21 主人公、覚悟を決める
「ねぇ!何があったの!」
どうしてアキラくんが倒れてるの?この家はどうして崩壊してるの?この人は誰?どうして…
「レイ!落ち着け。」
「ぁ、佳山くん…」
佳山くんが私の肩を抑えて囁いた。
私の中で渦巻いていた負の感情が消えていく。
「ごめんなさい。取り乱しました。そこのエルフさん、状況を教えてくれます?」
「は、はい。私はアリアって言います。アキラ様の旅に同行させていただいてます。今はアキラ様の師匠様に会いに来たんですが、此処に来た時にはこうなっていて、それで、……、」
喋ってるうちに泣き出した。
「もういいですよ。みんな、アキラくんを運びましょう。」
その後からは行動が早く、救急用に使われた冒険者ギルドにアキラくんを運び看病した。剣聖様は息を引き取っており、墓地を作ることになった。街にあるたくさんの死体も同じで、今は燃やされている。
あとはアキラくんが起きたら話を聞くだけだ。アリアさんのことに関しても色々と聞かなければならない。納得のいく説明をしてくれないとね。
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ここは…。
俺は確かハイルの街について、師匠のところに行って………そうだ!師匠はもういないんだ。
そういえばもここはどこなんだ。
辺りは真っ暗で地面もない。でも立ってる感覚はある。体はあるみたいで、手足を動かすこともできるし、
自分で鳴らした音を聞くこともできる。だけど、声だけは出せない。それだけでなんか気持ち悪い。いつもできてることがいきなりできなくなると変な感じになるな。
そんなことを思っていると目の前に光の玉が現れた。
「あなたが新しい剣聖ね。」
その玉は徐々に女の人の形になっていき、完全な人になった。顔は整っていて、スタイルも抜群。金髪だ。この世界の金髪率半端ないな。
それにしてもどっかで見たことあるような…。
「私は初代剣聖エリシア。ただのエリシアよ。」
あ、なるほど。城の絵画に描いてあった人か。どおりで見たことあるとおもったんだよ。
それで、初代剣聖といえば初代勇者と一緒に魔王を倒したっていう?
「えぇ。剣聖というのは聖属性魔法に適正のある人にしかなれないの。私は勇者に教えてもらい使えるようになったわ。それ以来剣聖は弟子を取っては聖属性魔法を教え、剣聖の称号を譲ってきた。でもあなたは違う。教えてもらうはずの剣聖が死んだとなれば剣聖の称号が途切れてしまう。それでは絶対にダメだからここであなたの体と頭に無理やり刻み込むの。」
それって俺に害はあるの?
「そうね、多少の痛みを伴うくらいよ。」
それならやりたくないんだけど、
「あなたに選択肢はないわ。それとこれからはあなたが剣聖からもらった剣に私の意志が宿るの。だからいつでも私と話ができるわ。」
いや、無理やりかよ。まぁいつでも話ができるんだったら魔法のこととか聞けるか。
「そうよ。あなたと私どちらもメリットがあるの。ウィンウィンってやつね。それじゃ始めるわよ。」
え、ちょっと待って、まだ心の……っ!
一瞬だけ体中に激痛が走り、気を失いかけた。
「どう?なんか変わったところとかある?」
痛みに悶える暇すら与えてくれねぇのかよ。特にく変わったところとかは無いな。でも体の芯から力が湧いてくる感じはある。
「そう。だったら成功ね。現実の方であなたを待ってる人がたくさんいるわ。速く行ってあげなさい。」
そうだな。でも、これからどうすれば。
「せっかく聖属性魔法を使えるようになったんだから魔の者を倒さないの?」
そっか。レイ達もみんな魔王を倒すために強くなってたんだな。結局俺はどこに向かってたんだ。
「その答えを見つけだす為にも魔王退治ね。」
どんだけ魔王討伐を推すんだよ。でもそっか。目的を決めないことには先に進めないもんな。わかった。魔王をぶっ殺してやるよ。師匠の仇としても、俺の目指す最終地点としてもな。
「ふふ。その意気よ。それじゃあなたの目を覚ますわ。頑張ってね。」
あぁ。頼む。
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「……知らない天井だ。」
さて、目も覚めたことだし、みんなにいろんなことを話さないとな。レイにも合わないといけないし。
「アキラくん!」
「うおわっ!」
レイか!いきなり抱き着いてきたから相当焦ったじゃないか。
ということはハイルの街も奪還できたのか。勇者と騎士辺りが来たんだろうな。それでここが冒険者ギルドの中にある一室ってことか。
「よかった。もう三日も目を覚ましてくれなくて、すごく心配で…、」
「心配かけちまったな。俺はもう大丈夫だからさ…その、離れてくれない?恥ずかしいんだけど…。」
「あ!ごめんなさい!」
ずっと抱き疲れてるっていうのはすごく恥ずかしいな。でも、ちょっとだけ名残惜しいけど。
「それでアキラくん。いったい何が「ちょっと待った!」え?」
レイが何か聞こうとした瞬間に騎士団長と勇者一行、そしてアリアが入ってきた。
「そこから先の話は俺たちも聴こう。」
「そこから先?」
「お前の周りに何があったのか。そして、これからどうするのかだ。」
団長が厳しい顔で言ってきた。
「そうだな。実は…、」
剣がしゃべるのは少し先みたいです。




