三発目 メイドとスカート
「ふふふ、見よ、この美しさ」
俺は鏡の前でクルリと回ってみる。
仕立ての良い、かわいいワンピースの裾がフワリと拡がる。
自身の輝くばかりの美貌に惚れ惚れする。
さあ、全ての男どもよ、俺にひれ伏すがいい。
「………………我ながらアホなことしてるな」
とまあ、くだらないくだりは無視して、今の俺の状況を整理する。
俺は4才になっていた。
艶やかな金髪を腰の長さまで伸ばし、毎朝髪をといてもらってはポニーテールにして赤い大きなリボンをつけてもらっていた。
この赤いリボンは俺の透き通るような白い肌にもよく似合っており、お気に入りだったりする。
俺は今も現在進行形で超絶美少女に成長中だ。
だが、いくら美少女に成長しようと、中身が俺であることに変わりはない。
さすがに1才を越えた辺りから強制的に乳離れさせられて、巨乳三昧の日々は終わりを告げていた。
その時の俺の男泣き(?)を見せてやりたかったぜ。
だが、へこたれたままで終わる俺ではない。
すでに次のエロを見つけている。
今の俺のマイエロブームはスカート巡り。
間違ってもスカートめくりではない。
スカート巡り、その内容は90cm未満という低い身長をいかし、メイドたちの膝下丈のスカートの中に潜んで、スカートからスカートへと渡り歩いていくという、男だった頃には実現不可能だった夢の遊びだ。
日本の成人男性がこれをやったら警察のご厄介になること確実な行為だが、ここは異世界で、幼く可愛い美少女な今の俺がこれをやっても怒られない。
俺はいつものように角に隠れて標的となるメイドを待つ。
「!」
洗濯物を持った清楚なメイドのミレーヌさん、22歳が通りかかった。
チャンスっ!
俺はスルリとミレーヌさんのスカートの中に潜り込む。
「あらあら、アルファ様、私のスカートの中に潜り込んで、今日も、お一人でかくれんぼですか?」
さすが幼児で美少女!
今の俺はミレーヌさんに微塵も警戒されていない。
「うん、そうなんだ」
「そうでしたか。あとでアルファ様のお相手もできるように、手早く仕事を片付けておきますね」
「ありがと、ミレーヌ」
俺が天使のような笑顔で微笑むと、ミレーヌさんは満足そうに笑い返してくれた。
「どういたしまして、アルファ様」
ふっ、チョロいな。
今の俺は、この程度の会話で罪に問われることもなく男の桃源郷を眺め放題。
熟女から、うら若き乙女までバリエーションも豊かだ。
異世界、サイコー。
おっと、油断して声にでてたら大変だ。
俺はミレーヌさんのスカートの中に潜り込んだまま、ミレーヌさんの進行方向に付き合いつつ、次のターゲットを探す。
しばらく行くと、他のメイドが通りかかるのが見えた。
ん、あれはバーバラさん、25歳。
胸こそ、そこそこだが、その桃尻はパーフェクトな曲線を描く魅惑的なボディーの持ち主だ。
そういえば、今日はまだあの桃尻を拝んではいなかった。
次のターゲットをロックオン、お目当てのメイドのスカートへ移ろうとダッシュしたとき、俺は不意に仔猫のようにつまみ上げられた。
「うおっ、誰だ!」
こんな変態だが、俺はこの屋敷の主人の娘。
そんな俺にこんな失礼なことができる奴は限られている。
「こら、ダメですよ、アルファ様」
「ちっ、またお前か」
俺はつまみ上げられたまま器用にクルリと向きを変えると邪魔をしてくれた人物に向き直る。
そこには若いというか、メイドとしては幼いとも言える少女がいた。
彼女の名前はエミリー。
今年から屋敷に入ってきたメイド見習いの14歳の少女だ。
赤毛でソバカスのある顔は可愛らしくはあるが、俺からしたら未だ少女という印象。
凹凸の乏しい俺の興味をあまり引かない体に、比較的短い膝上丈のメイド服を着ていた。
因みに、メイド見習いのためか、エミリーは白のニーソを履いていた。
短めのスカートとニーソの間から見える白い健康的な太股は若干気にならなくもないが、こいつは俺の邪魔ばかりをするからあまり好きではない。
