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~クラスまるごと召喚されました~勇者で魔王なので旅に出ます!?  作者: ねむ鯛
第二章 王都 ダンジョン編 
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第32話 白い蜘蛛

第32話 白い蜘蛛



部屋の中は辺り一面の黒。

周囲はおびただしい数の、動かない蜘蛛の魔物で一杯だった。


「これ……みんな死んでるの……?」


呆然としたライムが言葉を洩らす。

彼女は元々魔物だった身だ。

優しい彼女には、襲ってくる魔物は倒せても虐殺の後を見るのは辛いものがあるのだろう。


だが、ライムには悪いが今はそれどころではない。


今現在、俺たちは道中で魔物を倒す事によって、レベルを着実に上昇させてきた。

一体一なら負けることはまず無いし、一気に30体程の魔物が来ても、後の事を考えなければ限界突破で押しきれるだけの力を手に入れている。

2人ならなおさらだ。


だが、ここには50体以上の巨大な蜘蛛が倒れている。

一体でこれを引き起こした魔物がいたりするのなら、かなり危ない。

見たところ、外傷に焦げた後や濡れた後は無いので、魔法を使っていない可能性が大きい。

それに、倒されている魔物がなかなか消えない。

これについても良くわからないな。


とりあえず早く離れた方が無難だ。

近くに、強力な魔物がいるかもしれないのだから。


「ライム。ここから離れよう、危険だ」


「わかった……!?待ってご主人!まだ生きてる子がいるよ!」


「本当か?」


気配察知で周囲を確認して見ると確かに小さな反応があった。

この惨劇を引き起こした存在について、何か分かるかもしれないな。

反応があった場所に近寄ると、既にライムは着いていた。


「大丈夫?ぼくの声が聞こえる?」


ライムが揺すり起こしていた蜘蛛は、他と大きく違っていた。

その蜘蛛は他の蜘蛛から、守られるような立ち位置にいた。

他の蜘蛛と違い一回り体が小さい。

そして、最も目を引くのはその白い体だ。


触れるのも躊躇われるほどの純白の体。

その白を際立たせるような所々の翠がえもいわれぬ気品を醸し出している。

所謂、変異種と言うやつか。

ライムの声に気がついたのか蜘蛛の体が動いた。


「ご主人、回復してあげて?」


「わかったが、気を付けろよ。一応回復するが、油断はするな」


蜘蛛に〈回復リカバー〉の魔法を掛けた。

普通は魔物を回復なんてしないだろうが、ライムの頼みだ。

ライムはまだ光魔法の〈回復リカバー〉を使えないからな。


しかし、完全には回復させない。

敵対したらすぐに倒すためだ。

優先順位が高いのは勿論ライムだ。

変なことをすれば容赦はしない。


蜘蛛は、回復リカバーのお陰か体を動かし始めている。

が、まだまだ動けない様だ。

まだ完全には目が覚めていないのか状況には気付いていない。


蜘蛛と目が合った。


『人間か。くっ、殺せ』


くっころ頂きました。

魔物の癖に女騎士みたいな事を言うやつだな。

声が聞こえたのはこいつのスキルだろうか?

それよりもだ。


「おい、それは無いだろう。助けた相手に向かって殺せとは」


『何だと?私を助けたのか?お前達が』


「そうだ。その子の頼みだ。礼でも言っとけ」


『…………ありがとう』


「どういたしまして」


お礼を言われたライムはふんわりと笑った。

蜘蛛も照れているのか体を動かしている。


驚いたな。

理性のある魔物はライム以来だが、そんなにいるものなのか?

だが、会話が出来るなら話は早い。


「早速で悪いのだが、何が起こったんだ?」


『……とても強い魔物が現れ、襲われたのだ。私の眷属と共に戦ったが、生き残ったのは私だけだ。眷属達の無念を晴らすため、これから戦いを挑む』


「ちょっと待って。それって勝てるの?」


現状から想像し、結果を心配したライムが聞いた。


『……勝ち負けは関係ない。死んでいった眷属達の為にもここで逃げるわけにはいかないのだ』


………これは他の蜘蛛達の事を思ってなんだろうが、俺からしたら残念すぎる答えだな。


「おい、お前は……静かに」


蜘蛛に言葉を掛けようとした俺は、途中でやめた。

微かな振動が足元から伝わってくる。

地震…ではないな。

断続的に振動が起こっている。


『これは奴が……来る』


奴と言うのは恐らく、ここにいた魔物だろう。

足元から来る振動からして、とてもでかい魔物で確定だ。

強いやつと戦うのは楽しいが、今は勘弁して欲しかったな。

こいつから情報をもらってからにしたかったんだが。


「おい、取り合えず逃げるぞ」


『いや、私はここに残る。お前達は逃げてくれ。治療の礼だ。せめて時間は稼ぐ』


はぁ……頭の硬いやつだな。


「あのなぁ、こいつらはお前……ちっ、もう来るぞ」


地面の振動から、すぐそばまで来ていることはわかっていたが、気配察知の範囲に入り、すぐにここに到達することがわかった。

こいつを連れてここを離れたいが、言うことを聞かない。

どうすればいいか……


「ご主人、来たよ……」


「グガアアアアァァァァ!」


そいつは俺たちを視界に入れるなり、咆哮をあげる。

大音量の咆哮が俺たちを叩き、壁を震わせる。

金属を思わせる微かながらもくすんだ光沢に、巨大な頭と不釣り合いな小さな手。

前後に長い体に、長く、太く、しなやかな尾。


重金属恐竜ヘビィメタル・レックス。それが奴の名だ。私達は奴に歯が立たなかった』


悔しさをにじませた声を聞きながらも、奴から視線を外さない。


太古の昔、地球に存在したさとされている恐竜がそこにいた。

こいつは…強そうだ。

いつの間にかつり上がっていた口元を直し、恐竜と対峙する。



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