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35話ミコ

戦が終わり、街には静けさが戻った。

人々は戦の後片付けをしながらも、平穏が戻ったことに安堵している。


そんな中——俺は再び城へと呼ばれた。


ーーーーーーーーーーーーーーー


城の最上階へ案内されると、そこには再び将軍と貴族たちが並んでいた。


中央の席に座る将軍が、俺をじっと見据える。


「……やはり、お前が欲しい。」


ストレートな物言いに、場が静まり返る。


「酒の技術。そして、戦闘の才能。どちらも、この国にとって必要なものだ。」


将軍の眼差しは鋭く、確固たる意志を感じさせる。


「ケンイチ、お前がこの国に残るのなら、最高の待遇を用意しよう。」


俺は軽く息をつき、ゆっくりと答えた。


「ありがたいお言葉ですが——俺は修道院でみんなと過ごしたい。」


俺の答えは変わらない。

この国に留まるつもりはない。


「断らせてもらいます。」


将軍はしばらく沈黙したあと、目を閉じた。


「……そうか。」


貴族たちの間には、動揺の空気が流れる。


「それほどまでに、その修道院が大事なのか?」


「ああ。」


「ならば……」


将軍がさらに言葉を続けようとしたその時——


ふわりと、清らかな風が舞った。


「……?」


その気配を感じて、俺は背後を振り返る。


そこにいたのは——白狐だった。


「君は……」


戦場で姿を見せた白き狐。

今度は、俺のすぐ後ろに佇んでいた。


だが、その姿はすぐに変化する。


白い光が狐を包み込み、その中から現れたのは——ミコだった。


「ミコ!?なんでここに……」


巫女服姿のミコが、俺を見つめて微笑む。


「ふふ……」


そして、静かに口を開いた。


「ケンイチさま、についておりました」


城の者たちは驚き、ミコを凝視していた。


「この者は……何者だ?」


貴族の一人が震えた声で尋ねる。


「まさか、神の……」


ミコはその言葉にふっと微笑み、俺の手を優しく取った。


「……さあ、ケンイチさま。」


「お導きいたします。」


その言葉には、何か特別な意味が込められているような気がした。


「私は神の使いです。神の天啓に従ってケンイチ様をお守りします。」


「...」


将軍達は深々と頭を下げていた。


「ケンイチさま、行きましょう」


ーーーーーーーーーーーーーーー


城を出た俺たちは、夜の街を歩いて宿へと向かった。


月明かりの下、隣を歩くミコが静かに微笑む。


「ケンイチさま、身勝手ながらこれからもよろしくお願いいたします。」


「……ああ。」


ミコが加わることで、また旅がにぎやかになりそうだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


宿に着くと、セラフィーナと三姉妹が待っていた。


俺たちの姿を見つけると、セラフィーナが真っ先に駆け寄ってくる。


「ケンイチさん!無事でよかったです!」


「まあ、色々あったけどな。」


安心したように微笑むセラフィーナの隣で、三姉妹もこちらを見つめていた。


エスメラルダは冷静にミコを観察し、

ベアトリーチェは腕を組み、興味深そうに唸る。


フェリシアは俺の後ろに隠れるようにしながら、小声で言った。


「……また女の人なの?」


すると——


「はい。私カンミヤ・ミコも、ケンイチさまにお仕えしたく」


ミコが穏やかな表情で、皆に向かって一礼した。


「また女が増えた……」


セラフィーナがふくれっ面になり、頬を膨らませる。


「どうして女の人ばかり...行く先々で女の人ばっかり増えてませんか……?」


「……まあ、そうかもしれないな。」


「ふーん……」


むぅ、と不満げな表情のセラフィーナ。


だが、ミコのまっすぐな瞳を見て、やがてため息をついた。


「仕方ありませんね。ミコさん、よろしくお願いします。」


「ありがとうございます、セラフィーナさん。」


こうして、ミコは正式に俺たちの仲間になった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「それで、ミコ。」


皆が落ち着いたところで、俺はミコに尋ねた。


「今後のことなんだけど、何か有力な情報はあるか?」


ミコはこくりと頷くと、静かに口を開いた。


「この街から北の山に、貴重な鉱石『ダマスカス鉱石』が眠っています。」


「ダマスカス鉱石……?」


「はい。この鉱石で作る道具は、とても丈夫なんです。」


俺はその言葉に興味を持った。


「丈夫な道具か……それなら、皆の安全のための武器や防具にも使えるし、造酒の道具作りにも役立ちそうだな。」


三姉妹も興味津々な様子だ。


エスメラルダが真面目な表情で言う。


「それなら、採掘しに行く価値はあるです。」


ベアトリーチェも頷いた。


「強い魔物がいるかもしれないが……面白そうだな!」


フェリシアはちょっと不安そうに俺の袖を引っ張る。


「お、お山って、こわい魔物がいるのかな……なの?」


「安心しろ。俺たちなら何とかなるさ、よし、じゃあ明日、ダマスカス鉱石を探しに北の山へ行こう!」

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