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その男、未経験につき  作者: 三久
第1扉 陰陽事始め
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第4話 ねえ、あそぼ?(2)



今朝の巌示がんじは、清々しかった。

昨日『やっと』、かおりのギプスが外れたのだ。

付き添いは昨晩でお終い。


「長かった・・・」

感無量である。

これでやっと、マイ・ベストフレンズと、週末に〇V鑑賞ができるっ♡




校内に入ると、何か慌ただしい。

パトカーが2台、停まっている。


「チィース、ガンジー!」

則武ノリリンである。

「オゥ! 何があった?」

オレは顎でしゃくって示す。


「あ? あれか? 何でも旧校舎の廊下で女子生徒が倒れていたって話だぞ。」

「あれ? 旧校舎って取り壊し予定だから、入れないんじゃないのか?」


ノリリンは、チッチッと指を揺すって、

「図書室へショートカットできるように、一部解放されてるのさ。」

「へー。」

本といえば最近は、エッチぃマンガしか見ない巌示は、知らなかった。



「ん?」

何かが目の端にとまる。

近づいてみると、旧校舎、渡り廊下の端に、握りこぶしくらいの大きさで、

新しく掘り返された跡があった。

周りに誰もいないのを幸いに、巌示は木の枝で掘り起こしてみる。


1cmも掘ると、中から紐で閉じられた貝殻が出てくる。

少し大きめの、ハマグリの殻である。


軽く呪文を上げると、『フンッ』と糸を切って中を見る。

中には血が付いて錆びたくぎと、『変』と書かれた紙が1枚。

おっと、人型の依り代も入っていた。


「フフン。」

巌示はそれを、ティッシュで包んでポケットにしまう。


『Keep Out』と書かれたテープの内側には入らないようにして、

旧校舎の廻りを歩いてみる。

同じような結界が、後3つ見つかった。


「フフン。」

残りの3つは、呪文で結界を解いた後、足で踏みつけて壊してしまう。

その後、巌示は遅刻しないように、急いで教室へと移動した。




同日、放課後。


「おい、ガンジ。付き合え。」

かおりである。


「えーーーーっ!」

巌示は悲しそうな顔をした。

今日こそは、早く家に帰れると思ったのに。


有無を言わせぬ態度で、巌示を引き連れた香は、市民病院へと向かう。



病室503号。

そこには千歳が入院していた。


「おばさん。千歳の具合、どう?」

香が尋ねると、千歳の母親は、泣きはらした目をして、

「中入って、見てあげて。」


2人で病室へ入ると、ベットから上半身を起こした千歳が、

ボーッとした感じで座っている。


「チーちゃん?」

香が声をかけると、千歳は香を見て、

「カオリ?」


「心配したんだよぉ。」

香が言うと、


「あのね、木造の校舎の中に、女の子がいたの。それでね、・・・」

昨晩の状況を、延々と話し始める。


「手毬をひろって女の子に渡すと・・渡すと・・・渡すと。」

突然、

『ギヤヤヤヤャャャャャーーーーーーアアアアアァァァァツッッッッ!!!』

つんざくような大声で、悲鳴を上げた!

自分の髪の毛を、ブチブチと引きちぎり始める。



駆けつけた医師と看護婦が、慌てて何かの注射をする。

千歳はそのまま、倒れるように眠ってしまう。


びっくりしてオレに抱き着いた香を引き連れて、オレは病室を出ようとした。

出る直前、かすかな歌声に気づく。


「受け取った 受け取った

大事のお姫を、これまで受け取り、

蝶よ花よと御育て申して、今日の今晩

お雪が降ろうと、お雨が降ろうと、

乗り物千駄、乗り掛け十丁・・・」


千歳が眠ったまま、歌っている。



オレ達はそのまま病室を出る。

扉に、『面会謝絶』というラベルが貼られた。




『Heart on Fire ハートに火を着けて♡』

という、ハイファンタジー物語も投稿しております。

(そちらが、今のところメイン。)

合わせてよろしくおねがいします。

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