表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
~クラスまるごと召喚されました~勇者で魔王なので旅に出ます!?  作者: ねむ鯛
第二章 王都 ダンジョン編 
34/108

第29話 呪文ですね。わかります

第29話 呪文ですね。わかります



「なぜだ…………」


70層のボスを倒せば、帰るのは楽勝………と俺にも思ってた時期がありました。



風呂から上がった後、2日間かけて、遂に70層の扉の前まで来ることが出来た。

罠に掛かりかけたり、掛かったり、迷ったり。

まあ、色々あった。

やっぱり魔物の数が極端に少なく、1回しかエンカウントしなかった事が、2日で2階層も進めた要因だろう。

その魔物も虎ほどの強さは無く、ライムと2人で戦えば正直楽勝だった。


大きな蛇みたいな魔物で、鱗は赤く、火魔法と噛みつきによる攻撃を仕掛けてきた。

蛇が火魔法を使うと、ライムが『暴食』で吸収して数回ごとに放出し返してた。

数回分をまとめられた火魔法は、蛇の耐性を抜けてその身を焦がし、苦もなく倒すことが出来た。


……はい、実は俺なんもしてません。

1人で戦ってみたいって言ったので、俺が側で見守っていることを条件として許可した。

危なくなったらその都度手助けをするなり、サポートをするなりしようと思ったのだが、全く必要なかった。


正直、ちょっと嘗めてた。

ここまでだとは思わなかった。

魔法が飛んできて触れると、それこそ魔法のようにスッと消えるのだ。

実際は消えるのでは無く、吸収されているのがなお質が悪い。


相手が躍起になって魔法を打てば、吸いとられて強化。

警戒して魔法を使わなくても、魔法主体だとそれだけで詰む。

それこそ魔法キラーみたいな存在になっている。


さらに本人のスペックも高いので、接近戦でも負けることは少ないだろう。

今は、短剣を渡して剣術の獲得を頑張ってもらっている所だ。

様になっているので、すぐに習得できるのではないだろうか。


閑話休題それはさておき


俺たちは今、少し…いやかなり苦しい状況になっていた。


「なぜだ………」


本日2度目の俺の呟きは、何も起こすこと無く消えていった。


「どうしようか、ご主人」


俺が戸惑っているせいか、ライムも心なしか元気がない。

俺がしっかりしなくてどうするんだ。

自らに叱責を入れ、気持ちを切り替える。


「さて、困ったな。本当にどうしようか」


事実。

俺たちは佳境に立たされていた。

それも死活問題レベルで。


……開かないのだ、ボス部屋の扉が。


70層にたどり着き、部屋の前まで来た俺たちは、準備を整え、いざ行かん、ってな感じで扉に手をかけたのだが、びくともしなかった。

それはもう驚いた。

ボスを2人で倒して帰るんだ、と意気込んでいたら扉が開かないとはどういう了見してるんだろう。


これでは実力云々の前に詰んでいる。

このままでは帰れない。

いや…帰る術がない事は無いのだが。

そこで、いきなりライムが顔を輝かせた。


「ご主人!この扉、引いてみて!」


なるほど。

押して駄目なら引いてみろと。

そういうことですか。

恐れ入ります。


「よし、わかった。やってみよう」


全く、ライムは本当に頭が良いな。

ボスを倒したらしっかり褒めないとな。

俺の気がすまん。

扉に手をかけ


グッ。


………………。


グッ。


………………………………。


アレオカシイナ。


そうか、力が入れ足りないんだな。

……全力で引っ張ってやるよ。



その後色々と力づくで頑張ったが扉は開かなかった。

いや本当頑張ったんだぞ!?

1人で駄目なら2人でと、引っ張ったり、押したり、左右に開いたり、上下に移動させてみようとしたりと奮闘した。

しかし、そのすべてに扉は反応を示さず開くことはなかった。

勿論攻撃もした。

全く歯が立たなかったが。


「こうなったら最後の手段だ」


「最後の……手段……?」


疲れて座り込んだ俺はそう呟く。


「そうだ。こういう扉にはお決まりの方法がある」


「そうなの?」


「ああ、それは……呪文だ」


「呪文……?」


「そうだ。特定の呪文を唱えることで開くようになっている扉があるんだ。だから、その呪文を使ってみようと思う」


誰もが使ったことがあるであろう呪文にして、王道の呪文。


「開けごま!!」


……。


「開けごま!」


「扉よ、開け!」


「オーブンザドア!」


「さぁ扉よ開きたまえ!」


「その道を開き、導き、教え、我が力の前に答を捧げよ!開けごま!!」


………………。


「……鬱だ。死のう」


「ご主人!?」


通路の隅に体育座りをして、のの字を書きながら呟く。


「ほら、ご主人。まだ、呪文が間違ってるだけかもしれないじゃない?そんな事言わないで頑張ろうよ!」


気遣いの言葉が心に刺さる。

前にもこんなことあったな~。

もうやめて!俺のライフはもうゼロよ。


「ご主人、戻ってきて!ご主人~!」


ゆさゆさと揺すぶられながらも、落書きになった俺はその後、なかなか元に戻らなかったと言う。



――――――――――――――――――


羞恥プレーから復活した俺は、状況の確認をしていた。

冷静に考えた結果、幾つかの考えが出来た。


「今この状況で扉が開かない理由の、幾つかには思い至る」


「理由?」


「そうだ。1つ目は能力だ。これは単純に扉を開くだけの力が俺たちに無いって事だ。

2つ目は元からそう言う仕組みだと言う事だ。これだと上に登って帰る事は出来ない。

3つ目はダンジョンが変になって不具合が起きたと言う考えだ。正直これが一番正しいと思う。どう見ても今のダンジョンはおかしいからな。

4つ目は大穴でボスが扉を開けないようにしてるってことかな。

まあ、これはないと思う」


これで全部だな。

もう他に理由はない。

絶対ない。


「えっと、もう1つあるよ?呪文がまち……」


「これで全部だな」


「えっと、もう……」


「これで全部だな」


「……そうだね。」


悪いなライム。

これは俺も譲れないんだ。


「こうなると非常に不味いんだが、選択肢が1つしかない。このままダンジョンをクリアすることだ」


「このダンジョンをクリア……」


「そうだ。それ以外に生き残る道は無い」


俺の場合は食事が持たない。

飢えて死ぬだろう。

扉が直る事に一縷の望みをかけて、待っているだけだと、すぐに食料が尽きる。

だが、このダンジョンを進むのも危険だ。

それに食料が尽きるまでにクリア出来るとは思えない。

最下層が何層なのかわからないのだ。

間に合わない可能性も高いが、すぐそこがゴールと言う可能性もある。

八方塞がりか…?

こうなったら進みながらライムだけでも鍛えて……。


ガタッ。


その時背後からした音に振り向くと、何もなかった通路の中央に宝箱が出現していた。


……なんだ、あれは。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