其の一 吸血鬼
初めましての方は初めまして、お久しぶりの方はお久しぶり(初投稿なので全員初めましてですが)木下 太一です。投稿するのにジャンルの設定が必要と言われ、『ジャンル?……これ、何のジャンルなの?』とかなり戸惑いました。などという作者の事情は無視してどうぞお読み下さい。
「はぁ……今日も良い満月だな、こんちくしょう。」
と満点の星空の下、黒い蝙蝠のような翼を持った男は日本という国のもある田舎町の古びた家の屋根の上で呟く。その口元では鋭い犬歯が光っており、それが一層男を不気味にしている。そう、男は吸血鬼なのだ、しかし、その青白い顔にはいつもに増して血の気が無い。何故か?話すと長くなるが最近血が全く吸えていないのだ。皆夜に出歩く事は少なくなり、家に侵入しようにも鍵がかかっており、ならば死体を!と思えばこの国では死体に肉が残らない、火葬と呼ばれる方法で肉は焼き払われてしまうからだ。今さらながら100年程前に『海外にも吸血鬼というものを知らしめてくる!』と言って仲間の忠告を無視してこの極東の地まで来たあの決心を後悔している。だがもう戸籍を日本としてしまったので故郷に戻ろうにも戻れない。こんな場所まで来る物好きな同族は全く居ない。そう、日本という国にいる吸血鬼という種族は男一人なのだ。だが、情報というものは海をも越えて伝わるようで、男がこの国で吸血鬼の被害者をほとんど出していないにも関わらずかなり知名度がある。自分が妖怪として形を保っていられるのもそのお陰だ。もともと吸血鬼はとある例外を除き不死身だが誰にも認知されていなければそれは妖怪にとって死んでいるようなものなのだ。あちらで未だこっそり活動しているであろう同族に感謝しながら俺は屋根を降りる。ちなみに最近血を吸えていないからか魔法が使えなくなった。そのため、この田舎町に来るのにも背中の羽を使い、ゆっくりと飛んできたのだ。本来なら瞬間移動をするのだが、この際仕方ない。そこまでして、何故こんな田舎町に来たのか、その理由はこの町の端にあるとある山に有る。その山の頂上には神様が祭られており、聞いたところによると何でも願いを叶えてくれるらしいのだ。それを聞いた時の俺の喜びと言ったらもう……。嘘だろうが噂だろうが何でも良い、とにかく俺はあの時の自分にこう言いたかった、『日本に行くな!』俺は神様にタイムスリップをさせてもらい、100年程前の自分に会うのだ。それが俺の願い、叶えてもらえるのか、そもそも神様がいるのかどうかもわからないが、とにかく山を登る、まずはそれからだ。そういうことで、背中の羽を使い、これまたゆっくりと山の頂上まで向かった。
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そこには祠がポツンと一つあるだけだった。周りには祠を取り囲むように木が生えており、唯一木が無い南側は展望デッキのようになっており、低い木の柵が張ってある。そこからは先刻俺が見上げていた満月が煌々と輝いている。その満月の光が祠へと降り注ぎ、その祠をさらに神秘的に見せていた。俺が故郷でも中々見たことの無い程綺麗な景色に見とれていると、
『おい、お主、見とれているところ悪いが何の用じゃ?』
という女の子のような、エコーがかかったような声が祠から聞こえてくる。
「え?だ、誰だ?」
と俺が突然の声に戸惑いながら言うと
『ここの神じゃ、皆は【山の神】と呼んでいるが……まぁ、何と呼んでもらっても構わん、で?何の用じゃ?』
と山の神は再度質問してくる。俺は戸惑いながらも事情と願いを口にする。
『なるほど、わざわざヨーロッパから来たのかと思っていたが、そういうわけではないのか。』
と山の神は納得してから
『で、肝心のお主の願いじゃが、うむ、叶えてやろう。』
と言う。
「ほ、本当に?」
と俺が言うと
『タイムスリップぐらいは簡単に出来る。』
