プロローグ
第二話 終わる日常
俺こと七星紫苑は至って普通の人間だ。
今年で高校2年で歳は17。
学校の成績は真ん中ぐらい。
顔も普通程度。至って平凡である。
通学中にたまに喧嘩を売られて、ボッコボコにする事もあるが普通だと自負している。
そんな俺は、ただいま昼休みの真っ最中。
ああぁぁぁ、暇だ……。
俺は今、昼飯を食べ終わって絶賛暇人である。
なんと昼休みはあと30分もあるのだ。
このままでは世界初の『死因:暇』という不名誉を背負ってしまう事になる。
何か面白いことでも無いのだろうか。
「アホか。いっそのことそのまま死んでみたらどうだ?」
今話しかけてきたのは、須郷優である。
アホと言った人間がアホである事は、自然の摂理であることからして、残念ながら……でもなんでも無いがこいつは今からアホになった。
や~い、アホアホ~。
「小学生の理論じゃねぇか!それに誰がアホだっ!」
はっはっはっ、お前に決まってるじゃ無いか。
「うぜぇ……」
そうか?俺は限りなく楽しい。
「てか宿題は?終わってないだろ?」
「バカやろー。んなもんするかよ。お前考えてみろよ?宿題っつーか約20年も必死こいて勉強して何になる?40年の追加労働だぞ?頭沸いてんじゃねえか?」
「なんでこんな奴が高校に来てんだよ……」
受からせた高校が全面的に悪い。
「何つー暴論。そんな適当で試験の結果悪くなんじゃねーのか?」
と呆れたように言ってくる。
心境的には学校の事を教えてくれなくて、子供の心配をする親って感じか?
「お前は俺のおかんか?」
「誰がおかんだ!誰が!」
「うるさい。子どもみたいに喚くなよ」
「お前に子どもみたいとか言われたくねー……」
そのまま諦めたように机に突っ伏す。
まあ実際、俺の心配をしてくれることは素直に嬉しい。
絶対に教えてやることは無いが。
「まあ、変わりないから大丈夫だ。少なくともお前が逆立ちしても勝てる点数じゃねぇよ」
イラっとした目を向けてくるが、成績は至って平凡だ。
可もなく不可もなく。
落ちも上がりもしない。
つまりだ、こいつが悪すぎるだけだなんだよ。
「お~い、七星くん!有!」
名前を呼ばれたので顔を向けると1人の女子がこちらに駆け寄ってくるのが見えた。
彼女は水戸真琴。客観的に見て、とても可愛い部類に入るだろう。
整った顔立ちに、ショートに切り揃えた髪、クリクリとした大きな目。
雰囲気としては所謂スポーツが得意そうな女子という感じだ。
この時間帯で教室に戻ってきたと言うことは、友達との学食から戻って来たのだろう。
俺、優、真琴の三人で幼なじみなのだが、彼女の俺に対する名字呼びが留まるところを知らない。
まさか、嫌われているのだろうか?そんなことは無いと思うのだが……無いよね……?
はっはっはっ、……自信ねぇな。
「あのね!さっきね……」
真琴の言葉は最後まで紡がれる事は無く。
教室の窓が全て闇色に染まった。