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02

 そしてやってきたパーティー当日。私はラピスお兄様とスピネルお兄様に選んでもらった、緑色のドレスを着て入場した。中では美しい女性たちが楽しそうにお話ししていて、その中心にロレッタお姉様が柔らかい笑みを浮かべていた。さすが聖女様、遠くから見ても輝いて見える。反対にルージュお姉様は美の化身という存在感がある。2人はお互い離れた場所にいた。


「皆さん、お集まりいただきありがとうございます。このパーティーを開いたのは先日、緑色のドレスを着た者が自分の助けとなる者だと夢でお告げを受けたからなのです。」

 そんなピンポイントなお告げってあるのかな。私の服の色を見て決めたのでは…。そう思っていたが、私のほかにもう1人緑色のドレスを着たお姉様がいた。ロレッタお姉様と同じかそれよりもう少し幼いかくらいの、大人しそうなお姉様だった。


「あら、2人もいらっしゃるのね。」

「…聖女様。私はもうすぐこの学園を去る予定です。聖女様の助けとなる者ではないと思います。」

 残念そうに言う彼女のそばにルージュお姉様が寄り添った。その笑顔と言ったら悪役のような笑顔で、彼女が何かしたのであろうことはすぐに予想できた。


「…素敵な方と婚姻するそうよ。この機会をつぶすような真似を聖女様がするとは思えません。」

 クスリと笑うルージュお姉様。どうやってそんなことを仕向けたのだろうか。謎が多い。


「それは素敵なことね!おめでとう。…でも、そうなると貴女になるのかしら。お告げによるとなるべく一緒にいるようにとのことだったけれど、貴女はまだ初等部の子よね。特別授業だけでも一緒に受けられるように考えてみようかしら。」

「通常授業にまで高等部に参加していると、初等部の子たちと距離を置くことになるもの。それは彼女にとっては大変だろう。聖女様の都合に合わせすぎるのもよくないと思うな。」

 私抜きでどんどん話が進んでいくが、周りの人たちはロレッタお姉様とルージュお姉様の美しさにほれぼれしていて、疑問を持つものはいないようだ。でも私自身、ここでお姉様たちの案に乗らなければ、何も知らないまま物語は進み、そして会う機会もかなり減ってしまうのだろう。学年から違うのだから、彼女たちと多くの時間を過ごすためにはこの方法しかないのだ。学園を卒業した後に2人に会える保障などどこにもないのだから。


「貴女のことは必ず守るわ。だから、自分の手をとってくれないかしら。」

 差し出されたその手に自分の手を重ねる。するとロレッタお姉様は優しく微笑んだ。


「皆さん、この後自分はこの方と少しお話します。ですからその間パーティーをお楽しみください。」

 そしてそのまま私の手を引いて控室まで移動した。ルージュお姉様は一緒に行かないみたいだ。一体何の話があるのだろう。

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