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その男、未経験につき  作者: 三久
第2扉 闇に潜むモノ
22/25

第21話 林間学校の怪・肝試し



翌日は何事もなく進行し、夕食も終わり、キャンプファイヤーも終了した。

怪異も無く、前日に起こったことを、オレもほぼ忘れていた。



「じゃ、今から『肝試し』するぞー。」

前日、別のルートで森林観察を行っていたグループが、

少し入った森の奥で、古い神社を見つけていたらしい。


ルールは非常に簡単。

明るいうちに、神社の(やしろ)の中に赤い(ひも)が結んである。

男女8人で構成したチームでむかい、その紐を取って戻ってきたらOK。


道の途中には色々障害があって、

それを協力して乗り越えて仲良しになるんだぁー!

みたいな仕組みになっている。


ペアリングはくじ引きで行われ、オレは1ーCの井上さんと同じチームとなる。

香のチームは不明。



1チームが出発して、5分おきくらいに次の1チームが出ていく。

大体1周20分くらいかかっている。

みんなキャーキャー楽しみながら歩いているから、時間かかるんだろう。


しばらくして、オレ達のチームの順番がくる。

「ではいきますか。」

実行委員の合図で、森の中に入っていく。




夜の森の空気は、しっとりと湿り気を帯びていた。

天気は良く、月も出て明るい。


あまり明るいと面白くないからという理由で、

スマホについている灯りを1つだけ、点けて良いことになっている。


「なんか怖いよね。」

「おバケでたらどうしよう。」

「オレ達がいれば大丈夫!」

みたいな感じでキヤキヤしながら歩いて行く。



いろいろな障害、大体はドッキリを乗り越え、神社の鳥居前に到着する。

その間に4組のペアが、自然と出来ていた。


ノリリン他、ドッキリで女子に抱きつかれたヤツもいて、

大満足といった感じである。

オレは井上さんとペアになっていて、手なんか繋いじゃったりしていた。



「お、神社だ。」ノリリンが言って、女子と一緒に境内に入る。

オレと井上さんは、最後尾だ。



鳥居をくぐる時、オレは違和感を感じる。

同時に井上さんも何か感じたのか、二人同時に顔を見合わせて、

「ガンジ君!?」

「井上さん!?」

嫌なバイブレーションが心をよぎる。


『マズい!』


タッチの差で止めそこなったノリリンが

「さぁ、入るぞ!」

扉を開けて(やしろ)の中に入った。

残りの2組も続けて入る。

その瞬間、扉が『バシッ☆』と閉まった。

「なんだ!?」

ノリリンが慌てて戸を開けようとするが、びくともしない。


真っ暗な社の中から、

「ガンジ、開けろー! 」

と大声で叫ぶ声が聞こえるが、

こっちは、それどころじゃない。


怪異が始まったのである。


青い燐光を放つ霧の中、

ゾンビ化した肝試し実行委員の連中が、オレ達に迫ってきていた。




同時刻。

香のバンガロー。


香のチームは最初の方にスタートしたので、すでに帰ってきていた。

「面白かったねー。」

「男子ハズしたー!」

たわいもない話をしながらバンガローへと帰る。



香達はバンガローの明かりを、人がいなくてもつけっぱなしにしていた。

気味が悪かったからだ。


それなのに、外から見るとバンガローの灯りが消えている。

何か嫌だなと思ったが気にせず中に入ると、何かキナ臭い匂いがする。


灯りをつけて中を見ると、

巌示が書いて四隅に貼った護符の文字の部分がチリチリと赤く焦げて、

部屋には煙が立ち込めていた。



『え!?』


何かの気配がする。


上を見ると、

天井付近に動く大きなミミズ状の物体が、(うごめ)いて浮いていた。

粘液がボタボタと垂れて、ユカに溜まっている。



『ヤバい!』

そう思った香が、

「みんな、外に出て!」


急いで外へ出たが、1人遅れた。


ミミズが伸びてきて、一人の胴に巻き付いて蠢く塊の中に取り込んだ。

『キャー!! 助けて!』

その娘はズブズブと沈んでゆく。



急いで外に出て、ドアを閉めて、

「何あれ!?」

「先生呼ばなきゃ!」

急いで先生のいる事務所へ向かおうとすると、そんな時間は無いことが分かった。

森の方角から青く燐光を放つ不気味な『霧』が、静かに流れてくるのである。



香は残りの2人を連れて、慌てて別のバンガローへ飛び込む!

