしい。
さて、フィラムはどれくらいの強さなのか。
ステータス
フィラム 白女帝鋭脚蜘蛛
レベル:1
HP :4172/4172
MP :4863/4863
筋力 :5003
耐久 :4321
魔力 :4873
魔耐 :4283
敏捷 :5219
運 :75
スキル:ユニーク―蜘蛛糸の秘伝
戦闘術―爪撃術Lv5・毒撃Lv8
身体術―気配察知Lv4・魔力操作Lv3・魔力察知Lv4・熱源察知Lv4・壁面走行Lv7・隠密Lv5
耐性―毒耐性Lv6
エクストラ―念話・縮小・伝心
魔法:風魔法Lv7・闇魔法Lv1・毒魔法Lv6
称号:従者・堅き絆・女帝
『蜘蛛糸の秘伝』……蜘蛛が隠し、秘匿する技術。一部の蜘蛛のみが使うことを許された、正に秘伝の術。蜘蛛の糸で様々な事が出来るようになる。
『女帝』……群れのボスとして君臨した雌・女に送られる。能力の上昇に補正が掛かる。(運以外)
能力としては攻撃に片寄っている。
筋力・魔力・敏捷の能力が高く、高速機動で翻弄しつつ、重い一撃で決める戦い方か。
糸と毒を使ったトリッキーな戦い方でも行けそうな気がする。
きちんと能力上昇補正も持っているし、鍛えれば恐竜も恐れることは無いな。
これは勝てる。
「フィラムが進化したお陰で、一気に目標に近付いた。明日から準備を始めるからしっかり休むように。それじゃ、お休み」
「お休みなさい」
『お休み』
フィラムの名前の出所はスパティフィラムと言う花です。
花言葉が「清々しい」らしいです。
何だかぴったりですね。(自己完結)




