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第一章 プロローグ 生まれ変わる
第一章
プロローグ 生まれ変わる
私は普通の大学生だったと思う。
そこまで積極的ではなかったかもしれないけど、単位を落とさない程度には勉強したし、バイトでためたお金で友達と遊びに行ったり……
今日だっていつもと変わらない。大学に行って、バイトに行って、家に帰って眠る。なんてことはない日常。
でも目を開けると、そこは自分の部屋じゃなかった。体はうまく動かないし、目に映るのは薄い絹のような布だけ。
ここはいったいどこ?
何が起きたの?
そんな言葉が頭の中にあふれて、どうしようもなくなってくる。涙で視界がゆがみ、叫びだしたいような恐怖に駆られた。
「おぎゃーーーー」
私の口からこぼれたのは叫び声なんかじゃなく、赤ちゃんの泣き声だった。この時私は本当に混乱していた。ろくに動けないうえに、いきなり私の口からは赤ちゃんのような声が出たのだ。でもこの後私は今以上に混乱することになった。
「まあ、殿下、どうなさいましたか?」
時代錯誤な格好をしたこの女性によって……