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第8話 VSガザル

第8話 VSガザル


自分の能力がどれ程か解らない今は、自分の確認から始める。

手加減の仕方が解らない以上格下との戦闘はある意味危険だ。

しかし、幸いにも相手は歴戦の強者。

確実に俺よりも強い。

胸を借りるつもりでやってやる。

まずは確認の意味も込めてのウォーミングアップだ。


「せい!」


一気にガザル接近し、左肩から袈裟懸けに切りつける。

が、ガザルは余裕を持って後ろに下がることでそれを避けた。

続けざまに、バックハンドの胴薙を繰り出す。

しかしガザルは自分の剣でもって俺の剣を下に叩きつける事で防いで見せた。

衝撃で剣が戻されるが無理に逆らわず、左腰溜めの姿勢のまま右にステップ。


「ぉらっ!」


「むっ」


前に一歩踏み込み柄頭を叩き付けようとするも、それも予測していたのか手首を捕まれ止められる。

振り解こうととするも力の差がありすぎるのかピクリとも動かない。

どんな怪力だよ、くそっ。


「なかなか良いじゃねぇか。だが……」


「ぐッ……!」


腹に鈍い衝撃を受け床を転がされた。

回転を利用して距離をとりガザルの方を見ると、足を蹴り出したままの格好で止まっていた。

どうやら蹴りつけられたようだ。足を直ぐに戻さないのは余裕の表れか。


「まだまだだな」


おもしろい……!

知らず知らずの内に唇がつり上がる。

正直に言うと日本で俺にちょっかいをかけてくる奴は大体雑魚だった。

いつも不完全燃焼だった。

でも今は全力で暴れられる……!

もっと、もっとだ……!

もっと強く、速く!


 《器の成長を確認。能力が解放されました》


思考の外で何か聞こえたような気がしたがすぐに意識から締め出す。

今は目の前のガザルだ。


「今度はこちらからいくぞ」


地面を蹴りつけ距離を詰めてくる。

だらりと垂らした右腕からは予想もできないほどの高速の切り上げが迫る。

俺もウォーミングアップなどかなぐり捨てて、全力で対応する。

左下、右、左袈裟懸け、突き。


《熟練度が一定に達しました。『回避Lv1』を獲得しました》


「くッ!」


それらをなんとか避けるが、遂に右肩を切りつけられる。


「ってェ!」


「どうした!終わりか!?」


ガザルは動きが鈍った俺を更に切りつけてくる。


「チィ!」


ガザルの素早い振り下ろしに対し剣を掲げるようにして防ぐも衝撃は殺せず、そのまま後ろに弾き飛ばされ距離が広がる。

その距離を詰めるべく一気に懐に入ってきたガザルへ咄嗟に左の拳を叩き付けるも、防がれた上に脚を払われる。


「なっ!?」


「終わりだ」


体勢を崩したままの俺に、ガザルの大上段の一撃が頭上に迫る。

紫苑の頭を叩きつけた……かに見えた。


これで終わりか?……そんなのつまらないだろ?死ぬほどつまらない!!

まだ……いける!

俺の体を青い光が包み込む。《限界突破》だ。

攻撃が頭に当たる前に地面に左手を叩きつけ、その反動で回避。

一瞬で後ろに回り込み、全力で切りつける。


「むっ!」


さすがはガザルか、即座に振り返りこれを防ぐ。


《熟練度が一定に達しました。『剣術Lv1』から『剣術Lv2』にアップしました。》


防がれるのは予想していた。

だから防がれても良いように『振動操作』で剣を高速振動させていた。

こういうのを高周波ブレードとか言うんだったか。

刃があれば断ち切れたのだろうが今回は刃のつぶれた剣だ。

しかし、《限界突破》で上がった俺の全力の一撃と、高速振動した剣の衝撃を合わせた攻撃は手首を痺れさせ、ガザルは剣を落とした。金属音が周囲にこだまする。


「ぐぅ……!」


よし!上手くいった。

そのままガザルめがけて剣を振りおろすが剣は虚しく空を切った。ガザルが消えたのだ。


どこだ!どこに行った!


