二発目 巨乳と授乳
エロ神様との会話からどれだけ時間がたったのだろうか。
ここは?
俺は目を開けるが、眩しいだけで何も見えない。
何か言葉を話そうとしても、発声すら出来ず、喉の奥で言葉が潰される。
あまりの不安から俺の口から声にもならない音が漏れる。
「あらあら、起きたの。お腹すいたのね」
女性らしき優しそうな声が聞こえてくる。
俺に聞いてくれているのだろうか?
確かに腹は空いている。
あのエロ神様と会ってから、何日たったかもわからないので、何か食わせてもらえるなら食わせてもらいたい。
だが、やっぱりうまく声が出せない。
何か言おうとしても、「あー」とか、「うー」とかになってしまう。
どういうこっちゃ?
俺が疑問に思っていると、不意に俺の体が抱き抱えられる。
そして、柔らかい何かに体を押し付けられる感触とスルリとした衣擦れの音だけがわかる。
(…………)
「あー」とか、「うー」とかの発語やお腹が空いたのと聞かれながら抱き抱えられるこの感じ。
これは、もしや!
「はい、私の可愛い子、いっぱい、お飲みなさい」
やっぱり、俺、赤ん坊になってやがる!
あれは夢じゃなかったのか。
不意に俺の口に何か突起物が当てられる。
動かし難い手で突起物の周囲をサワサワしてみると、それは俺の想像していた物、ズバリおっぱいだった。
手に伝わる重量感。
エロ神様程ではないが、なかなかの巨乳。
母乳で張っているせいか、思っていたほどの柔らかさはない。
俺が、そっと吸い付くと、口いっぱいに母乳が溢れてくる。
目が見えないから、どんな人かはわからないが、微かに何かの花を想わせる香水の良い匂いがした。
語りかけてくる声や触れている肌から、俺のことをどれだけ大事に想っているのか十分伝わってくる。
何だかわからない不思議な感情で満たされる。
これが新しい俺の母親か……。
「あらあら、よっぽど、お腹が空いていたのね」
声だけ聞いたら、けっこう若そうだが、幾つくらいなのだろう?
俺はイタズラ心で突起物をペロペロしてみた。
「あっ、ううん。こ~ら、ダメでしょ」
軽く怒られたが、赤ん坊なので無罪放免だ。
お腹がいっぱいになったら眠くなってきた。
眠気には勝てず、俺は夢の国に旅立っていった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
数ヵ月後、俺の目はちゃんと見えるようになり、徐々に周囲の状況がわかるようになっていた。
どうやら、俺は本当にエロ神様の手によって異世界に転生させられたらしい。
この世界は中世に似た生活様式で、機械的な文化は未発達なようだ。
俺の今の名前も判明した。
前は左山さん家の拓哉君だったが、今はサファイアさん家のアルファちゃんというらしい。
アルファ・サファイア……まあ、それなりに覚えやすいし、悪くない名前だろう。
だが、名前はいいとして、初めて自分の姿を鏡で見たときには驚いた。
女の赤ん坊姿っていうのも勿論あるが、問題はその容姿だ。
金髪に青い瞳、陶磁器のように白い肌。
美の女神をもってして嫉妬させそうなその美貌は、未だ1才に満たない子どもだというのにほぼ完成されていた。
そういえば、エロ神様が美の女神がなんちゃらとか言っていたっけ。
この数ヵ月、耳だけで行っていた情報収集で、父親は地方を治める領主をやっていることもわかったし、きっとそれなりに金持ちなんだろう。
家もデカけりゃ、使用人も何人もいる。
母ちゃん美人で、父ちゃん金持ち、自分は超美人確定ときたら人生怖いもんなしだ。
パソコンやテレビ、スマフォがないのは寂しいが、以前より、高スペックで厚待遇にしてもらい、どうやったらこれが罰と呼べるのだろうと思ってしまう。
「アルファ、ご飯の時間よ」
おっと、お呼びがかかった。
俺はとてとてと歩いて声の主に近づいていく。
