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~クラスまるごと召喚されました~勇者で魔王なので旅に出ます!?  作者: ねむ鯛
第二章 王都 ダンジョン編 
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第25話 戦闘狂は絶望しない

第25話 戦闘狂は絶望しない



…しつこい!

いつまで追って来るんだ。


「くそっ!」


そろそろ限界突破が時間切れになる。

そうなったらおしまいだ。

手も足も出ないまま、体中の剣?でズタズタにされるだろう


……いっそのこと戦うか?

今現在のスピードはほぼ互角。

となれば、身体能力的にも、強化中の今と同じくらいかもしれない。

だが、既に制限時間の大半を使ってしまっているため、途中で負ける可能性の方が大きい。

最初から戦うことを選択していれば……いや、それでも危険だった。


「グルアウウゥゥ」


後ろで剣虎が苛立ったような唸り声をあげている。

このままではじり貧だ。

それどころかすぐに勝負がつくだろう。

何か打開策を……

額に汗を滲ませながら考えていると、不意に。

危機察知が反応した。


己の勘とスキルが促すままに、全力で身を伏せる。

すると、さっきまで俺の頭があった場所を、大きな物体が通過した。


(あ、危ねー)


通過したのは言うまでもなく虎だ。

虎は前足の刃を使って、俺の首を刈り取りに来た。

驚くべきはその刃の長さだ。

最後に見たときは、せいぜい小ぶりなナイフ程度の物だったのだが、今は普通の剣や、刀等と変わらない長さを持っている。

恐らく、俺が左右に避けていれば、頭と体は永遠のお別れをしていたことだろう。

俺の回避は本当に紙一重だったわけだ。

もしかしたら、スキルの回避も役にたったのかもな。


そんなことを考えながらも俺は冷や汗が止まらない。

俺の上を通過したと言うことは、進路を塞がれたと言うことだ。

それに、伏せたと言うことは、止まったと言うことでもある。

零から加速しては逃げられない。

そう感じた。


今、向き直った虎と相対しているが、正直ちびりそうだ。

虎としては、まだ全力を出していなかったと言うのが正直な所だろう。

さっきの加速から見ても、恐らく逃げ切れない。

背を向けた瞬間にバサリと殺られるのは目に見えてる。


まさに絶望的状況。

しかし、俺はどこかで楽しんでいる。

そう感じた。

自覚すると共に冷や汗は止まり、大きな恐怖もおさまった。

勿論恐怖はある…いや、この場合は違う。

スリルと言った方が正しいような気がする。


失敗すれば死が待ち構えている。

それなのに、こんな状況で楽しんでいる自分は、正直救いようがないと思う。


まあ、恐怖で動けなくなるよりましだから良いとするか。

さて、どうやってこの状況から生き残るか。

……あれに賭けるか。

しかしあれに頼ると負けたような気がするが、生き残るためだ。

致し方ない。

それに、こいつに効くかどうかもわからないしな。

まあ、最後の手段と言うことで。


方針は決まった。

覚悟はもとより決まっている。

後はこいつと遊ぶだけ。


「さあ、殺ろうぜ。ネコちゃんよぉ!」


「グルアアアアァァァァァァァァアアアウ!」


残り時間、約3分。

絶望的な戦いが始まった。



まず、虎が動いた。

俺めがけて、凄まじい速度で飛びかかってくる。


「〈土壁クレイウォール〉!」


あらかじめ用意しておいた魔法を展開し、突進を止めるも、分厚い土の壁は所々崩れ、その突進の威力を物語っている。

食らえばただでは済まない。


俺もここからは全力だ。

この世界の魔法は、イメージによるところが大きい。

だから、その力を存分に使わせて貰う。


土壁によって通路は塞いだ。

壁を飛び越えて上から来るしかない。

その時に合わせて魔法発動させる。


……来た!

正直確率は五分五分だった。

虎にある程度の知能が備わっていれば、もう一度突進して壁を壊して目眩ましに使い、俺に攻撃していただろう。


俺の誘導に乗って、飛び越えてきた虎に全力の魔法を打ち込む。


「〈蒼炎の槍(ブレイズランス)〉!」


俺が発動したのは、ガスバーナー等でよく見る青い炎で型どった槍。

火槍ファイヤランスに、しっかりと空気を送り込んだもの。

簡単に言うと完全燃焼だったかな?