素早く視線を周囲に走らせ確認するがいない。

突如、背後から圧力を感じ振り返る。

次の瞬間俺が見たのは、落としたはずの剣を拾って俺の頭に叩き付けようとするガザルの姿だった。


《熟練度が一定に達しました。『危険察知Lv1』を獲得しました》



______________________


「ここは……」


見知らぬ天井が見える。

どうやら、気絶していたようだ。


「ここはギルドの救護室だ」


ガザルがドアの側の壁にもたれたまま言った。


「わるい。少しやり過ぎた」


頬をポリポリと掻きながら気まずげに言う。

そうか、俺は負けたのか。


「いや、これで良かったと思います。色々な学ぶ事が出来ましたので。それに、自分が弱かっただけですから」


「……そうか。そう言ってくれると助かる。それはそうと、その敬語止めないか?隠しきれないレベルの違和感がある」


「なっ!」


なぜだ!俺は正しい敬語を使っているはずだ!

違和感なんてあるわけが無いのだ!


「何でです……何でだ?俺は心優しき好青年だぞ?」


俺が敬語を止めたのを見て満足げに頷きつつ、呆れたような表情を浮かべるという高等技能を発揮するガザル。


「自分で言ってりゃ世話無いぜ……それに、戦ってるときにあんだけ笑ってりゃあな……」


あれか!あれが原因なのか!?

だって仕方が無いだろう!

強ぇー奴と戦えるんだぞ?

ワクワクしてくるだろ!?


偉大なる戦闘民族の皆さんも同意してくれるはずだ!


「そういえば、目の前から急に居なくなったけど、あれはどうやったんだ?」


「ん?あぁ、あれは瞬歩って言うスキルだ。速く動けるんだよ」


……説明が雑だな。


「とりあえず、今日は帰ってしっかり休め。訓練は明日からだ。詳しい説明は明日しよう」


「わかった」


体は何ともないが油断は禁物だ。

なんだって頭に一撃食らったんだからな。


「回復魔法を受けたとはいえ今日1日は安静だ」


痛みが全然ないと思ったら魔法で治療されたのか。

便利だな、魔法。


「詫びとしてメシ、奢るよ」


「おお!それは助かる。遠慮なく貰うよ!」


俺はガザルに飯を奢って貰い、城に帰ってぐっすり眠るのだった。



○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●

スキル解説パートⅡ


「予測」…戦闘の経験により相手の動きを予測する。


「天躯」…魔力を足の裏に纏わせて天を蹴ることで空中を駆ける。


「瞬歩」…魔力を足の裏に纏わせて地を蹴ることで高速で移動する。


「視覚強化」…目を強くする。暗視の力もある。


「聴覚強化」…耳を強くする。


「精神強化」…精神力を強くする。


「全属性耐性」…火・水・風・土・光・闇に耐性を持つ。


「毒耐性」…毒に耐性を持つ。強すぎる毒には対抗出来ない。


「麻痺耐性」…麻痺に耐性を持つ。強すぎる麻痺毒には対抗出来ない。


「睡眠耐性」…睡眠に耐性を持つ。強すぎる眠気には対抗出来ない。


「石化耐性」…石化に耐性を持つ。強すぎる呪いには対抗出来ない。


「自然治癒」…時間経過で自動的に傷を修復する。生きていればどんな傷でも治るが体力を大きく消耗する上に時間がかかる。魔力を使うことで性能を強化する。


「大地魔法」…土魔法が強力になったもの。大地の魔法を行使する。


称号編


「強き者」…多くの戦いを勝ち抜いた強者に与えられる称号。『強者の誇り』を取得する。


「鍛練の鬼」…鍛練によって自分を鍛えぬいた者に送られる称号。能力の成長に補正が微量かかる。共に鍛練するものにも効果がある。


「ギルドマスター」…ギルドのトップに立った者に与えられる称号。


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