第11話 鏡の奥からやって来るモノ(1)
その日、オレと則武は、かなり真剣な勝負をしていた。
『あっち向いてホイ』3本勝負。
2本負けたら、購買で『カツパン』と『やきそばパン』を買ってこないといけない。
最近、この2つは、ニューVer.になった。
おいしいと評判で、競争が激しいのだ。
「ねえ、ガンジ。」
香がやって来た。
「いま忙しい!」
オレは言ったのだが、聞きやしない。
「あのねえ・・・」
話が邪魔して、集中できない。
結局2本続けてオレが負けた。
「ラッキー!」
則武勝利!
香に文句言ってやろうかと思ったら、私の牛乳も買ってきてくれと言われたw
放課後。
いつものように『ベンチプレス同好会』の練習も終わり、オレは帰り支度をしている。
香がやってきて、
「ガンジ、昼間の話なんだけど、」
「昼間の話?」
「あー! 聞いてなかったなぁw」
プクッと頬をふくらませる。
「今晩、『オカルト研究会』の新庄先輩のところで『合わせ鏡』の実験やるんだけど、
一緒にこないかっていう話。」
「合わせ鏡?」
香は少し偉そうな感じで、
「そう。参加者は先輩含めて4人。
最初は0時~0時30分の間に、2枚合わせて観察。
次は、0時45分~1時20分の間、4枚合わせて観察。
何が起きるでしょうか? っていう実験。」
アホらしい。
「オマエ行くのか?」
オレが尋ねると、
「ワタシは友達に誘われて、オマケの参加。
それ終わったら、トランプとかやって、朝まで遊んで解散っていう話。」
「オレは家帰って寝るよ。明日道場で、小学生の引率頼まれてるもん。」
「あー、そうだっけ? 了解。 がんばってねー♪」
ノンキなもんだw
家へ帰ると、父が、
「急に総本山から連絡が入って、出かけないといけなくなった。
お前、代わりに読経あげておけ。
あ、朝の勤行もしっかり頼む。」
入れ替わりに出て行った。
その夜、中々なことが起こったのだが、それは別の機会に。
翌朝。
勤行が終わり、オレは少林寺拳法の道場へと向かう。
小学生の大会の選考会があり、オレは引率を頼まれていた。
道場に行くと、香が青い顔をして待っている。
「ガンジぃー!」
アイツのあの言い方は、絶対に、オレにとってロクでもない事だ。
オレは香を無視して、小学生に、
「みんなー! 準備は出来ているかー!?」
「はーい!」
香は、
「ガンジー、冷たいぞぉw」
なんて言ってるが、昨晩ヘンな実験に付き合うオマエが悪いんだろが。
そのまま出て行きかけるが、後ろを向いて、
「帰ってきてから話は聞いてやる。まず一眠りして、落ち着け。」
スポーツバッグに着いていた、お守りを外して、香に投げる。
「取り敢えずこれ持ってろ。これさえ身に着けていれば、めったなことは起きない。」
オレは小学生達を連れて、駅へと向かった。
選考会が終わり、道場に連れ帰って解散。
香は出てきて手を振った。
顔色は良くなっている。
「眠れたか?」
「ぐっすり♪」
良かったなw
道場で話を聞こうと思ったら、部屋へ来てくれと言う。
香の部屋へ行く。
意外と可愛い部屋で、大きいぬいぐるみなんか、あったりする。
「かわいい部屋だね♡」なんて言ったら、ぶっ飛ばされそうだから、黙って座った。
「まず、これ見て。」
大きさ15✕20cmくらいの鏡4つが出て来る。
「んんんんっ!?」
2枚がひび割れて、2枚は、黒いスモークがかかっているみたいになっている。
香が昨晩の状況を話す。
「私達、0時になるまで、キャーキャー楽しんでいたのよね。
新庄先輩の家って、古い大きな洋館で、先輩の部屋は隅っこだから、
騒いでも聞こえないって、先輩が言ってたし。」
「0時少し前に、まず2枚の鏡を合わせて、30cmくらい離して置いたの。
0時から0時30分までの間、みんな代わる代わるに覗いて、どうなるかを観察。
1人の子が『鏡の奥の方で、誰か横切ったような気がする』って言うから、みんなでキャーキャー言って、覗いてみたの。」
「ワタシは全然。もう1人もダメ。
見たって言った人と先輩が、『チラッと見える』みたいなことを言ってた。」
「問題は、0時45分からの観察で、これは鏡4つを四方に立てて、
真ん中に、火の着いたロウソク1本。それを交代で観察してたの。」
香は、いい加減眠くなっていた。
前日の練習もキッチリやったし、明日は休日でも、やることは色々あった。
少し寝ようかな~、なんて思っていると、1人の子が、
「何か見える。」と言う。
なになにと、もう1人の子が中を見る。
「え!? 何これ。」
新庄先輩も近づいて見ると、「何かが近づいてきてる。」と言う。
先輩が手招きする。
まさかと思いながら香が見ると、鏡の遠くから、何か近づいてくるのが見える。
「このままだと、マズいんじゃない!?」
香が咄嗟に言った。
慌てて先輩がロウソクを吹き消し、鏡を倒した。
「危なかったねー。」
なんて言いながら鏡を見ると、このようになっていたと言う。
少し遅かったようだ。
それからみんな怖くなっちゃって、一睡もしないで夜明けを待って、
急いで帰ってきたんだと言った。
オレは腕を組んで、しばし黙考する。
元来、鏡は『映し出すモノ』として、古来より神聖視されている。
合わせ鏡を使った呪法というのも、存在する。
しかし、遊びでやった儀式に、ホンモノが出るのか・・・?
「なあ、香。明日、新庄先輩の家に行けないか?」
オレが尋ねると、
「電話してみるね。」
少しすると、OKがとれた。
「明日、新庄先輩に質問してから、考えてみる。
それまで、そのお守り、しっかり持っていろ。」
そう言うと、オレは一旦、家へ帰った。
夏になったので、また書きたくなりました。
こっちもコツコツいきます。
・・・3つ同時に進められるかなぁw