声をかけてくれたのは、そんなに華美ではないが上質なドレススカートの女性、レイシャ。
今の俺を生んでくれた母親だ。
年は驚くことにまだ20歳らしい。
目を引くような美人ではないが、心根の優しそうな可愛らしい女性だ。
しかも巨乳。
「はい、どうぞ」
そういって、ポロンと自分の大きな両胸を惜しげもなく露出し授乳の準備をしてくれる。
うん、今日もデカイ。
ただ、このレイシャ、少し天然なところもあるのか、俺の授乳の際によくカーテンを閉め忘れている。
ほら、今もカーテンを閉め忘れているせいで、庭師の若い子が庭から、こちらをガン見している。
あの子もレイシャをおかずに今夜は自家発電に勤しむことだろう。
もう乳離れをしても良い時期なのだが、やっぱり目の前のレイシャのおっぱいが吸えなくなるというのは少し惜しい。
今回、俺の性別は女。
自然に女性の突起物をペロペロ出来るのも、もう少しだけだ。
俺がユリOKであれば、これからもチャンスはあるのだろうが、今のところ男としての記憶を持っているからか、そっちに走るのは俺の男としての矜持が許さない。
……というのは建前。
攻めるのは良いが、攻められるのは少し怖い。
そんなチキンじゃなければ、生前もう少しマシな生活が送れていたことだろう。
結局、俺はビビりなのだ。
「あらあら、アルファ。いつもはすごい勢いで飛び付いてくるのに今日は来ないの?」
ふう、考えごとをすると腹が空くな。
レイシャを心配させるのも悪いしな。
「マンマ~」
「ハイハイ、アルファは甘えんぼさんね」
俺は目の前の巨乳に今日も飛びついた。
そんな巨乳を満喫する毎日だったが、俺にも不満はあった。
長年連れ添った相棒を消失しているせいで自家発電が出来ないことは勿論だが、ある生理現象のせいだ。
「あふ」
でるっ!
そう感じたときには、もう遅い。
俺の股間は、生暖かい黄金色の液体でボトボトになる。
またやってしまった。
お漏らしだ。
まだ未成熟な一歳のこの体では、まだ我慢というのはできないのだ。
「あらあら、アルファおしっこが出たのね。きれいにしてもらいましょうね」
レイシャが使用人を呼ぶと、妙齢のメイドがやって来る。
いつも無表情のメイド長のサフィーヌさんだ。
「サフィーヌ、アルファの服を替えてちょうだい」
「かしこまりました」
メイドに連れられて別の部屋にやってくる。
俺は寝台に寝かされ、すっぽんぽんにされる。
ここまでは当然の手順だ。
だが、ここで必ずといっていいほど現れる人物がいる。
「サフィーヌ、旦那様がおよびだぞ」
そういっている間に執事服の40代くらいの中年男が入ってくる。
おいおい、俺はすっぽんぽんなんだからノックくらいしろよな。
そう思うが、もちろん伝わるはずもない。
「ここは私がやっておくから、旦那様のところに行ってくれ」
「わかりました、ライアン様」
サフィーヌさんは事務的に一礼すると退室していく。
部屋に残されたのは、超絶美少女ですっぽんぽんな俺と中年男の2人だけ。
言葉だけで聞くと危険な状況だが、この男は一応顔見知りだ。
この執事服の男は、見たまんまのこの家の執事をしているライアンという奴だ。
なかなかできる男らしいが、俺としては生理的に受け付けない。
なぜかって?
「はーい、アルファちゃま、ライアンがお着替えしゃしてあげまちゅね」
見よ、この変貌ぶり。
気持ち悪いことこのうえない!
寝台に寝かされてお股かぶれがないように拭く手つきもなんかねちっこいし、ちゃんと拭き取れているか大股開きにされ、ジーっと股間を凝視されると悪寒が走る。
俺もまだ1才にも満たない子どもだからこの程度ですんでいるが、これから成長したらどんな目で見られるかわからない。
なんてったって、俺は美の女神の加護を受けて今現在も絶賛成長中の美少女だからな。
この中年男は要注意だ。
こうして、俺は貞操の危機を感じながらも日々成長していった。




