表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

蠱毒

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

なんでも許せる方向けの、ドロっとした小説です。

「過密地帯で良いところは、蠱毒になるところ」

彼女はそう言って、紅茶を飲みながら言った。


彼女は基本的に控え目で、影が薄い。誰かと食事に行った時にも、自ら発言する事はなく、ただ無言で箸を進めているような。兎にも角にも存在感がなく、居ても居なくても同じ様な人だった。

それでも彼女はそれを良しとしている様で、無闇矢鱈に目立つ真似はしなかった。ただある一点を除いて。

「目立つの嫌いな癖に、自らの作品を公表する真似はするんだな。それもコンテスト系統のタグまで付けて」

彼女の趣味は創作である。小説から絵描きに至るまで、一人で黙々と作業出来るのを好む。前は小さな投稿サイトに所属していたが、今は大型サイト。彼女に似合わなさそうな、多くの目に晒されるものだ。あまり目立つのを好まなさそうな、彼女らしからぬ行動だった。

彼女は延々と筆を走らせながら、俺の話を聞き流す。暫く返事はなかった。けれども一区切り着いたのか、漸く顔を上げて此方を見た。大人数に埋もれてしまいそうな、特徴のない顏。けれども目だけがとろりと溶けて、此方を見る。

「矛盾してるって思ってる?」

「あぁ」

「矛盾してないよ。だって蠱毒だもん」

彼女は俺の返答に、表情一つ変えることなくそう言った。それからまた、延々と筆を走らせる。

「だってこんなに大勢多数の中で、高々コンテスト用のタグ付けたって、私の作品、誰も見ないもん。この世界で唯一勝残れるのは、選りすぐりの作品だけ。有象無象はその頂点に座する者の玉座になる」

「……」

想像するのは、数多の屍の山に座した、輝かしい王だった。数多の名もしれない作品を排した中で、全ての視線を総取り出来る唯一の存在。お前はそれになりたくはないのか。

「大型サイトの無名の作家。大都会の凡人。それでいい。誰も彼も他人。私はそれが良い」


「ネットに書いた文字は確かに消えないし、収集なんて付かないよ。でも、それをかき消せしてしまう程、文字に溢れている。まるで蠱毒の様に」

大都会ってね、蠱毒なんですよ。

勝ち抜いた人しか、皆見てくれないんです。


あの場所は確かに温かったけれど、全てが筒抜けでした。

まぁ、今もある意味では同じですね。

思考に制約を掛けます。何時だって。


作家になるつもりも、売れる気もないのに、何故毎日投稿を続けるかって、お思いになれると思うんですけど、


大多数の中で自分がどれくらいか客観的に見る為です。

これで勝ち抜いたら、きっととてもいい物なのだろう。

でもそれは億が一にもありはしない。

どれだけ書こうとも、きっと作家になる事はない。


という思いからです。

そう言った意味で心地が良い。


重たい話になってしまったので、軽い話でも

有象無象という言葉が好きなんですけど、その言葉を知ったのって、小説からなんです。

白蛇の女の子がブチ切れて言い放った台詞。

『有象無象!!』

ギャップで美味しいお米が3杯食えます。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