と山の神は答える。よっし!と心の中で叫びながらこれまた心の中でガッツポーズをする。すると山の神が
『喜んどる所悪いが、一つ条件じゃ。』
と言う。
「じょ、条件?何ですか?」
と俺は、まさかタイムスリップすると死んでしまうとかそういうことだろうか……。などという事を考え、思わず敬語になってしまう俺に、山の神は
『何、そう難しいことでもないし、危険なことでもない。』
と言い、続けて
『絶対に死ぬな』
と言った。
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不死身の俺に対し死ぬなとはどういうことだろうか、などと考えながら俺は山の神が産み出した過去に行けるという不思議な穴に一歩踏み出し右足を入れる。結局、山の神は詳しく教えてくれず、ただ『お主がヨーロッパを出る二時間前にタイムスリップさせる』とだけ言っていた。特に気にする事も無く、俺はもう一歩踏み出し左足を入れる。全身が穴へと入り、それと同時に目の前が真っ白になった。
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俺が目を開けるとそこにはさっきと同じ光景が広がっていた。
「あ、あれ?タイムスリップしたの?これ……」
と俺が戸惑っていると目の前にある祠からさっきと同じ声が聞こえてくる。
『む、来たな?"未来の儂"から聞いておるぞ、今回はサービスじゃ、ヨーロッパまで送ってやる。』
とおそらく100年程前の山の神がそう言う。色々と聞きたいことはあるがこの際何も聞かず山の神の好意に甘えることにした。再びさっきと全く同じ穴が現れる。俺は正直狐か狸か何かに化かされてるのでは?とも思ったが、それならそれで良いか、と考え、再びその穴に入る。すると今度は目の前が真っ白になることはなく、何やら不思議な空間の中を移動し始める。
「お、おぉお?」
と何とも言えない浮遊感に驚きの声を挙げる。そして俺が声を挙げてから数秒後、今度はいきなり浮遊感が無くなり"落ちる"。
「あぁああああぁぁあ!?」
おそらく山の神が祭られていた山の頂上の高さから落ちたのだろうと理解すると同時に羽を広げ、その場で停止する。
「ふぅ……。」
と地面との衝突を回避した安心感が広がった所で、今自分がいる場所が"昼"であることに気づく。
「な……昼!?や、ヤバい!灰に……。」
というか普通は日に晒された時点で灰になるはずだが……。まさか……。
『サービスじゃ。』
とどこからか山の神の面白そうな声が聞こえてくる。あの人……いや、神か……。絶対俺が落ちてるところも、昼だと気づいて慌てる所も見てたんだろうなぁ。と、山の神の意地の悪さを垣間見る。
「おっと、こんな事をしている場合じゃねぇな。」
山の神は『お主がヨーロッパを出る二時間前にタイムスリップさせる。』と言っていた。ならば今すぐにでも過去の俺を探しだして、日本に行く事を止めさせなければいけない。昼ならば吸血鬼たちは隠れ家にいるはずだ。俺は山奥にある隠れ家へと向かう。その途中
「……今から2時間後も昼だが俺は一体どうやって日本に行ったんだっけ?……あぁ、瞬間移動か……。」
と昔の事を思い出す。というかこの頃はまだ瞬間移動を使えたのか……。最近血を吸えておらず、魔法をろくに使えない俺は瞬間移動を使う。という響きを少し懐かしく感じた。これが上手くいけばそんな感情を抱くことも無くなる。そう思って俺は久しぶりに血を吸うときのように高揚していた。
「さて……もうそろそろ見えてくる筈なんだが……。」
と呟くと、予想通り山の中にひっそりと建っている大きな屋敷を見つける。
「お、あった、あった、いやー、懐かしいなぁ、100年ぶりかぁ……。」
