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その男、未経験につき  作者: 三久
第1扉 陰陽事始め
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第14話 赤い着物の女の子



ある日、少林寺拳法の師匠から、師匠の友人という女性の相談を受ける。

夫の様子が、おかしいのだそうだ。


師匠がこんなリクエストをするのは初めてなので、尋ねてみると、

「ガンジ。夫婦とも俺の後輩で、なんとかしてやりたいと思っている。

こういうことは、お前詳しいって香から聞いてるから、

なんとかしてやってくれないか。」

・・・香ぃw

あまり乗り気ではなかったが、話を聞くことにした。



「おかしくなったのは、だいたい1週間くらい前からです。

同じ部屋で布団は別にして寝ていますが、毎晩、ウンウンうなされています。


うなされるのが始まって、3日目くらいに、

さすがに心配になって、無理やり起こしました。


汗びっしょりになった主人が言うには、

「夢の中で赤い着物を着た女の子が、しきりとどこかへ、俺を連れて行こうとする。

ついていくと段々気持ち悪い雰囲気になるから、手を振りほどいて逃げるんだ。

ハッと気がつくと俺は布団で寝ていて、誰かが俺の両足を、すごい力で引っ張っている。

『イヤダイヤダ嫌だ!!』

そう叫んで暴れていたら、今日は、お前が起こしていた。」

と言うんです。

それから後も毎晩、うなされています。いつも同じ夢だって言ってました。」


奥さんは、本当に心配そうな顔をしている。


オレが「旦那さんを視たいんですが」と言うと、

「彼はこういうことを馬鹿にしてまして、

『疲れてるからこんな夢見るんだ』と言って、相手にしてくれません。

今日も仕事だからと言って、来ませんでした。」


うーん。チョイと面倒だな。



オレはしばし考え、

「そのような考えの人だと、護符やお守りを持ってもらうのも難しいでしょう。

さて、どうしましょうかねぇ。

・・・そうですね。

少し奥さんに手伝ってもらいます。

少々怖い状況になるかと思いますが、旦那さんのためと思って我慢してください。」


奥さんは、相当ビビりはじめた。


「旦那さんを説得するという手もありますが、多分時間が無い。

ここ一日二日が勝負でしょう、我慢してください。」


オレが黙って、奥さんをジッと見ていると、奥さんは諦めた。

「承知しました。どうすれば良いのでしょう ?」


オレは奥さんに、策を授けた。




その晩、奥さんは帰宅すると、寝室の目立たない場所に盆を置き、

コップ1杯の水と、小皿に盛り塩、下にはオレが書いた五芒星の呪符を置く。


旦那さんは帰ると食事その他をしたあと、ほぼ深夜に就寝した。



ぐっすり寝たことを確認すると、奥さんは盆を近くに持ってきて、

オレが教えた呪文を小声で唱える。

「オン キリキリ ビシバク オン キリキリ ビシバク・・・」


しばらくすると、コップの中の水が段々赤く染まってきた。

旦那さんは、ウンウンと唸っている。


水が血の色くらい染まった時、もう1つの呪文に変える。

「オン キリキリ ウンハッタ オン キリキリ ウンハッタ・・・」

何度もそれを唱えていると、赤い血の色の水が段々中央に集まってくる。


それが1滴くらいの大きさになった頃、

(ウン)!!』


下に敷いてあった五芒星の中央に、ポツンと1滴が乗り移る。

すばやくオレが与えた封筒に五芒星を二つ折りにして入れ、封印する。


作業はこれで終わりだが、

今度は奥さんが赤い着物の女の子の夢を見て、うなされてしまった。




翌日、寝不足で、大きいクマを作った奥さんが、

拳法道場に封筒を持ってやってきた。

オレは合掌して、

「お疲れ様でした。」


いくら旦那のためとはいえ、二度としたくないと、

オレに対してブーブー文句を垂れる。


文句言われても仕方ないので、マアマアとなだめ、

奥さんに、これで後はこちらで対応するからと言って、帰らせた。



さてと。


オレは師匠に、

「師匠は知っていたほうが良いと思いますので、お話しします。

彼女の旦那さんは、誰かに呪詛を掛けられています。

それも『呪い殺す』という悪辣(あくらつ)なものです。」


師匠はビックリしている。

「そんな悪いヤツじゃ、ないんだがw」


オレは、

「会ってないから何とも言えませんが、どこかで恨みを買ったのでしょう。」


庭に出て、『呪詛返し』の呪文を唱えつつ、封筒を燃やす。

そして、

たたる者に祟れ。』

返しを打った。


「終わりました。」

オレは師匠に言うと、寺に帰る。




後日談は、師匠から聞いた。

なんでも、ライバル企業の某という部長が、突然の心臓発作で死亡したそうだ。


解剖して調べると、

彼の心臓は、誰かに握りつぶされたかのように、破裂していたそうである。



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