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5.言語取得 (月に驚く描写、異世界の夜空に黒点と呼ばれる真っ黒な天体の情報を追加:2020/12/14)



 日がな一日少女は最小限のトイレやお風呂以外特に部屋を出ることもなく。例え、ドアの外から声が聞こえたとしても少女は動かない。人の気配がなくなってから初めてドアに近づき外に置かれている食べ物を持ってきているようだ。私も彼女が箱に入れてくれた食べ物を食べて生活している。


 最初こそは毒などを警戒していたが、どうやらその心配もないようで今では口に少量含んでみるだけの簡単なパッチテストだけにしている。


 少女は部屋で絵と人が映っている光の壁を起きては日中ずっと見て寝るの生活を繰り返していた。

 最初は壁際に置かれていた私だが、数日したら慣れたようで今では私の入った箱を少女の脇に置いている。おかげで光の壁ははっきり見え、そこから聴こえる声を聴いているうちに少しだけだがこの世界の言語が分かるようになってきた。


「この子……食べ物は縺。繧�s縺ィ鬟溘∋繧九¥縺帙↓縺�s縺薙→縺九@縺」縺�……逞�ー励°縺ェ��」


 少女が子声を出してこちらに目を向け、箱を持ち上げて下から隅々まで見てきた。食べ物がどうかしたのだろうか?


 そういえば毎回少女は自分が食べるより前に私にくれている気がするのだが……まさかあれは毒見だったのだろうか? これからはパッチテストはもう少しきちんとしよう。


「縺ァ繧ゅ€√ロ繧コ繝溘□縺玲ュサ繧薙□繧峨ヨ繧、繝ャ縺ォ縺ァ繧よオ√○縺ー縺�>繧�」


 少女は何かを呟き(つぶやき)再び私を脇に置いて、光の壁を見始めた。



 そして月日はたつ。朝日がカーテン越しにぽかぽかと部屋を照らし、雀の声に目が覚めた。


 私がこの部屋に来て半年ぐらいたち、季節は春になる。私もこの国の言語をようやく理解できるようになった。


 そしてやはりここは私のいた世界? 星? ではなく地球と呼ばれる星らしい。そしてこの地球の中でもやはりいろいろな国があり、今私がいるのは日本と呼ばれるところにいる。


 この世界に始めてきて最初に見た空の上に異様に光っていたのは太陽と呼ばれる星だった。そしてそれらがある黒い空間が宇宙であり。そこに様々な星があることも知った。


 私はそのどこかの星で死に。この星のネズミに転生してしまったのだろうか。だがしかし、だとしても赤ちゃんなどではなく途中で転生されるなんて聞いたこともない。 いや……もしかして人間で死んだ場合は途中だとしてもネズミやら動物に転生してしまうのだろうか?


  どうせ言葉は通じないのだから私たちには分からない……だとすると私も今まで貴重な存在を分からずのうちに殺してきたのかもしれない。


 街に入って最初に屋敷に行ったときに出現した光の壁だが、あれは魔法ではなく立体映像? と呼ばれる光を出す電気で動く装置が出しているらしい。


 電気とは何かはよく分からないが、どうやら鉄やら金属の中を通らせて使う魔力みたいなエネルギーで、それは自力で水やら火やらを使って作らないといけないらしい。

 そして私が追いかけていた白い虫だが、あれはドローンと呼ばれる。プロペラをこれまた電気を使って物を運ぶ装置で、途中で見た大型の物は人を運ぶドローンだった。


 つまるところ、私はこの星に来てまだ1度も魔法や魔術を見ていないのだ。しかし、一応似たようなものはあるようなものが少女がずっと見ていた光の壁……いや、立体画面で映っていた絵の方はアニメと呼ばれる絵で作った物語のようでその中で、雷? と呼ばれる光る電気を扱った魔法まで存在しているようだ。


 そして驚くべきごとに物語だけの話ではなくこの星では実際に雷が落ちてくるのだ。私の星ではそんなものは見たことも聞いたこともなかったから、最初に見た時は驚いた。急に光ったと思ったら次は爆音が家まで揺らしてくるのだから。さらにもう一つある。この星の夜空に私の星のような黒点と呼ばれていた真っ黒な星はなく、月と呼ばれる太陽ほどではないが光る星が存在していた。


 私がこの星に対してここまでの知識をつけているなか、銀髪少女はこの半年間何をしていたのかというと一日中ゲームやアニメをしながらもう片方の立体画面ではニュースか何かを流す生活をずっとしていた。最初はアニメを見せられても特に興味が湧かなかったが、少女と一緒に観ていくうちに。なるほど、在りそうでないギリギリをせめて視聴者たちに夢を与えている素晴らしいもの、作品が多数であった。


「っん――」


 声がし、ベッドの方を見るとその少女、中院(なかのいん) 結衣(ゆい)。彼女が起きたようでまだ眠たそうに眼をこすり寝癖が残った銀髪を揺らしながらパジャマ姿でベッドを這いずっていた。 なぜ名前を知っているのかというと扉の外からそう呼ばれていた時があったからだ。おまけにゲームのキャラクターの名前もそのままにしているので分かりやすい。