「なあ、お前、そんなに俺の邪魔をして楽しいか?」
「ほら、またそんな『俺』とか男の子のような汚い言葉使いをして、旦那様や奥さまに叱られますよ」
「大丈夫だろ。なんてったって、俺は可愛いからな。大人たちは美少女な俺にメロメロだ」
「またそんな世の中を舐めきったことを言ってると、いつか痛い目に会いますよ」
俺の場合、すでにエロ神様に痛い目に合わされてここにいるわけだが、俺自身全く反省している気がしない。
むしろ、高条件で転生させられて満喫していると言っても過言ではなかった。
そんな俺の様子を見てエミリーがため息をつく。
「いくら旦那様の治めるこの領地が比較的安全な南部にあるとはいえ、この世界には魔物もいたりするんですから絶対に世の中を舐めたらいけませんよ」
「わかってる」
そう、驚くことにこの世界には魔物と呼ばれる生物もいるらしい。
箱入り娘として、エロ三昧の日々を送っている俺にはまだ実感はないが、領主をしている父親にも数ヵ月に1度くらいの頻度で領地内での魔物による被害の報告が上がっていた。
「さあ、一緒にお部屋に戻ってください。お作法の先生がお勉強しましょうって待っていましたよ」
「うっ、俺の嫌いなやつだ」
「だ――か――ら――、やらなきゃいけないんです」
このままではエミリーに連れ拐われてしまう。
しかし、吊り上げられて行動を封じられたままで、俺にできることは限られている。
俺はその限られている行動を実行することにした。
「あっ、なんだあれは!?」
俺が天井を指さし驚きの声をあげる。
誰しも1度はやったことがある注意そらしの技だ。
だが、エミリーは真っ直ぐ俺を見つめたままだ。
「ふっ、私がそんな見え見えなやつに引っ掛かると思っているんですか?」
「ちっ、ダメか」
なす統べなく連行されていく俺。
そこへ、執事のライアンが通りかかる。
ライアンはその手腕と意外と整っている顔立ちで屋敷のメイドたちの憧れの存在だったりする。
俺からすれば、キモい40代のおっさんだが、メイドたちの中には想いを寄せる物好きもいるらしい。
因みに、このエミリーもその物好きの1人だったりする。
もはや、父娘だろ。
歳の差、犯罪じゃね?
本当、人間ってわからないもんだ。
だが、この際助けてくれるならライアンでも構わないか。
「ちょっ、ライアン、良いところに。いたいけな俺に、こんな酷い仕打ちをする暴力メイド見習いから助けてくれ!」
「ライアン様、アルファ様のためですので、お目こぼしください」
「アルファ様、御容赦ください。エミリーの行いもアルファ様のためを思えば必要なことでしょう」
「くっ、ライアン、裏切ったな」
「エミリー、アルファ様のこと頼んだぞ」
「は、はい」
エミリーがライアンに名前を呼ばれて顔を赤らめている。
良い感じでモジモジしてくれたため、俺を吊り上げているエミリーの手がやや下がった。
隙ありっ!
俺は足で思いっきりエミリーのスカートの裾を蹴り上げた。
「キャァァ!」
エミリーの悲鳴とともに年相応の白い何かが丸見えになる。
ライアンはバッチシ丸見えのベスポジだったはずだが、さすが執事。
1㎜たりとも表情を崩さない。
一方で、エミリーの反応は激しかった。
俺からすれば、まだまだ幼くエロさが足りないが、さすがに年頃の女の子が憧れの人の前で羞恥に晒されたのだから堪らなかったのだろう。
俺を吊るしていた手の力も緩み、俺は脱出することに成功する。
「ばーか、ガキっぽいパンツなんか履いてる奴に捕まってたまるかよ」
捨て台詞を吐いて、脱兎のごとく逃走をはかる俺!
因みに、そういう俺が履いているのは、お子様丸出しのカボチャパンツだったりするのだが気にしてはいけない。
「アルファ様、覚えていてくださいねっ!」
「もう忘れたから無理だ」
「アルファ様っ!」
遠くで、怒りと羞恥で顔を真っ赤にしたメイド見習いが吠えていたが気にしない。
これが俺の5才の誕生日まであと少しの、ある1日の出来事だった。




