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第八話 メロンと請求書

「本当に毎度申し訳ない。何と言っていいやら...」

狩魔達の元へ来るなり仁鬼と名乗る神従鬼が深々と頭を下げた。きちんと着こなした黒いスーツの中に鍛えられた体格が見て取れる。いかにもヤクザな鬼が頭を下げている絵面は中々滑稽だった。

「仁鬼は悪くないでしょー。土鬼ぃー、また神様に告げ口するからねー」

乱屠がニヤニヤしながら軽口を叩く。

「わ、悪かったって乱屠。どうも近頃神力の操作性が悪いというか何というか...新技もうちょいで完成しそうなんだ。頼む、いつものメロン今回は2つつけてやるからさ、な?見逃してくれよー」

土鬼と名乗る鬼はガリガリな体の腰に麻布を巻いただけの貧相な見た目で恐らく年下の乱屠にへこへこ手を合わせて懇願している。どうやら土鬼がいつもの事件の元凶らしい。

「今月4回目だからメロン4つなー」

「が、がめつい...」

「先月までは多くても月に1回か2回起こるぐらいの頻度でしたが今月は特に多いですね。何かあったんですか?」

 棲蠟が泥怪物が来た方向を睨みながら仁鬼に聞いた。仁鬼は少し考えてから「これと言った確証はないんだが...」と話し始める

「まぁ土鬼がシンプルに下手ってこともあるんだが最近は特にひどい。俺が街の方向に被害が出るのは食い止めてるが何故かこちらの方向に暴れる時だけ異様に神力が強くなっとる。土鬼も止めようとするんだが何故か制御が効かないと言うんだ。俺も土鬼も神従鬼になって数十年経ってるがこんなことは経験がない。神力が独り歩きする事はないと思うけぇ恐らく何らかの他の神力の干渉を受けていると睨んどんじゃけど...」

 仁鬼が少し俯きながら悔しそうに歯ぎしりした。

「全くと言っていいほどしっぽが掴めん。先日土鬼の訓練中に他の班の奴らと原因を探ってみたんだが周辺に異常は見つからんかった。しかも顎兜は神力を問題なく使えとったけぇ影響を受けとるのは俺らのとこだけじゃ。あと何故か俺も最近訓練の時に若干調子が悪い。力が分散されるような感覚というか......」

 この不可解なミステリーに全員が悶々としている中、顎兜が口を開いた。

「これから我々の事務所で手合わせするのはどうでしょうか!不調の原因が何なのか我々も見てみた方がいいと思いますし、狩魔の事もあります!狩魔にとっても他の班の神力を見ておくのはいい経験になると思います!」

棲蝋は「そうだな......」と頷く。

「確かに丁度いい機会だな。よし、では仁鬼さんと土鬼さん。我々の訓練場で狩魔の手合わせをお願いできますか?」

「こちらとしても有難いな。ぜひ頼む。狩魔と言ったな、俺は仁鬼でこっちが土鬼。土鬼は違うが俺は成界生まれなんよ。広島で組の幹部しとったんじゃ。たまに広島弁でるけど聞き取ってな」

仁鬼のごつい掌が狩魔に差し伸べられ握手を求める。今は友好的だが後でこの拳で殴られるのを想像するとうっすら鳥肌が立った。

「よし、じゃあ詳しいルールは歩きながら話すか。顎兜、引き続き警護頼む」

「はい!!」


 見張りの仕事がある顎兜を門に残し5人で事務所の訓練場に向かう。外観も凄かったがこの事務所は内装も如何にも旅館という感じがした。全体的に和風の建築は狩魔の祖父母宅の縁側を思い出させた。

「やっぱスゲーなぁここは。よくもまぁ5人で回してるよ。どっからこんな金が湧いてくるのか...」

土鬼が感嘆の溜息を漏らす。「うちは凄い貧乏なのになぁ。なぁ仁鬼」と余計な一言を付け土鬼はアッパーにより宙を舞った。

「乱屠と顎兜を中心に皆頑張ってくれてますからね」

「経理担当の泡蒔がケチだからだよ」

こちらは乱屠が拳骨を頭に喰らった。

「痛ええぇぇー」

「お客さんがいる時にそんなこと言うんじゃない。......あぁそうだ手合わせの事なんだが...」

棲蝋が歩きながら狩魔に視線を向ける。

「基本的には帝社で乱屠とやったものと同じだと思ってくれていい。まぁ最低限のルールはある。当たり前だが殺してはいけない。訓練場内で収まるように戦う事。あと後遺症が残るような神力を出そうとしたり万が一暴走したりしたら俺らが躊躇なく瀕死に追い込む。安全のためだ。今回は狩魔の身体の動かし方とか神力の特徴とかを把握するための手合わせだから全力を出してくれ。仁鬼さんも土鬼さんもかなり場数は踏んでる。そう簡単に死なないから大丈夫だ。殺すつもりでやってくれ」

それを聞いた2人は笑いながら狩魔を見た。

「気を使わなくていいぞぉ。初対面はまぁ......最悪だったがうまくいけば結構強いからなぁ。あ、あと乱屠はメロン食わせときゃ落ち着く。覚えとけ」

「今回は狩魔の手合わせと俺らの神力のチェックもある。俺の神力の都合上最後は多対一になるが最初は一対一で戦うようにしよう。じゃあ最初は俺とサシでするか。よろしく頼む」

しばらく進んだ先にあった重そうな扉を開くと石で作られた体育館の様なものが見えた。重厚な雰囲気は狩魔達を一気に緊張させた。

「ここが訓練場だ。狩魔、あまり神力の扱いは慣れていないと思うが本気で戦えば見えてくるものがあるはずだ。あとこれ、この日本刀は今回の狩魔の得物だ。持っておいてくれ。じゃあ両者中央へ。土鬼さんは一旦端に。乱屠は先に観戦エリアに。準備はいいか?よし......始め」







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