17.ラム酒
俺たちは交易のために、再び 海の街エルヴーレン を訪れていた。
前回ここを訪れたときは、蒸留器を作ってもらっただけで噂にはあったラム酒作りに必要なサトウキビが手に入らなかった。
だが、今度こそは違う。
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今回、院長になっての初めての遠征を予定した。
遠征前に修道院に、さらに3人の新たな人員を雇うことにした。
修道院の一室で、俺とセラフィーナ、そして三姉妹が新たに加わる修道女たちを迎える準備をしていた。
「今日から3人の仲間が増えることになったわ」
セラフィーナの言葉に、みんながうなずく。
「ようこそ、修道院へ」
扉が開き、3人の女性が入ってきた。
「はじめまして、イザベルと申します。よろしくお願いします」
最初に名乗ったのは、黒髪の落ち着いた女性だった。彼女は丁寧にお辞儀をし、静かな笑みを浮かべる。
「シルヴィアです! みんなと一緒に過ごせるのが嬉しいです!」
次に、栗色の髪を三つ編みにした少女が元気よく挨拶をする。その表情は明るく、場の雰囲気を一気に和ませた。
「マティルダだ。よろしくな」
最後に、金髪のポニーテールの女性が力強く名乗った。彼女の腕を見ると、他の修道女たちとは違い、鍛えられた筋肉が見える。
(この人、本当に修道女なのか……?)
そう思っていると、セラフィーナが微笑みながら説明を続けた。
「イザベルは会計や薬草の知識に長けているわ。シルヴィアは料理や裁縫が得意。そして、マティルダは力仕事を引き受けてくれるの」
「なるほどな……これで修道院もさらに機能しやすくなるな」
俺が納得すると、マティルダが腕を組んで言った。
「俺は力仕事が得意だが、それだけじゃないぞ。騎士や傭兵の経験もあるから、護衛役としても役に立てる」
「護衛?」
「最近、貴族やら冒険者やらが増えてきてるだろ? お前が酒場で揉めてるって噂も聞いた」
「……それはまあ」
どうやら彼女は、修道院を守るために来てくれたらしい。
「私たちの家を守ってくれるのね!」
三女のリゼットが嬉しそうに笑う。
「そういうことだ」
マティルダは自信満々に胸を張った。
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その夜、修道院の食堂で歓迎の食事会が開かれた。
「これからよろしくね!」
「ここでの生活は大変なことも多いけれど、みんなで頑張りましょう!」
新しい仲間が加わり、修道院はさらに賑やかになった。
これからもっと忙しくなるかもしれないが——。
(まあ、何とかなるだろう)
そう思いながら、俺は手にしたエールを一口飲んだ。
「ケンイチ、これで心置きなく旅に出られるわね」
セラフィーナの言葉に、俺は頷く。
「ま、長く留守にするつもりはないけどな」
修道院を支える 仲間が増えたのはありがたい。
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海の街エルヴーレンへ来ていた。
俺たちは 三姉妹、セラフィーナと共にエルヴーレンの市場を回る。
この街は相変わらず 潮風が気持ちよく、活気に溢れていた。
「よし、今回の目的は サトウキビ だ。探すぞ」
三姉妹「了解!」
市場をくまなく回ると——
「あった! サトウキビだ!」
ついに見つけた。
俺はさっそく、大量のサトウキビを購入する。
これさえあれば 念願のラム酒 を作ることができる。
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サトウキビを手に入れた俺たちは、三姉妹が以前使っていた工房へ向かった。
三姉妹の工房に到着すると、俺たちはすぐに ラム酒の仕込み に取り掛かった。
工房はしばらく使われていなかったせいで、埃っぽく荒れていたが、道具はまだ使えそうだ。
「よし、まずは工房の掃除からだな」
三姉妹とセラフィーナと共に、床を掃き、棚を拭き、錆びた器具を磨く。
少しずつ活気を取り戻す工房を見て、三姉妹の表情にも懐かしさが滲んでいた。
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準備が整ったところで、まず サトウキビを搾る作業 に入る。
「これはけっこうな重労働ね」
長女のエスメラルダが額の汗を拭いながら、石製の圧搾機にサトウキビを差し込む。
木製のレバーを回すと、じわりと黄金色の液体が滴り落ちてくる。
「うわぁ、すごい甘い匂い……!」
三女のフェリシアが顔を近づけて、嬉しそうに声を上げた。
「この搾り汁を煮詰めることで糖蜜になる。そこから発酵させればラムの元ができるんだ」
俺は鍋にサトウキビの汁を移し、火にかける。
ゆっくり煮詰めていくと、やがてとろみのある濃厚な糖蜜が出来上がった。
「次は発酵だな」
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糖蜜を冷ました後、大きな樽に移し、発酵を促すために水と酵母を加える。
「このまましばらく置くの?」
セラフィーナが覗き込みながら尋ねる。
「そうだ。発酵には数日かかる。普通ならな。『酒聖』!!」
樽に『酒聖』を使用する。
樽の中から、フルーティーで芳醇な香りが立ち上る。
「発酵は成功だな」
俺は微かに泡立つ液体を手ですくい、味を確かめる。
「……うん、いい感じだ。あとは蒸留だな」
蒸留機に発酵液を入れ、ゆっくりと熱を加える。
蒸発したアルコールが冷却器を通り、透明な液体となってポタポタと滴り落ちる。
それを慎重に集め、アルコール度数を確認しながら調整する。
「うわぁ……! これがラム酒になるのね」
次女のベアトリーチェが目を輝かせながら、ゆっくりと蒸留液を観察していた。
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ラム酒、完成
すべての作業を終え、ついに ラム酒が完成した。
「よし、試飲だ」
小さな木製のカップに注ぎ、一口飲む。
口に広がるのは、甘く芳醇な香りとスパイシーな余韻。
「……これは、間違いなく良い酒だ」
俺がそう呟くと、セラフィーナや三姉妹も次々に口をつける。
「すごい……! こんなに香りが豊かなお酒、初めてかも」
「エールとはまた違ったコクがあるわね」
「ラム酒って、こんなに奥深い味だったのね……!」
みんなが驚き、感動する中、俺はしみじみとラム酒の入ったカップを見つめた。
「ようやく、ラム酒が作れたんだな……」
新たな酒の誕生に、俺は静かに達成感を噛み締めた。