今俺がいる時代から100年後もおそらく健在であろうその建物を見て俺は懐かしく感じる。あそこには家族はもちろん、同族が何人も住んでいる。そういえば吸血鬼も子供を作れる。それならネズミ算式に増えるのではないか、と言う者もいるが、その心配は無い。何故なら、子供を作った吸血鬼は不死身では無くなる。もちろん、子供を作らずとも日の光を浴びたり、心臓に銀製の物を打ち込まれたり十字架を長時間見たりすると死んでしまうが、子供を作った吸血鬼は必ず子供を生んでから200年後に死んでしまう。だから吸血鬼はその数を維持するために子供を生む時は必ず二人以上生む、俺の両親はまだ俺しか生んでいなかったが、俺が出ていってしまったのでさらに二人程生んでいることだろう。などという事を考えながら、昔の事をまた一つ思い出す。
「そういや父さんは最後の最後まで俺が日本に行くのに反対してたな……。」
もちろん母も反対していたが、父程では無かった。俺が出ていく直前にも変装をして正体を隠して現れ、『行くな!』と言った、その変装はかなり下手だったが……。あそこまで頑固だとは思っていなかった……。と昔の俺が思っていた事も思い出した。そしてそんな父に反抗して……というかむきになって日本に行ったのも思い出した。なるほど、俺が日本に行ったのは父の頑固さと俺の反抗心のせいだったのだ。これは父にもあまり反対するな、息子が不幸になる。と釘を刺しておかなければ、と考えたところで俺は一旦思考を止める。屋敷にたどり着いたからだ。
「えっと、確か俺たち家族の部屋は西側の左から三番目……」
と100年前の記憶を頼りに自分たちが住んでいた部屋を見つける。部屋の窓から部屋の中を伺うと、そこには100年前のまだまだ小さい俺と……。
「……父さん、母さん……。」
俺にとっては100年ぶりの二人との再開は実に懐かしく、家出するかのように出ていってしまった事もあり、ほんの少し、背徳感を感じるものとなってしまった。あちらはこっちに気づいていないようだ。結構堂々と覗いているのだが……。『サービスじゃ。』という声が再び響く。何となく予想していたがやはり山の神の力らしい。山の神のサービスを有りがたく感じながら部屋の中での会話に耳を傾ける。
「……から!駄目だといっている!」
父だ。驚いた。今の俺の声とほぼ同じだ。
「何で駄目なのさ!」
と言うのは100年前の俺だ。
「お前はまだ半人前!海外に行くことなど許すわけあるか!」
と父は怒鳴る。
「ならどうすれば良いんだよ!」
と俺も負けじと大声を挙げる。
「俺の力を追い抜いたら許してやる。それまでは駄目だ。」
と言うと父はそれ以上話すつもりは無いというように椅子にドカッと座り込み、窓の方を向いて、その後に俺が何度話しかけても振り向くことはなかった。俺は
「~~~!」
と言葉にならない怒りを飲み込み、『バン!』と勢い良くドアを開けて部屋を出ていく。それを心配そうに母が追いかけようとするが、父が
「追いかけなくて良い。」
と言う。母はそれに渋々従い、近くにあったソファーに座る。こんのくそ親父。と俺は悪態をつく。思い出した。この日の俺はいつもは母が慰めに来るのにこの日は来なくなっかったのでとうとう母にまで裏切られたと思い、ガックリしていた。父さんのせいだったのか。くそぉ、一体何でそんなに俺が日本に行くのに反対したんだよ。俺が今みたいになるのをわかってたからか?いや、それなら父は理由として『血を吸えないから』と言うはずだ。それならいくら俺でも了承したことだろう。ならば父には息子に日本に行って欲しくない、他の理由があるはずだ。それを探ろうと思い、俺は両親が再び話始めるのを待った。しばらくして、母が口を開いた。
「いいんですか?こんな追い出すように……。」
と母は言う。どういうことだ?と俺が耳を済ませていると、今度は父か口を開く。
「いいんだ、こうしないとあいつは出ていかない。」