 そして今日もまた一日中アニメを見る生活が始まる……そう思っていたが、なぜか今日に限ってはそうじゃないらしい。

 

 彼女はパジャマをぎこちなく脱ぎ捨て、下着姿になりふらふらとクローゼットから白い制服を取り出し着替えた。そして次に右胸には鼠の模様のワッペンがある黒ローブを上に羽織った。


「中院 結衣様、本日より学園の方に行かれることになりますので。どうか……どうかお出になってください」


 タイミングを計ったようにドアの向こうから声がした


「分かってる。今出るからすこし待って」


 彼女は虫かごに入っている私のもとに駆け寄ってきて虫かごを胸に抱き、ドアを開けた

 

「あー、良かったです。旦那様も本日おいでにならなかったらどうしようと頭を抱え心配しておりました。あの……ところでその胸に抱えている虫かごは何なのでしょう?」


「……」


 何も言い返さない彼女を不審に思ったのか、お迎えに来たメイドは虫かごを覗いてくる。


「ッ! いけません。お嬢様、このような小汚いネズミにはばい菌やらがたくさんいるのです! 一体屋敷のどこから拾ってきたのですか?! 今すぐ私にお渡しください」


「ッダメ! 私のペットとして学園に持っていく!」


「何を言っているのですか?! ペットとしてならご主人に頼めば無菌のネズミぐらい買ってくださいますでしょうからそっちにしたほうがいいですよ! それにネズミを買うくらいなら犬や猫を飼ったほうが可愛いですよ!!」

 

「ッヤダ!」



 彼女はそう言い、私を抱きながらしゃがみこんだ。



「……お嬢様ぁ」


---------------------------------


 メイドは困り果ててしまった。毎日部屋にこもっていたお嬢様がせっかく出てきて学園に行こうというのに、その胸には虫かごに入った小汚い野生のネズミがいたのだから。言い合いの末、お嬢様はしゃがみこんだままそっぽを向いてしまった。


「私はお嬢様の身を考えて言っているのですよ!」

 

「…………」


 何を話しても反応すらしなくなった。しかし屋敷の中は害獣用のプログラムで守られているはずなのに一体このネズミはどこから侵入したのだろうか。バグ? あとで設備会社に文句を言わなくては。どうしたらいいかと困り果てて立ってたところ。


「……やっぱり、出てこないかね」


 今度は旦那様が自ら出向いてきました。


「いえ、出ては来てくれたのですが……」


「本当か!? なら良かったではないか! ん、なぜ結衣はしゃがみこんだままなんだ」


「それが、その……屋敷のどこかからか、野生のネズミを捕まえたようで……それをペットとして学園に持っていくとおっしゃるんです」


「っはぁ? ネズミだとぉお゛!? ……どきなさい」


 旦那様は額に青筋を張りながら私を押しのけ、お嬢様のところに向かった。


「いいかい? 結衣、私は怒ってなどいない。怒ってなどいないのだが、野生のネズミというのはペスト菌やらハンタウイルス、様々菌を持っているんだ。それらは直接触らなくても糞や尿、唾液に触るだけでも危ないんだ。無菌のペット用のネズミぐらい私が買ってあげるからそれを渡しなさい」


 笑顔で旦那様はそう言いますが、額を非常にピクピクさせています。脇目から見ても説得力が全然ありませんね。


「ヤダ! 私はこのネズミを飼いたいの! それに糞や尿だってこのネズミ半年間してないもん!」


「は? 半年ぃ?! そんなに飼っているのか! っていうか糞や尿をしないとかそんな簡単な嘘には騙されないぞ」


「嘘じゃないもん! このネズミがいないんだったら私学校に行かないからっ!」


「ックッククゥグゥ……ふぅ、分かった分かった。だが、確認するがそのネズミに一切触ってはいないな?」


「ッうん!」


「半年もの間、糞と尿はどうしたのか正直に言ってごらん。お父さんは怒らないから」


「本当にしないんだもん! 最初は病気かもと思ったけど1か月2か月ずっと食べていても全然死なないし、そうゆう魔獣なんじゃないの」


「ごめんな結衣……魔獣は魔法や魔術を覚えた犬や猫のことぐらいで、糞をしねぇ魔獣なんてものをお父さん聞いたこともないんだ」


「信じないならもういいよッ!」


「本当にごめん、学園入学式は午後からだからとりあえずは結衣は病気を移されてないか病院に行こう? そのネズミも一緒に連れて行くのを許すから、でも一旦動物病院で見せてくるから秋山に渡して……さ」


 ひっそりとウィンクしながら名を呼ばれた私はすぐに話を理解しました。

 似たようなネズミを至急ペットショップから取り寄せるのですね!!


「分かった……」


 ようやくお嬢様も落ち着いたようで、立ち上がりこちらに虫かごを差し出したので持って引っ張りますがなかなか手を離してはくれません。

 

「……ど、どうかなされましたでしょうか」


 すぐにお嬢様は答えずただただ私と旦那様をじっと見つめていました。

  

「……秋山さん、お父さん。途中でネズミ変えても分かるからね。ちゃんとこの子を病院から連れ帰って来てよ」


 こちらのすべてを見透かしたような発言に旦那様と私は引きつった笑顔をするしかありませんでした。

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