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~クラスまるごと召喚されました~勇者で魔王なので旅に出ます!?  作者: ねむ鯛
第二章 王都 ダンジョン編 
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第26話 決着

第26話 決着



さて、プランBを始めましょうか。

成功すれば数手で決まる。

一瞬の勝負だ。

決まったとしても勝ちとは言えない。

残念だが、今は正攻法を諦める。

これもまだ自分が弱いゆえ。

致し方ない。


虎は優越感に浸っているのか、警戒しているのか、こちらに手を出してこない。

ならばこちらから行くまで。


「〈螺旋氷槍スパイラル・アイスランス〉」


氷槍アイスランス〉の先端部分。

つまり穂の部分に、螺旋状の溝を刻み、高速回転させた物だ。

勿論氷自体も、分子の振動を抑えるイメージをして、温度を下げている。

ん?

これ、振動操作で振動数を下げたら強くなるんじゃないか?

まあ、プランBが成功したら試してみよう。

螺旋氷槍スパイラル・アイスランス〉は既に発射してしまったからな。


分割思考を全て割いて、魔法を発動した。

縦二列、横に五つが連なって、氷の槍が飛んでいくのは壮観だ。

この狭い通路では後ろに避けるしかない。

虎とてこれを食らえば痛い筈だ…と信じる。

虎は俺の予想通り、後ろに下がることで槍を避ける。

勿論氷槍と同じように、氷の爆発を巻き起こす。


「グアッ!」


着弾した所に深々と突き刺さり、氷を撒き散らしたお陰で虎の視界が霜で覆われる。

煩わしそうに唸る虎を気配察知で補足し……全力の突進を敢行する。


瞬歩での圧倒的加速。

こんな狭い通路で使えば、激突は必至。

だが、今はそれで良い。

全身全霊で剣虎にぶち当たるのだから。


身に纏った限界突破の青き輝きが、光の線を描きながら霜を突き抜ける。


「はああああぁぁぁぁあああっっっ!!」


左の腰だめに構えた剣を、気合いの掛け声と共に全力で抜き放つ。

野生の勘とでも言うのか。


「グガアッ!」


見えないはずの俺の剣に、自らの刃をぶつけてくる。

再び鍔迫り合いの様な状況。


(くそッ!なら……!)


馬鹿正直に押し合いをしていたら、再び吹き飛ばされて終わりだ。

ならば、力では戦わなければ良い。


虎の前足の力に逆らわず、受け流し、僅かな距離を取る。

そして……全力の激突を予測していたであろう虎の前足は、大きく振り抜かれ、その体はバランスを崩す。

それはまさに隙だらけで。

差し出された虎の頭に瞬歩。

至近距離から全力の突進のエネルギーを乗せた膝蹴りを叩き込む。

今回は虎が吹き飛んだ。


「グガッ!」


苦痛に声を詰まらせる剣虎。


「ぐ……!」


膝が鈍い痛みを訴えるも無視。

タイミングを見計らい魔法を発動させる。


「〈氷壁アイスウォール〉!」


虎の背後に氷の壁を作り出し、その滑走を無理やり止める。


「〈ボックス〉!」


左右と前方に氷の壁が出現し、さらに上も覆う。

立ち上がった虎が此方を睨み付け、咆哮と共に威嚇してくるが今更だ。

そんなもの、ただの隙でしかない。


「〈閃光フラッシュ〉!」


光魔法の閃光を発動。

俺の背後で光が弾け、周囲を白一色に染め上げる。

まともに光を見た虎は視界を奪われる。

光あるところに影ありってか。

強烈な光によって、虎の足元に色濃い影ができる。


影縛シャドウバインド!」


影で出来た鎖が、虎の体をこれでもかと縛り上げ、その動きを封じる。


「〈凍結フリーズ処女メイデン〉!」


ボックス〉を基礎に魔法を発動する。

東洋の処刑器具をモチーフにした氷の魔法が虎に襲いかかる。

無数の氷の棘が、体中を抉る。

虎の苦悶の叫びが周囲にこだまする。

このまま戦えば勝てそうか……?

だが、どうやら時間切れのようだ。

……残念だ。

最後の魔法を発動させる。


「〈土腕クレイアーム〉」


土の腕が盛り上がり、その拳を虎の……目の前の地面に叩きつけた。


土で出来た拳の下で……カチリ。


小気味の良い音と共に、ゴゴゴゴゴと揺れる地面。


残り時間零分。


聖を包んでいた光は、燐光のように周囲へその青を撒き散らして消えた。

限界突破の反動で訪れた、倦怠感と言うのもおこがましいほどの脱力感のせいで力が入らず、紫苑は膝から崩れ落ちながら思う。


(さあ、鬼が出るか蛇が出るか。150の運はどこまで俺の味方をしてくれるかな……)


「ガアアアアァァァァ!」


凍結の処女を力づくで破った虎が、勝どきの咆哮を上げる。

傷だらけの体をこちらに向け、眼前に倒れ伏す俺に飛びかからんと足に力をためる。


ああ、間に合わなかったか、とそれだけを思った。

それでも地面にうつ伏せたまま、視線を虎から逸らさない。


かくして……虎の上に大質量の天井が勢い良く落ちてきた。


スイッチを踏むと、天井の一部が下降してくるタイプで、棘のおまけ付きである。


視界が狭まっていく。

薄れ行く意識の中。

ああ、こいつは棘に縁があるんだなと、そんな、とりとめの無いことを考えた。


俺がプランとして思い付いたのは、虎から逃げている時に偶然見つけたトラップに嵌めることだった。

どんなトラップかわからないし、自分の力では無いので使いたく無かったのだが、生き残るために使わざるを得なかったと言うのが正直なところ。


自分としては、実力で勝ちたかった。

しかしここは弱肉強食の迷宮内部。

負ければ次はない。

戦うのは好きだが、死にたいわけではない。

逆に、もっと戦いたいから死ねない。

だから、不本意ながらも罠を使った。


ゴゴゴゴゴと、罠の装置はまだ、天井の降下の力を緩めない。

剣虎は背中の刃を使って、天井の棘に耐えていたようだったが、俺との戦闘のせいか、刃も折れた。


「ガアアアアァァァァァァァァア!」


やがて、耐えきれなくなった虎は天井に潰されその命を散らす。


『ライム、頼んだぞ……』


『わかったよ、ご主人。お疲れ様』


俺のポーチから出てきて縮小をとき、バランスボール大の大きさに戻ったライム。

そのまま、ライムに壁際まで運んでもらった。

鳴り続けるファンファーレの音に辟易しつつも、何かの魔法を使った記憶を最後に、俺は気を失った。



――――――――――――――


決着がずるかったですかね……?

それに近接戦闘がほとんど無かった。

戦闘描写が難しいです。

もっともっと精進しますので、これからもよろしくお願いします。







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