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始まりは秘密を覗いて

 私はアンジュ・クラーク。貴族家に生まれたお嬢様で歳は7歳になる。両親や3人のお兄様たちに大切にされてすくすくと成長したのだけれど、私には誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶を持って生まれたことで、前世は普通の会社員だった。前世の記憶を持ってると言ったら変な子だと思われるだろうし、私はこの事を秘密にするしかなかった。


 前世で流行っていた異世界転生もののように、今世は前世でのゲームや漫画の世界だとか、そんな都合の良いことはなく、知らない世界で一から自分の人生を生きている。特に今のところチートのような能力は自分は使えないし、神から贈られたギフトがあるとすれば、優しい家族だろうか。


 現在、グラヴィタス学園の初等部に通っている私は、長男のセシル・クラークを待っていた。珍しく、高等部のセシル兄様が授業が早く終わるとのことで、一緒に帰ろうという話になった。高等部の中庭で待っていたのだが、小さい子は私しかいないからかなり目立ってしまい、人があまりいなさそうな奥の方へ進んでいった。自分の家族以外のお兄様たちやお姉様たちってなんか怖いし。


 そして、奥に進むと誰かの話声が聞こえた。楽しそうに話す女の人の声だ。こっそり声のする方を覗いてみれば、高等部の制服を着たお姉様2人がお茶会をしていた。ただのお茶会なら問題ないけれど、お茶会を開いている人物に問題があった…。


 1人は茶色の髪に桃色の瞳をもつ、優しそうな雰囲気のお姉様。彼女は神官から聖女であると予言を受けた、今注目の女性だ。乙女ゲームなら主人公に当たる人物だろう。もう1人は赤色の髪に金の瞳を持つ、近づき難い美しさを放つお姉様。彼女は傲慢で嫌な人と言う噂がある女性。ゲームで言うなら悪役令嬢だろう。そんな2人がどうして一緒にお茶会を…。


「…はぁ、ついに高等部まで進学してしまったわ。ここからゲームの物語が始まるのよね。」

「そうだな。私も断罪エンドにいかないよう祈るか。」

「…自分は他人の恋愛を見て楽しみたいのに、どうして主人公に転生しちゃったんだろう。」

 これは絶対に聞いてはいけないものだ。まさか転生者が私の他にもいるなんて。しかも今世はゲームの世界なのか…私はそんなゲーム知らなかったから、前世は彼女たちとは別の世界かな。


「さて、君はどこのお嬢さんかな?」

 考えていたらとても美しい悪役令嬢に声をかけられた。威圧感があるというか、私は泣かないけど、多分他の7歳の子だったら泣いてる。初等部の女の子を泣かせたと、悪い噂が広がってしまう…。

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