"出ていかない?"父は出ていかせようとしているのか?だったら何故日本に行くのに賛成しないんだ……いや、逆か、賛成されていたらあの時の俺はそれで満足してここを出ていかなかっただろう。あの時の俺は認めてもらいたかっただけなのだから。ならば何故父は俺をここから出ていかせようとしているのか、その理由はすぐわかった。母が
「……これであの子は今日出ていってくれるのかしら……」
と言うと父が
「そうだな……いよいよ国中の聖職者たちが攻めてくるのは今日の16時だ、恐らくここにいる吸血鬼は子供だろうが女だろうが関係なく殺される、リーダーは最後まで戦うと言うが無理がある。それに俺たち三人が一緒に逃げるのを見逃してくれないだろう。」
と言う。国中の聖職者が攻めてくる?16時に?今の時間は部屋の時計を見る限り14時。そうだ、父と言い争いをしたのは昼御飯を食べた後だった。まさか……父は俺の考えや思いを全部わかった上で俺が出ていくように仕向けた?そんな……。父はもう16時まで部屋を出ていかないつもりみたいだ。変装の準備をする様子もない、ならば良い、これなら俺はここを出ていかない。母にまで裏切られたと思った俺があの時、出ていくか、それとも出ていかないか、悩んでいる時に変装した父が現れ、俺は出ていくと決心したのだ。変装した父が来なければ俺はここを出ていかない。父と母の思いを踏みにじるようだが、あの時の俺が聖職者の事を知っていたなら残っていたはずだ。何としても父が俺の所に行くのを防ぐ。俺も父と母と一緒に聖職者たちと戦う、もしかしたら俺が加わったことで勝てるかもしれない……そうだ、戦うのだ、俺も……。と決心したところで山の神の声が響く。
『決心したところに悪いが、それは無理じゃ。』
俺は歯ぎしりをして
「……運命ってやつか?そんなの知らねぇ、俺は……。」
と言うと山の神は
『おい、約束を忘れたか?"絶対に死ぬな"。』
と言う。
「っ!」
そうか、そういうことだったのか、確かにここで100年前の俺が死ねば俺も死ぬ。つまり山の神はここで100年前の俺を日本へと旅立たせろと言うのだ。そんなこと……。
「出来るわけねぇだろ……。」
と俺は呟く。山の神は一つため息をついて
『お主の両親の気持ちを踏みにじるのか?』
と言う。
「俺はそれでも……。」
と俺が言いかけると
『良いことを教えてやろう、実はお主、この過去に来るのは二回目じゃ』
と山の神が言う。
「……は?」
と俺が間の抜けた声を挙げると
『お主は前回ここに来たとき、100年前のお主を日本に行かせないという決心をし、自分を殺した、儂の出した条件を守らずにな、だから儂は"お主が過去に行った"という事実を消した。』
と山の神は言う。
「ま、待ってくれ、何で、何で俺をそこまでして殺したくないんだ?」
と俺が戸惑いと共に聞くと
『まぁ、お主が聖職者から逃れた最後の一人ということもあるが……わからぬか?とある者からの願いでな、願いを言われたら叶えないといけない。』
と山の神は答える。
「願い?一体誰から……。」
と俺が聞くと山の神は
『屋敷の裏側に回ってみろ。』
と言う。俺が言われるままに屋敷の裏へと回るとそこには一つの小さな教会のような物があった。あれは確か昔教会へ行けないがどうしても行きたい吸血鬼が作ったと聞く物……。
「まさか……。」
と俺がそれに気づく。
『うむ、あの教会に居た神が儂じゃ。』
と山の神は答える。確かにここは山で、山の中にある教会、山の神が宿っていてもおかしくはないが……。
「何であそこに?あんたはあの山の頂上にいるはず……。」
と俺が聞くと山の神は
『儂はちと特殊でな……まぁ、今は説明している暇は無い。』
と答え、続けて
『願いを言ったのが誰か、わかるじゃろ?』
と言う。普通西洋では吸血鬼やゾンビといった化け物と呼ばれる者たちは神やその力を借りる聖職者たちにとって敵だ。もちろん逆も然り、化け物たちにとって聖職者や神は敵だ。逆に東洋では神と化け物たちが仲良くしていることが多い。最初は驚いたが50年程で慣れた。それに慣れすぎたせいで吸血鬼である自分が神に願い事をするなどおかしな話なのだ。父と母は、敵であるにも関わらず力を持っていると分かっていた神に祈るしかなかったのだ。
