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第10話 魔力と魔法

第10話 魔力と魔法


俺達三人は目隠しをして座っていた。

ガザル曰く


「気配察知の訓練についてだが……今から目隠しをしてもらう。俺は気配を少し消してお前たちの周囲を歩くから、頑張って探すように。覚えたら教えてくれ」


とのこと。

本当に歩いているのだろうか。

そもそも側にいるのか?

ガザルの足音が全く聞こえない。

どこにいるのかわからない。

これが『隠密』の力か?


そのまま続けていると何となく感覚が掴めてきた。

こう、感覚としては自分からセンサーを張り巡らせて周囲を感じ取ると言ったところだろうか。


《熟練度が一定に達しました。『気配察知Lv1』を取得しました》


おお、なんとなくだが周辺の様子がわかる。

側におるサリーとデニスの呼吸。

ガザルは『隠密』のせいか、気配が薄らとしていて解りづらい。

それでも今までとは全く違う感覚だ。素直にすごい性能だと感心した。

ガザルが覚えさせるのも納得の便利さだ。

ただ15メートルくらいから極端に気配がわかりづらくなっているので今のスキルの限界がそこなのだろう。

スキルレベルを上げたら感知出来る距離も伸びるはずだ。


程なくして二人のスキル習得も終わった。

自分の成長が分かると言うのは嬉しいものがある。

サリーはニコニコと上機嫌で尻尾が揺れ、デニスは表には出していなかったがやはり嬉しそうだった。




「お前ら良いペースじゃないか。この調子で頑張れよ。じゃあこれから、サリーとデニスは危険察知の習得。シオンは既に持ってるから、別行動だ。魔力を上手く使えるように練習してくれ。シオン、魔力察知は持ってるんだよな。魔力操作はあるか?」


「ああ、ちゃんとあるぞ」


「よし、それならまずは自分の中の魔力を操る訓練からだ。俺が合格と言うまで続けてくれ。無理はするなよ」


そう言うとガザルは二人の方へ歩いていき、訓練方法を説明し始める。

魔力を操ると言われてもな。どんな練習をすれば良いのか……。

魔力を操る……。?こういうのは集中力が重要だよな。

滝行とかか?……滝がないから無理か。なら瞑想はどうだろうか。

俺は床に座り、胡座をかいてリラックスする。

まずは、自分の中の魔力を感じることから始めて見るか。

自分の中に埋もれるように集中していくと、今まで知覚していなかった力が体中を巡っているのを感じる事ができた。

その力、魔力を操ろうとするがこれが難しい。

操ろうとしてもどこかつっかえているような感覚を抱いた。

だがいけそうな気がする。

三時間程試行錯誤した後、休息に入る。


ついでに。

二人の危険察知の訓練は鬼仕様だった。

休息に入ったときには心底疲れた顔をしていた。


訓練の時二人は目隠しをして座っている。

ここから既に怪しく無くもないが、まあ、ここまでは良いだろう。

その状態でガザルは二人の頭に木刀を叩き付ける。

これを避けろと言っている。

容赦も何もあったもんじゃない。うん、鬼だ。

何でも、痛みを感じるぐらいでないと体は危険ではないと判断するらしい。一応手加減はしているようだが。

ギルド専属の治癒士が一定間隔でヒールを掛けるので、体調不良を理由に逃げることも出来ない。

そんな鬼畜使用の訓練を経て、二人ともなんとか危険察知を手に入れたようだ。

次の訓練に移れることよりもこの訓練が終わったことで心底喜んでいるようだった。

俺も、もしかしたらあの訓練を受けてたのかもしれないのだ。

俺は危険察知持ってて良かったと心底思った。

そんなことを思っていると、地面に座り込んでいる二人にジト目で睨まれた。

おぅ、ごめんなさいね?バレちゃった?


