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あたしと補導

 アタシの名前は畠中空人。


 今は女の子だ。今は! 


 そう、アタシの身体は一時的に女の子になってしまったのだ! 


 しかも超絶美少女!! あっ、一人称が『アタシ』なのは気分ですハイ。


 黒髪ロングの超絶美少女! ヤッタァ。


 フツメンガリガリの男人生を送っていたアタシの人生好転換!


 気分のいいままに深夜のコンビニで沼団子でも買おうかと外に出る。あっ、沼にセブンはないんだったァ。と外に出る浮かれるかわいいア・タ・シ。




 ――だが、そんな私は今、アタシ史上最大級の危機に瀕していた。


     *


「不法滞在ぃ〜!?」


 沼警察署の狭くて古い取調室。向えの席の美人な警官の放った言葉がアタシには信じられない! 


 深夜に美少女ひとりで歩いていたと言うことで補導されたのだ。今のアタシは女の身体なので当然運転免許証も専門学校の学生証も通用しない、女の子になってから一日目で早くも困難がぐぬぬ。


「身分証明できるものがないんですから、こちらとしても対処のしようがない。ですので、これからあなたを然るべきところに連れて……なんです?」


「警官さん! お化粧が上手ですね! どうやってやるんですか」


「は、はあ?」


 美人警官は形のいい眉をひそめた。そう! アタシの興味は美人警官さんのメイク術にあった! 


 ぶっちゃけて言うと不法滞在なんかよりそっちに目がいっちゃう! 気になってしょうがない。


 女の子の身体になって一日。まだ美容とかには意識を割いていなかったのだ。


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