いくら素早い虎でもスキル無しで空中の移動は出来ない。

蒼炎の槍がその体に当たり、周囲に蒼を撒き散らす。

吹き飛ばされ、飛び越えた壁に当たる。

土壁はそれで限界を迎えた様で、崩れ落ちた。


「グアッ!」


流石に痛かったようで苦痛の声を上げる。

先手は貰った。


まだまだ!


「〈水球ウォーターボール〉」


人の頭程の大きさの水球が、虎目掛けて高速で飛んで行く。

痛みから回復した虎は易々と回避してのける。

俺もそれだけで終わらせる筈もなく。

分割思考を総動員し、複数の水球を連続して作る。

分割思考では今、7つのことを同時に出来るようになっている。

それを総動員して、何とか虎を留められるレベルの弾幕を張れるのだ。


残り約2分。

時間がない!


《熟練度が一定に達しました。『分割思考Lv3』が『分割思考Lv4』になりました。》


よし!良いタイミングだ。

思考の分割量が、七つから十に増えた。

思考の七つでそのまま水球を打ち続け、三つを使って他の魔法を準備する。


「〈蒼炎の槍(ブレイズランス)〉!」


蒼に揺らめく槍を三つ作り出す。

それを虎目掛けて放つ。

虎は苦もなく避けるがそれも想定内だ。

今虎の足元は俺が連続で放った水球のせいで水浸しだ。

そこに高温の炎を三つも投入したらどうなるか。

答えは簡単だ。

足元の水に槍が触れる。

瞬時に。


大爆発。


俺が狙ったのは水蒸気爆発。

確か、水が気体になるときに1700倍の体積になるとかで、そのせいで爆発するらしい。


「グルアアアアァァァァァァァァアアア!」


虎が苦悶の声をあげている。

どうやら効いたようだ。

だがこちらも今は必死。

ここは通路だ。

そんなところで大規模な爆発を起こせばどうなるか。

凄まじい風圧が俺の体を叩く。

勿論最初は土壁で身を守っていた。

一瞬で崩れたが。

今は地面を盛り上げて風を防いでいるが拙い。

今にも吹き飛ばされそうだ。


「ぐうっ!」


風が収まると立ち上がる。


「……やっぱりか」


虎は健在だった。

傷付いた様子だったが、まだ追い詰められてもない。

水蒸気爆発は自然の摂理。

準備は自分の魔力でやったが爆発は別。

いわば、固定ダメージ的な物を狙ったのだが倒しきれなかったようだ。


「グガアアアァァァァッ!」


どうやら虎さんはお怒りのようだ。

さっきまでは先手を取れたからこちらのペースだったが…。

今からは、本当の命懸けだ。


怒りのためか、速度の上がった剣虎がこちらに疾駆する。


「〈氷槍アイスランス〉!」


近寄らせまいと、複数の〈氷槍アイスランス〉を発動するも右、左とすべて避けられる。

剣虎は、そのままのスピードで右の前足を振るい、俺を引き裂こうとする。

体を後ろに引くことで、何とか攻撃を避けることが出来た。

その事に安堵する暇もなく、床に小さなクレーターを作っていた右前足が跳ね上がり、横から突き出た刃が俺の喉元に迫る。


「グアァッ」


「ッ!はあッ!」


その刃に向けて俺も全力で剣を降り下ろす。

勿論、魔装を施し、高速振動させたもの。


俺の剣と剣虎の刃がぶつかり火花を散らす。

拮抗は一瞬だった。

俺は剣と共に弾き飛ばされ、コマのようにくるくると回る。


「ぐうっ!」


体勢を建て直したときには既に、目の前に剣虎の拳が迫っていた。

所謂猫パンチ。

それを胸に受け又しても吹き飛ばされ、壁に激突する。


「ぐあああ!」


軽鎧を着ていた為か、爪が体に届くことはなかったが、衝撃で息が詰まる。


「っっっ痛!げほっ、げほっ、はぁ、はぁ……」


虎は俺を吹き飛ばした位置から動かずに、鋭い眼光でこちらを見ている。

これ幸いと、床に膝をついたまま息を整える。


「ふぅ……」


分割思考を使って並列発動した光魔法の〈回復リカバー〉で、何とか体力を回復させる。


まともに剣虎の攻撃を食らったのは今回が始めてだが、今までは運が良かっただけ。

これからはもっと増える。

魔力も時間もない。

非常に残念だが……。


残りの約1分。


立ち上がって、油断なく剣を構える。

プランとも言えないような、本当に運任せのプランBで行くしかないか。



――――――――――――――――――


良ければ、変なところをご指摘下されば幸いです。

今回も読んでくださってありがとうございます。


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