昼飯を食べた後、再び訓練場に降りる。

二人は魔力察知、俺はまだ魔力操作だ。

魔力を上手く扱えるようになったら魔法使ってみたい。


二人の魔力察知の訓練は比較的穏やかな物だった。

水晶玉に触れるだけ。超☆安全仕様。

危険のきの字も無い。

さっきまでの鬼仕様訓練が何だったんだ。

水晶が勝手に魔力を吸い取るので、それが解れば訓練は終了。

地味だ。ただひたすらに地味だ。

ただ、魔力切れには注意しなくてはならない。

魔力が切れるとMPポーションをガブガブ飲まされる。

腹にポーションが溜まっていくのでこれはこれでキツイな。

やっぱり鬼か。


そんなことを考えながら訓練を続けているとあの声(?)が聞こえてきた。


《熟練度が一定に達しました。『魔力操作Lv2』が『魔力操作Lv3』になりました。》


おっ、レベルが3に上がった。

そう、2ではなく3だ。

魔力操作のスキルレベルは休息の前に既に上げていた。

だが、ガザルは止めさせなかったので続けている。


体の中の魔力がさっきよりも断然動かし易い。

試しに体の魔力を操り、血流に沿って動かしてみる。

……ん?何だか体が軽くなった様な気がするな。


《熟練度が一定に達しました。『身体強化Lv1』を獲得しました。》


おお!計らずしてスキルを手に入れたぞ!

身体強化を使ったままその場で跳ねてみる。

体感的には、1.5~2倍くらい、身体能力が上昇した。

これは良いスキルを手に入れてしまったようだ。


この調子なら魔法も使えそうな気がする!

身体強化を切って掌を上に向ける。

そのまま掌の上に炎が現れるのをイメージしながら、魔力を流す。

……違う、何かが足りない。そんな予感がした。

やはり魔法は発動しなかった。

少し考えた後、もう一度挑戦する。

掌の上に炎が現れるイメージを作り、強い熱のイメージもしながら、魔力を流す。

すると掌の上に炎が現れる。

出来た!

今度はしっくりきたと思ったら成功した。

目に見えるものだけではなく、どんな現象が起きるかもイメージしないといけないみたいだな。

練習すればもっと色々出来る気がする。


「おいおい、魔力操作のレベルが上がったかと思ったら身体強化を使ったあげく、魔法も使うたぁどういう事だ?手紙にはお前は市民の平均的な能力しか持ってないって話だったんだがな」


背後から急に声をかけられた。集中していたので接近に気づかなかった。

いつの間にか来ていたガザルに見られていたようだ。ヤバい……。


「おまけに俺と戦った時の身体能力も平均レベルじゃねないときている。しかも、最後に使ったあのスキル……。お前、何かまだ隠してるだろ」


ガザルさん鋭すぎますー。隠し事バレてますー。


「ははは……」


俺は笑うことしか出来なかった。

スキルの中身までバレるのは正直言って危険だ。スキルの事を知ったときの相手の反応が予測できない以上下手に情報を晒すのは悪手。

そうでなくても他の勇者よりステータスが高いと知られれば行動に制限がかかるし、王城に連れ戻されるかもしれない。

それだけは避けたい。

特に魔王の卵についてはそのまま自分の身の危険に変わりうるものだ。

易々と人に明かすことはできない。


「いや、いい。……冒険者は職業柄隠し事が多いもんだしな。詮索して悪かった」


どうやってこの場を乗りきろうかと考えているとガザルは首を振って戻っていった。

どうやら見逃してくれるようだ。

まあ、悪い奴では無い、のか?


「よし!今日はここまでだ。よく頑張ったな。それではまた明日。解散!」


こうして二日目の訓練も無事終わった。

サリーとデニスの二人と共にギルドで夕食を食べた後、城に帰って眠った。

何とかクラスメイトには会わずに済んだ。


●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●


ガザルが魔力操作のレベルアップに気付いたのは、魔力察知のお陰です。サリーとデニスにポーションをがぶ飲みさせながらも、主人公にもしっかり注意を払っていました。ギルドマスターは伊達じゃないですね。


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