『で?どうするんじゃ?答えを言っておくとあの日、お主の前に現れたのはお主の父ではないぞ。』
そう山の神が言う。俺はふぅ~。と落ち着くために息を吐き、準備を始める。屋敷にこっそりと忍び込み、吸血鬼の子供たちが遊びで使っていた仮面を付け、掃除用の手袋を付け、ブーツを履き、ごみ袋に捨てられていたボロボロのマントを羽織る。これで透明になっている俺も見えるはずだ。誰にも見つからないように屋敷を出て、日の光に当たらないように木の影に居る100年前の俺を見つける。そして俺はあの時、父が言ったと思っていた言葉を紡ぐ。
「おい、行くつもりか?」
という声で100前の俺はこっちを向く。この時にはもう声で父だと思っている。
「……なんだよ、父さん、変装までして何してるのさ。」
と呆れたような声。
「な、ななな何を言ってるんだ!私はお前の父では無い!」
となるべく慌てたふりをする。はぁ……。と100年前の俺はため息をつき
「何だよ、何か用?」
と言う。
「あ、あぁ……お前は日本に行くことで不幸な目に会うだろう。これは予言だ!」
と俺は目茶苦茶バカらしい事を言う。嘘だとバレバレだ。誰でもわかるだろう。案の定、100年前の俺はそれを嘘だと思い込んだ、父が自分を引き留めるために言ったのだと決めつけた。
「もいいい!何だよ、そんな変装に気づかないと思ってるの?俺は日本に行く!海外にも吸血鬼の事を広めるんだ!」
そう言って100年前の俺は瞬間移動の準備を始める。
「ま、待て!」
と俺は言うがもちろん100年前の俺は聞かない。というか父が本気で止めるつもりなら魔法で邪魔しただろう。そんなことに今さら気付き、仮面の下で自嘲気味な笑みを浮かべる。ふん。と100年前の俺は俺に背を向け
「ばいばい。」
と言って瞬間移動をする。今頃日本の奇妙な光景に驚いていることだろう。
『うむ、これで良い。』
と言う山の神に
「最初から俺の願い叶えるつもり無かっただろ。」
と言うと山の神は
『何だ?文句か?儂はお主の"100年前の俺に日本に行くなと言う"という願いを叶えたぞ?』
と返す。ぐっ。確かに俺は100年前の俺に日本に行くなとは言った。当初の思惑は全く逆の方向に動いたが……。まぁ、それでも良いか……。俺は笑う。
『では一度儂の所にワープさせてから未来の儂の所に送るぞ。』
と山の神が言う。
「あぁ、頼む……そういや、吸血鬼って俺以外居ないんだよな?」
と俺が変装ようの道具を脱ぎ捨てながら聞くと
『ん?そうじゃな。あぁ、何故あそこまで認知されているのか、ということか?単純な話じゃ、絶滅しても有名な動物はたくさんおる、それと同じじゃ。』
恐竜とかな、と山の神は答え、ワープ用の穴を俺の前に出現させる。俺は
「動物と同じにすんな」
とつっこんだ。
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『タイムスリップはどうじゃった?』
と帰って来てから聞いた山の神の第一声がそれだった。
「どうも何も……大変だったよ……まぁでも……。」
と俺は少し溜める
『でも?』
と山の神が聞き、俺は
「……大変だけじゃ無かったかな……。」
と今の気持ちを形容する言葉を持っておらず、変な事を言ってしまう。山の神が笑う声が聞こえるが今は無視する。過去に行く前と変わらず煌々と輝く満月が前より綺麗に見えた。
ここまで読んで頂き有り難うございました。連載小説と銘打ってますが、毎回主人公変わります。はい、時々話が繋がったりしますが、基本、一度出た主人公は出てきません。吸血鬼くんも同様です。それではまた次回お会いしましょう。※更新は不定期です。