13 主人公、エルフの素晴らしさを知る
少し忙しかったので四日も空きました。すみません。
トロルを倒した場所から少し歩いたら木が濃い緑から薄い緑に変わった。
神聖な感じがする。
エルフの恩恵を受けた森はこんな感じになるのか。
クロは周りが気になるのかさっきからずっとキョロキョロしている。
若いエルフの二人はずっとこっちを見ている。人が物珍しいのか観察するような目だ。警戒されてないだけましか。
おっさんはずっとニコニコしながら歩いてるだけだ。
たまに出てくる魔物は大抵アウトレンジからの弓で終わりだ。俺やクロの出番はない。でも、皮膚が硬い魔物などの弓が貫通しないやつは若造二人が魔法で対処する。
「見えてきたわい。」
「ほぉ、あれがエルフの里。」
予想はしていたがツリーハウスがたくさんあるな。
見た感じ周りに柵があって、奥にめっちゃ高い木がある。おそらく東京スカイツリーくらいあると思う。…多分。
そしてなんといっても果実が実ってる木だ。
中には桃みたいなピンク色や、赤いリンゴのような果実もある。
「あの果物は?」
「あれはのぉ。1000年以上も前、邪神が世界を支配した時、絶望的な状況で人間とエルフや獣人などの亜人が力を合わせ勇者召喚を行ったのだ。その時に現れた四人の勇者の中に一人闇魔法に優れている勇者がいてのぉ。その勇者が異世界から召喚してきた果物があれじゃ。名前はリンゴ、モモ、ナシ、ミカンという。一つ一つの旬は違うがエルフにとってはそんなの問題ではないのじゃよ。」
「なるほど。昔の勇者か。」
また今度師匠にでも聞くか。
「あ、おかえりなさいませアルカード様。アリア様、クレイン様。」
「ただいまじゃよ。」
「そちらの人間は?」
「こっちはアキラ。トロルを討伐してくれたんじゃよ。悪人ではないからそう警戒せんでもよいぞ。」
「なるほど。わかりました。まずエリナ様に合ってあげてください。」
「わかっとるわい。それじゃ行くぞい。」
「あぁ。」
中に入るとめっちゃ見られる。
それにして美人が多いなぁ。あと、イケメンも。
「なぁ爺さん、あんたこの村でどんな立ち位置なんだ?」
「わしは前長じゃよ。そしてこの二人がわしの孫じゃ。」
「あー、なるほど。だから様付けか。納得だわ。それじゃ、今から会いに行くのはあんたの娘ってことか?」
「そういうことじゃ。」
そんな会話をしていると一際大きい木の前に来た。
「ここが長の家じゃよ。」
「へぇ。立派なこった。あのさらにでかいのは?」
ついでに東京スカイツリー並みの奴のことに関しても聞いておく。
「あれは世界樹じゃよ。エルフは滅多に里を移さん。だからこの森に命が宿ってでかい木ができるんじゃよ。さて、入るとするかの。」
木についてる扉を開けて入るとそこには絶世の美女がいた。
髪と目が金色で緑色の衣を羽織った容姿だ。
「…エロフだな。」
「は?」
絶世の美女ことエリナ様が奇妙なものを見る目で見てきた。
「いえ、何でもないです。」
「父さま、その方は?」
「こっちは問題のトロルを討伐してくれたアキラじゃ。」
「どうも、アキラです。以後お見知りおきを。」
優雅な礼をした。
「私はこの里の現長、エリナよ。それで?なんで彼を連れてきたの?」
「お礼を兼ねて招待したんじゃよ。悪人じゃないから安心せい。」
「少しエルフの里に興味があっただけだ。ちょっと見回って、ちょっと食べて、ちょっと寝たら出発するから。」
「全然ちょっとじゃないじゃない。まぁいいわ。お父さま。責任もってもてなしてくださいね。」
「わかっとるわい。さて、早速ごはんでも食べるかのぉ。」
「そうだな。クロ、お前も腹減っただろ。」
「わん!」
さっきからずっとクロはおっさんの孫のアリアに抱っこされてる。もふもふしたものに目がないらしい。いい友人になれそうだ。
クレインはずっと俺をにらんでる。
いい機会があればこいつに格の違いを見せつけてやりたいな。
「さっさと飯を食うぞ!」
「ほっほっほ。」
そんなことを言いながらデッカイ木を後にした。
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「お待たせしました。」
なん…だと…。
俺はこの里を甘く見ていたのかもしれない。
目の前にはごちそうが並んでいる。
キノコと肉を煮込んだもの、さっぱりとした香りがするサラダに、蜜につけられているリンゴ。
これだけでもここに来た価値があったってもんよ!
まず肉を口に運ぶ。
「んっ!…うまい!」
「お口に合ってよかったです。」
この料理を作ったのは飛び切り巨乳なおねぇさんだ。
お嫁にするならこんな人がいいな。
その後はお腹いっぱい食べて、里を見回ることにした。
「いいところだなここは。そうだ、聞きたいことがある。」
「ん?なんじゃ?」
「帝国ではエルフを全く見ないが何かあったのか?」
「それはのぉ、前王のせいじゃよ。あいつは魔法がとことん使えるエルフに嫉妬したんじゃよ。そして帝国からエルフを追い出したんじゃよ。それからは一回もあやつとは会ってないわい。」
「現王はどうなんだ?」
「何回も許しを請うて来ておるわ。だが里のものが反対してのぉ。仲直りはしてないわい。」
「色々あんだな。」
なるほどねぇ。そんな事情があったとは。
「アルカード様!里に巨大な猪の魔物が!」
「なんじゃと?今すぐ行くわい。」
「待ってくれ!アル爺!俺たちだけでいい!アル爺は母様のところへ。」
「いや、しかしな、」
「大丈夫だよ!おじい様。私たちは強くなりましたから。」
「…わかったわい。アキラ、二人を頼む。」
「おうよ。任せとけ。クロ、今日はごちそうだぞ?」
「わん!」
「さぁ行くぞ!」
「あぁ。」
指図するな。
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「でかい…。」
「怖気づいたのか?クレ坊。」
「なっ!誰がクレ坊だ!俺の名前はクレインだ!」
「あーあ。そんな大声出すからぁ、見つかったじゃん。」
「ブルルルルル」
「さ、俺はあくまでサポートだ。行ってこいクレ坊」
「言われなくても!ウィングアロー!」
弓か。魔法のおかげで相当のスピードが出てるようだがそれでも猪はブルブル言ってるだけだ。全くダメージがない。
「なっ!まだだ!パワーアロー!」
「私も!ウィンドスラッシュ!」
無詠唱かさすがはエルフだ。魔法に適正があるな。
だが、猪は全然平気そうだ。
「なっ!」
「そんなっ!」
「ふごぉぉぉ!」
猪が突進してきた。
「おっと、あぶねぇ。」
「はぁはぁ、」
「危なかった。」
全員紙一重でよけたが、このままじゃ決定打もなく負けるだけだな。
「一体どうすれば…。」
「俺が助けてやろうか?」
にやけながら言った。
「くっ!いらん!お前の助けなど!」
「へぇ、そうやって自分のプライドを優先してほかの人を傷つけるんだ。それだといつの間にかお前の周りには人がいなくなるぞ?」
「うっ、だけどっ!」
「黙れ。そんな安いプライド捨ててしまえ。」
こうやってこいつのプライドをへし折ることでこいつは一歩成長する。そして、猪を俺があっさり倒すことで俺の強さを証明でき、今後俺を見下すこともなくなるだろう。
「さて、本気を出すとするか。ここからは俺の戦場だぜ。」




