生きることが怖い
掲載日:2018/06/03
仕事の帰り道、いつもの道をあるく。
駅から北へと向かい、横断歩道をこえる。
くたびれた足が重くて、ふと立ち止まってしまう。
今日の職場の出来事を考える。
最悪だ。取り返しがつかない。
失敗を責められて、逆切れをしてしまった。
明日の仕事を思う。
もう仕事場にはいきたくない。
会社員なんて自分には向いていない。
家に着いたら退職届を書こう。
そうして、コンビニのごはんをかきこんで、ネットで退職届の文章を確認する。
もう何回繰り返しただろう。
1DKのマンションで一人、膝を抱えてうつむいている。
明日が怖い。
日が過ぎるのが怖い。
生きていくのが怖い。
無力な自分が憎い。
携帯からSNSの新着メッセージを知らせる音が鳴る。
長らく、そんなものは見ていない。
一人開くと、昔の仲間たちの様子が見える。
いまは、地元でバイトしながら猟師をしているそうだ。
いまは、親元で薬局を手伝っているそうだ。
いまは、都会で漫画喫茶で店長をしているらしい。
いまは、駅の清掃で管理職をしているらしい。
皆の笑顔がみえる。
みんな生きることが怖くないのかな。
机の端に置かれた食玩のフィギュアが答える。
怖いから、せめて好きなことやりなよ。




