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その男、未経験につき  作者: 三久
第1扉 陰陽事始め
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第6話 ねえ、あそぼ?(4)



鬼が、

「ナムビナヤカ・シャアシッチ・モクキャシャチニャタ・・・」

大聖歓喜天呪法たいせいかんぎてんずほう』を唱えてくる。


コノヤロー!!


千歳さんと香が、紅い顔をして欲情し始める。

『アアァァッッ♡♡』

全身を揺すってモジモジし出す。



イカンじゃないかーーーー!!

肝心な場面で、オレの股間が膨張して邪魔を始める。


オレは数学の谷先生・体育のゴンゾー先生の顔を思い浮かべる。

よし! いけるっ!


「ノウモボタヤ・ノウモタラマヤ・ノウモソウキヤ・・・」

『孔雀明王呪経』を返しに使う。



「ほほぅ。中々やるな。では、これはどうじゃ?」

鬼が一段高い声になり、呪法を早める。


『アァ~ン♡ ウゥ~ン♡』

千歳さん、香の目がスワって、濡れたような瞳でオレを見る。

2人がオレに近づき、甘い吐息を吹きかけてくる。


「ねぇ、ガンジ。 あ・そ・ぼ♡♡」



いかーーーーーん!!!!


再び主張を始めた股間を鎮めるため、

オレは必死コいて、

「解の公式は、二段変格活用は、則武の上腕二頭筋! 大殿筋!」

よし! イけるっ!!


オレも負けじと一段と声を張り上げ、呪法を唱える。



鬼は目から涙を流して、手を叩いて大笑いしながら、

「よし! じゃ、これだ。」

リズムを変えて、唱えだす。



香がオレの前に立って、

「ガンジ~っ♡♡」

ガシッと胸の谷間にオレの顔を抱きしめた!


うおおおおおーーーーーーっ!!!!

いかーーーーーーーーん!!!!!


頭の回路が弾けかける!




「世話のかかる息子だこと。」


ため息が1つ聞こえた後で、女性の声で呪法が始まる。

「ハラチホラタ・シャレイサンマンダ・ダラシャデイ・・・・」


吉祥天陀羅尼きっしょうてんだらに

愛と円満をもたらす呪法である。


『おお!』

鬼は打ち震え、瞑目めいもくする。


千歳さん、香はフラフラとした後、パタッと倒れて寝てしまう。

オレは急いで2人にシーツを掛け、ベッドに横たえる。




「母様。お助いただき、ありがとうございました。」

巌示は正座し、深く一礼する。



母様の『影』が現れ、巌示をさとす。


「巌示さん、貴方あなた、女性に弱すぎです。

もっと胆力を養いなさい。

いっその事、香さんに、『男』にしてもらった方が良いかもしれませんね。」

そら恐ろしいことを、サラッと言う。


「返す言葉もありません。」

オレは土下座をしたままだ。


「ま、とりあえずはいいでしょう。鬼に呪法を掛けちゃいなさい。」

母様の『影』が消える。


オレは鬼に、呪法を掛けた。




2~3日経った後日。


「ねえ、ガンジ。質問だけどさ、なんで千歳と私、病室で裸で寝てたの?」


「ああ、それはネ、鬼との闘いで・・・」

苦労して、でっち上げた話を香に話す。

香は、非常に疑わしそうな顔をして聞いている。


「で、急いでオレはシーツを掛けた訳なのだよ。」

「・・・でも、見たんでしょ?」

「あ、いや。ホントにチラッとだよ? 何しろ2人だもん。大忙しでさ。」


じーーっとオレを見ている。

マズいw


香はフゥッとため息をついて、

「まぁ、千歳も治ったことだし、治し賃ということでいいやw」


よかったあぁーっ!

ボコ殴りの上、さらし首になるかと思った。


「で、鬼はどうなったの?」

香は尋ねる。

「オレの式神になってる。」

「どこにいるの?」




香には、いや、普通の人には見えない。


鬼は、オレの肩に乗っていた。

「クックック。」

鬼が会話を聞いて笑っている。


「なあ、『相棒』。次はどんなこと始める?」

鬼は呑気に、オレに話しかける。


『鬼』に名前は、まだ無い。

もう少ししたら名前を付けて、『本格的』に使うつもりだ。



学校で始まった一連の謎の事件。


屋上殺人事件は、噂にも上らない。


香の事故も原因は分からない。


鬼が、出現した理由も判らない。



分かっていることは、

『何かが始まった。』



これよりオレは、さらにやっかいな事件に首を突っ込んで行くのである。





とりあえず、出だしをば。

『Heart on Fire ハートに火を着けて♡』

がメインですので、また戻ります。

こっちは、不定期の連載になるかと思います。

よろしくですm(__)m


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