第7話 ギルドマスター
第7話 ギルドマスター
「さて、お前の実力を見せてもらおうか?」
ホールのような広い空間に、平らな地面。
ここは、ギルドの地下にある訓練場。
そんな場所に俺はギルドマスターと、剣を手に相対して立っていた。
どうしてこうなった!
時は少し遡る。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「これはリリー王女からの手紙だ」
そう言った男は俺にその手紙を見せる。
ここはギルドマスターの部屋だ。
ここに入れるのはマスターの許可を得られた者だけ。
そんな部屋に俺達が居るのは勿論、彼がギルドマスターだからだ。
彼の名前はガザル・ジーク。
スキンヘッドで、筋肉隆々の大男だ。
纏っている雰囲気から、ただ者ではないと感じさせられる。
受付の前で俺を捕まえ、二階にあるこの部屋まで引っ張ってきた張本人だ。
「この手紙にはお前が冒険者として死なないように基礎を教えてやってくれと書かれている。お前があの子とどういう関係か知らないし、聞く気もない。冒険者は隠し事は多いからな」
そう言って笑って見せる。
「あの子の頼みだし、聞いてやらん事もない。ただし」
言葉を切って真剣な顔になる。
「俺が教える限りだ、中途半端はゆるさんぞ。旅に出るって言う一週間後までに基礎を叩きこんでやる」
「……少し考えさせて下さい」
「おう、ゆっくり考えろ。焦らなくて良い」
実際俺の考えは決まっていた。
勿論受けるに決まっている。
俺のステータスは確かにこの国民の平均より高い。
更に、召喚された他の皆よりも、だ。
だが、俺は命を懸けた戦い方なんて知らない素人だ。
ステータスの高さに胡座をかいて力任せの戦い方だと、すぐに死ぬだろう。
俺は元の世界で喧k……ゲフンゲフン、暴れていたこともある。
平凡(自称)なりには、そこそこできた方だろう。
だが、人と魔物は違う。
俺は弱肉強食の世界で生きる術をしらない。
平和ボケした、守られた世界で生きてきたから。
油断すれば死ぬ。
一歩国から出れば、ここはそんな世界だ。
死んでやる訳にはいかない、絶対に。
また会おうって言ったからな。
「……お願いします」
「よし!良い返事だ。さっそく訓練するぞ。こっちだ」
ガザルは満足げに頷いた後、俺を連れて部屋をでた。
そして冒頭に戻る。
「どうした?かかって来い」
ガザルは右手に剣を持ち、半身で構えている。
俺達が持っているのは訓練用の刃を潰した剣だ。
切れることは無いだろうが、当たれば痛い、絶対に。
そういえばガザルのステータスはどれくらいなのだろう。
場合によっては手加減を……。
鑑定!
ステータス
ガザル・ジーク 46歳 男 人族
レベル:167
HP :5461/5461
MP :3778/3778
筋力 :5293
耐久 :5164
魔力 :3422
魔耐 :4079
敏捷 :4837
運 :30
スキル:ユニーク―強者の誇り
戦闘術―聖剣術Lv3・槍術Lv8・格闘術Lv7・盾術Lv9・戦斧術Lv6・魔装術Lv5
身体術―気配察知Lv10・魔力察知Lv10・魔力操作Lv6・危険察知Lv8・隠密Lv7・身体強化Lv9・瞑想Lv4・高速思考Lv8・並列思考Lv3・予測Lv5・天躯・瞬歩
能力強化―視覚強化Lv6・聴覚強化Lv7・精神強化Lv9
耐性―全属性耐性Lv8・毒耐性Lv7・麻痺耐性Lv5・睡眠耐性Lv2・石化耐性Lv1
エクストラ―上級鑑定Lv3・自然治癒Lv10
魔法 :大地魔法Lv1
称号 :強き者・鍛練の鬼・ギルドマスター
手加減要りませんね!?逆に俺にしてくれ!
なにこのステータス!
俺のステータスの5倍はある。
ちょっとギルドマスターってのをなめていたようだ。
しかも知らないスキルが盛りだくさん……。
この人、できる……!
……ちょっと言ってみたかったんです、すみません。
冗談は置いといて。
……よし、やってみるか。
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一気にスキルが出たので少しづつ解説していきます。
「強者の誇り」……誇り高き強者の証。運以外の全ステータスが800上昇する。自分の意思で身体能力を一時的に上昇させる。レベルアップ時にの能力上昇に微量補正がかかる。自身の恐怖をコントロールできる。
「聖剣術」……剣の扱いが更に上手くなる。攻めることより護る方が得意。大切な誰かを護るための剣術。
「槍術」……槍の扱いが上手くなる。
「盾術」……盾の扱いが上手くなる。
「戦斧術」……戦斧の扱いが上手くなる。
「魔装術」……装備に魔力を纏わせて戦う技術。
「気配察知」……気配を感じることができる。
「危険察知」……直感的に危険を感じることができる。
「隠密」……気配を隠す事ができる。
「身体強化」……自身の魔力で体を強化する。
「瞑想」……心を落ち着けて周囲の魔素を感じることでMPの回復を促す。
「高速思考」…思考速度が速くなる。知覚速度も速くなる。
「並列思考」…同時に物事を考える事が出来る。