3 主人公、魔法を覚える
ブックマークありがとうございます!
朝だ。朝が来た。今日から修行が始まる。
昨日修行は何をするか教えてもらった。まず剣術は素振りらしい……。地獄は続くんだな。まぁそんな憂鬱な気分も晴らすことがある。それは魔法の修行だ。師匠曰く俺は魔法の才能が少しあるらしい。なんでも「君には闇魔法の才能がある。それを生かさない選択肢はないだろう。」とのことだ。闇魔法か、楽しみだな。
「お、起きたな。朝食ができてる。さっさと降りてこい。」
「は、はい。」
ん?気のせいか?師匠からの当たりが強くなってる気がする。まぁいっか。
----------------------------------------------------------------------------------------
「どうですか?お口に合いましたか?」
「はい。すごくおいしいです。」
いや、マジで。この可愛い系メイドさんの名前はリリーっていうらしい。それにしてもこの食事うまいな。パンに卵をはさんだやつとスープだ。この世界での朝食はこれが普通らしい。
「そりゃリリーが作ったのだからな。おいしいのは当たり前だ。」
「ありがとうございます。お嬢様。」
「朝食食べ終わったら訓練場に来い。そこで訓練をする。」
「素振りですね……。」
はぁ。また素振りか。仕方ないか。でもその次は魔法の訓練だ。師匠曰く、メイドの中に天性の才能を持った娘がいるらしい。さぁて素振り頑張るか。
----------------------------------------------------------------------------------------
訓練場に着いた。
「来たか。少し遅かったな。」
「はい。準備運動などをしていたら遅くなりました。」
「はぁ…。そのしゃべり方をやめろ。すごくいらつく。」
そんなことを師匠は言い出した。
「え?いや、でも、」
「でもとかいらない。心の中をうっすら読めるからわかるけど、相当猫をかぶってる。正直ウザい。」
え、やっぱりこんなキャラだっけ?
「わかりました。これでいい?」
「ああ。早速素素振りを始めてもらう。素振りは…」
この時俺は知らなかった。想像以上に師匠の修行が厳しいことに……。
「腕が下がってるっ!」
バキッ
「あぁぁぁぁぁ!」
痛いぃぃぃぃ!
思いっきり蹴りやがった!変な音なったよ?腕からなったよ?
「始まりましたね。」
「そうですね。久しぶりにお嬢様が師事してるところを見たけれど、相変わらずね。」
メイドさん達がうなずいてる。
「リリー。頼む。」
「かしこまりました。魔力よ、汝に命ず、この者を癒したまえ。ハイヒール。」
その瞬間腕が光りだした。
「あれ、痛みが消えて…」
「アキラ、これが魔法だ。目に焼き付けておけ。」
この野郎。俺を思いっきり蹴っといて…。
「なんだ?その目は。」
「いえ!なんでもありません!」
「そうか。ならさっさと素振りを再開しろ。」
「うぃす!」
----------------------------------------------------------------------------------------
「はぁ…、終わった。」
「立て。さっさと書庫に行け。ミアが待ってる。」
ミアというのはメイドの一人で、魔法使いらしい。まあ一度もあったことが無いんだが。
お、着いたな。
ガチャ
ここが書庫か。
「貴方がお嬢様の新しい弟子ね。」
そこにいたのは黒髪のロングで、メイド服を着ながら本を読んでる女の子だ。歳は14前後だろう。それくらい幼く見える。
「はい。名前は赤坂晃って言います。」
「そう。アキラ君ね。話は聞いてるわ。魔法を学びたいんでしょ。それならこれからはこの時間にここにきて。それなら教えられる。」
「わかりました。」
それから魔法について教わった。
まず、魔法とは体内の魔力を使う。魔法には二つ、種類がある。まず詠唱方式だ。詠唱は魔法を打つ三つの工程をすべて自動でやってくれる。だが細かな制御ができなかったり、詠唱時間が無防備だったりとデメリットは多い。だが、素人でも魔力と適性があればだれでもできる。だからか大抵の人は詠唱方式だ。もう一つの無詠唱方式は難易度がすごく高い。こちらは細かい制御ができ、詠唱よりも速く撃てる。だが撃つまでに想像、具現化、制御の三つをすべて自分でやらなきゃいけない。だから使う人が極端に少ないのだ。そして、魔法とは自分で作れる。想像と具現化、制御の三つがうまくいけば簡単に作れるのだ。そして、その魔法に合う詠唱を作り、をれを唱えて魔法が発動したら完成だ。このように無詠唱は自分でオリジナルの魔法が作れるということ。ならば!俺の地球で育てた妄想力を存分に使うとき!そう、俺は地球ではオタクというやつだった。だから妄想力…元い想像力はすごいのさ!
「アキラ君はどっちを使いたい?」
「そりゃぁ無詠唱でしょ!」
「そうか…。確か闇魔法に適正があるんだったね。」
「はい。」
「それじゃぁ早速魔法を使ってみようね。闇魔法の中でも一番有名なやつを。目をつぶって、想像して。自分の体内にある魔力を感じるんだ。」
お、きたきた!なんかゾゾっと来るものが体内でうごめいてる。
「魔力を感じたら次は想像して。陣を。そう、あなたは召喚するの。どんなものでもいいから想像して。」
でっかい狼!陣の上のでっかい狼!
「さすがね…。一発でここまで行くとは…。そのあとは魔力を陣を描くように放出してみて。」
うおぉぉぉぉぉ!
地面に大きな紫色の陣が現れた。と思ったら今度は紫色の光が出てきた。
そして光が収まったが、陣の上には物陰がある。
「わん!」
「え?」
なんだこの犬!
「随分とかわいい子を召喚したね。」
「わん!」
「なんで犬なんだよっ!」
そこには黒い毛の子犬が尻尾を振って座っていた。
「この子があなたの使い魔よ。大事にしてあげてね。あと名前も決めてあげて。」
「名前かぁ…。」
何だろ。もうスタンダードなやつでいっか。
「お前の名前はクロだ!毛が黒いからクロだ!よろしくな!」
「わん!」
まさかのわんこかよ……。やっぱりだめだなぁ、俺の異世界ライフは…。
誤字などありましたらご報告お願いします