4章:脱獄した悪魔
不思議な力を手に入れてから、もう15年の時が経った。
シェルはもう二十歳。立派な成人になった。
シェルは今、地方の大学に通っているため、実家から仕送りをしてもらいながら、アパートで一人暮らしをしている。
普段は、大学から帰ってきたら、夕方までバイトをしている。
その後、午後の9時ぐらいから深夜0時ぐらいまで、復習を含む猛勉強をしている。
シェルの大学生活は、かなり過酷なスケジュールの毎日だった。
ある休みの日の朝、シェルは朝食を摂りながらテレビのニュースをみていた。 すると、驚くべきニュースが報道された。
「たった今、入ったニュースです。
先月起こった連続殺人事件の黒幕、『D.ブラウン』が刑務所より脱獄しました。
警察では行方を追っている所です。」
シェルは唖然とした。
あの凶悪犯が脱獄囚へとなってしまった。
身仕度を終え、シェルは自宅を後にし、学校へ向かった。
大学に着き、元気そうな顔をしながら教室に入った。
すると、クラスメート達の口からは、今朝のニュースの話題が切り出された。
「今朝のニュース見たか、シェル?」
親しきクラスメートの中の一人、『サンド』がシェルに話し掛けてきた。
「あの殺人鬼が脱獄したらしいな。もし見かけたら俺の手でとっ捕まえたいぜ!」
「お前じゃ、逆に瞬殺されるよ。」
シェルとサンドはお互いにジョークをかましながら楽しげに話していた。
数日後、シェルは大学から帰る途中、コンビニで買い物をしていた。
すると、サンドも同じ店内で買い物をしていた。
シェルはコーヒーを、サンドはオレンジジュースをそれぞれ買って店を出た。 二人はゆったり寛ぎたいという気になり、近くの広い公園に向かって歩きだした。
すると、歩いてる途中に、二人と同じクラスメートの女子、『スタフィー』に偶然出くわした。
「こんにちは。いい天気だね!」
シェルが清々しく挨拶した。
しかし、スタフィーは怯えた顔をして走りながら通り過ぎていった。
この態度に対して腹を立てたサンドは、スタフィーに向かって思いっきり怒鳴った。
「せっかくシェルが話し掛けてくれてんのに、何だ!その態度は!?」
だけどスタフィーには、注意しても無駄だった。
その後、シェルとサンドは公園でのんびりしたり、サンドの愚痴を聞いたりして帰った。
翌日、シェルは昨日、様子が変だったスタフィーに何があったのか聞いた。
すると、スタフィーの口から驚くべき事実を知らされた。
「実は昨日、脱獄した凶悪犯の『D.ブラウン』に会ってしまったの。」
シェルは驚きを隠せなかった。
話によるとブラウンは黒い大きなコートを着用していて、顔をフードで覆い隠していたらしい。
人のいない公園のベンチで休憩をしようとして、フードを取った所をスタフィーが見てしまったらしい。 シェルはやっと昨日のスタフィーの変わった様子について納得した。
わかったことは、ブラウンがまだシェルたちの近辺をうろついてる可能性が高いということだった。