中にいた女子が、ビックリしてこっちを見た。

急いで鍵をかける。


「どうしたの!?」

香は唇に人差し指を当てて静かにさせると、

一緒に飛び込んだ別の子が窓を震えながら指した。


一人の子が外を見た途端、

『何あれ!!』


青い燐光を放つ霧の中、異様な人形(ひとがた)の物体が複数、

ウネウネとバンガロー群へ近づいてきていたのである。


香は急いでバンガローの灯りを消した。




ノリリン達が、閉まって開かない扉をバシバシ叩くなか、

ゾンビになって近づいてくる同級生をどうしようか、巌示は悩む。


コイツら、正気を抜かれて操られているだけだ。



「ガンジ君!」

井上さんがゾンビに捕まって、噛みつかれる寸前である。

「南無三!」

オレは相手を蹴り倒す。

非常事態だ。スマン!


巌示は無駄な動きをせずに、片端からゾンビを蹴り倒す。

倒しても痛みが気にならないのか、

ゾンビはそのまま起き上がって、また近づいてくる。


「ムリだ、逃げるぞ!」


ノリリン、スマン!

オレは井上さんを引っ張って、全速で境内を離れた。




香のグループがいるバンガローの周囲は、悲鳴と騒音に満ちていた。


何事が起こったかと思った生徒が、次々と戸を開けて外に出る。

ゾンビと化した生徒が、出てきた生徒を襲った。


襲われ噛みつかれた生徒は、すぐにゾンビと化して別の生徒を襲う。

ネズミ算式に増えたゾンビはどんどん増加して、バンガロー群を覆い始めた。



「香、どうしよう!」

小屋のみんなが動揺する中、

「シーッ!」

香は人差し指を口に当てて、静かにさせる。


窓から外を見ようとする子を引っ張って止める。

「人影見せちゃダメ!」

小声で注意する。


レースのカーテンを全部閉めて、

みんなに外から見えないように手真似で指示する。



少し静かになったので、香は窓のスミからソッと外を覗いた。


目の前に白目をむいた顔があった。


悲鳴が出そうな口に手を突っ込んで、ようやく止める。

みんなに伏せるように手で指示して、自分も伏せた。



しばらくして、またソッと覗く。

・・・いない。


ホッとしたのも束の間、ドアがガタガタ引っ張られる。

外から開けようとしている!

グーッと引っ張られたドアノブが、ミシミシと音を立てる。


すごい力だ。このままじゃ破られる!

そう思った時、巌示にもらったお守りを思い出し、

急いで出してドアノブにかけた。


バシッ!!!

ゾンビが握ったドアノブから火花が散って、音が出た。

ゴン☆ ドドドド・・・ガツン☆

ゾンビがひっくり返って、落ちたようだ。

お守りの効力に、香はビックリした。




しばらくジッとしていたら、突然、一斉に灯りが消える。

『キヤーーーーッ!!』

みんな、思わず悲鳴を上げた。


マズいっ!!

『シーッ!!!』

慌てて指示して、全員、急いで隠れる。


香のバンガローの周りは、バタバタと行き交うゾンビの音が凄まじい。



しばらくして、音が静かになったので、慎重に外を覗いてみる。


・・・辺りはゾンビでいっぱいだった。

これじゃ、逃げられない。


香達7人は、今いるバンガローから、出られなくなってしまったのである。



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