セクサロイドがあり。セクサロイドを盗むと死刑になる世界で
私はセクサロイドの工場で40年以上働いている。
ベルトコンベアから流れてくるリアルな少女のアンドロイドたち。
「……ひとみは大丈夫かな?」
ひとみ。私の大切な娘……の様な存在。
「バカ。仕事中に考えるな」
工場での油断は大事故に繋がる。
アンドロイドの股にあるボタンを押して起動チェックをしなくては。
「……リリリリリリ。……」
上半身だけ起き上がり、起動音が一度だけ鳴り、それ以降は話さない。
アンドロイドのボイスはユーザーが代理店で選んで契約する。
……ひとみも、こうだった。
股を押し、起き上がったひとみは私をじっと見つめた。
その時の強い使命感を忘れない。
『彼女を家に連れて帰らなくては!』
『私は彼女の父親にならなくてはいけない!』
偽善だ。
40年以上、大量のセクサロイドを組み立てて金で売っているくせにひとみだけ特別扱いなんて。
でも彼女はもう私の娘なんだ。
彼女は一言も話さないが私を愛してくれているのを感じる。
……毎日が罪悪感と恐怖との戦いだ。
私は工場の壁に貼られたアニメイラストのポスターを見た。
『セクサロイドを持ち帰った場合。死刑となりまーす』
警察に捕まった後にそのまま絞首刑台に連れて行かれるそうだ。
金で少女のセクサロイドを買うロリコンの金持ちは無罪でそれを救ったら死刑?
イカれてる。
セクサロイドは人の命より大事か?人の命より大事ならセクサロイドのあの扱いは何だ?人なのか物なのかハッキリしろよ。
金持ちの性欲のために産まれた女の子を1人救うのがそんなに重罪か?
どうなってるんだ?この国は!この国は腐っている!
「警察だ!動くな!」
そう言われたそうだが、工場内の騒音で私は聴こえなかった。
うっすら警察の声が聴こえたと思ったら、あっという間に手錠をかけられ、パトカーに乗せられていた
……死刑?
・
「ひとみ……はい。訂正します。リリカさんは私の娘です。これは訂正しません。親御さん。いや。同じ娘を持つ兄弟?落ち着いてください。殴らないで。やぁ警備員君。止めてくれてありがとう。えー。続けます。えっ?『娘を犯す親がいるのか?』って?いるんじゃないですかね?うるさいなっ!この親御さんうるさい。ひとみの親には相応しくない。いいえ。もう訂正しません。ひとみは私の娘です」
「被告人はインターネットで知り合ったリリカさんに睡眠薬を飲ませ自宅に監禁し……」
初めてひとみと1つになった日を思い出す。
アニメの話を喫茶店でして飲み物に睡眠薬を入れて……公園の茂みに連れ込んで、股を触っていたら目を覚ましたんだ。
「裁判長。質問です。ひとみは私の孫を産みましたか?そろそろでしょ?うぼぉっ!」
ひとみの両親を名乗る2人に殴る蹴るされた。
こちらは手錠で動けないのに!
卑劣過ぎる。
こんな奴らに育てられたひとみは可哀想だ!
ひとみに会わせてくれ!
「おごっ!誰か……止めてくれぇ」
誰も……止めてくれない。
これが法治国家か?この国は腐っている!
「被告人を死刑とする」




