3 今どきの中学生って…
幼馴染から小さい頃から好きだったと告白される、そんな王道話に学生の時は憧れていた。
しかし、そもそも現実的に私にはそんな環境はなかったので関係ない話
そう思っていたのに
予想もしない形でその学生の頃の憧れが叶ってしまった。
「おはよう、由美子ちゃん」
「お、おはよう…誠くん…(今日も来てる…!)」
ある休日の昼下り、家族ぐるみで仲良くしているお隣さんの子、中学生の誠くんから告白をされた翌日以降、彼は毎朝私が出勤する時間に合わせて、家まで訪問してくるようになった。
今では駅に向かう道中にある誠くんの中学校まで、他愛もない話をしながら共に歩くのが日課となっている。
最近、私はこの時間が苦手だ。
「でね、由美子ちゃん。大好きだよ。今日こそ俺の彼女になってよ」
……これである。毎回、もれなく誠くんの猛アプローチが付いてくるのだ。
「誠くん、毎度言うけど……私誠くんのことそんな風には見れな---------」
「その理由が年の差なら、納得いかないよ。前にも言ったけど、小さい頃から由美子ちゃんが好きだったんだ。------大きくなったら、お嫁さんになってくれるって…約束したよね?」
まだあどけないその顔で、眉毛を下げ目を潤ませてこちらを見てくる誠くん。
~~っっ!そ、そんな顔しないでよ~。
「…言ったよ?言ったけど…それ誠くんが幼稚園生だった時よ?それに結婚は18歳になってからじゃなきゃできないんだよ?」
…て、あれ?そもそもお付き合いの話だったのに、なぜ結婚話になってるんだ?
「うん!だから結婚前にお付き合いと、できれば同棲もしといた方がいいと思うんだ!」
結婚前提?!
え、えぇ…。可愛い満面の笑みでなんか凄いこと言ってるんだけど…。
ホントにこれは私の知っている誠くんなのか?
「あ、もう学校着いちゃった。じゃあ由美子ちゃん!考えといてね、また明日!」
誠くんはそういうと、さっきまでの熱烈なアプローチをしていたとは思えないほど、さっと学校の方へ行ってしまった。
「えっあ、ちょ…」
あまりの衝撃に結婚否定しそこねてしまった…。
「え、てか今どきの中学生って同棲まで考えるものなの…?」
私はまたこの前の初めて告白された時みたいに暫く立ち尽くすのであった…。
…誠くんの猛アプローチはまだまだ続きそうです…。