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痛恨のミス

予想どおりだった。


あのメールから加瀬恭子の連絡が途絶えた。

今までありがとう。と素直に思った。

オレにとっても彼女との出会いは、恋愛だった。

毎日が幸せで、本当に人生薔薇色という感じだった。


毎日、彼女の事を思う。


優しくて繊細で、ガラス細工のような心を持った女。

それを悟られまいと、いつも自虐ネタで笑わせていたな。

周りを傷つけないように、それだけを考えていた女。

目立つのが嫌でいつも、隅のほうで静かにしていた。


PCの中に1枚だけある写真。

オフィスでオレと会話している姿が写っている。

別にこんな写真無くてもいいが消せない。

毎日こっそり見てしまう。

オレはまるで失恋した若い男のようだった。


でもこんなオレを救ってくれたのは仕事だった。


ニュータウンは絶好調。

もうじき全戸数の半分が売れる。

この調子だと予定の5年より早く帰れそうだ。


加瀬恭子とお別れとなってから

オレは3部が気になってしかたなかった。

できるなら戻りたかった。

オレならみんなでやり直せる。そんな事も考えた。

早く帰りたい。5年までに帰れたら・・・色々考える。


そんな中、オレはまた本社へ行く用事ができた。

もう加瀬恭子はいない。

3部へ行っても構わないな。みんなに会いに行くか?


久しぶりに戻る。

まずオレは人事部に行った。

溝口が小走りにオレを迎えた。

オレは3部の話はまったく知らぬ存ぜぬの体で居た。

上山たちも3部の話はしなかった。

惨劇をオレに聞かせてもしかたないからな。


いろんな用を済ませる。

今回は藤木達と会う予定はない。

オレは松野を誘って飲みに行こうと思った。


でも結局、オレは3部に立ち寄ることができなかった。

野上に会うのも、苦しんでいる皆を見るのもイヤだった。


松野に夕方メールする。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

松野!どうしてる?

急な話なんだけど、オレ戻ってるんだ。

今日、明日はこっちに居るよ。


どうだ?時間合えば飲みに行かないか?

急だけど今夜は忙しいか?


ちなみにオレはWホテルに泊まってるんだ。

なので携帯に電話くれ!家に電話しても繋がらないぞ。

(ていうか、家に電話するなよ! 他人が出るぜ 謎笑)

家、無くなったんだよ~(笑)


まあ、そのへんも会った時説明してやるよ!(驚くなよ 笑)


じゃあ、メール待ってる!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


その日、松野からはメールが無かった。

おかしいな・・・忙しいのかな?

しかたなく1人でホテルに戻る。


翌朝、オレは仕事はない。ホテルでのんびりしていた。

夕方までどうしよう?とにかく松野に連絡だ。

8時40分。始業前だからいいだろう。

オイ!返信くらいくれよ。とメールした。


松野の返信は即だった。お戻りなんですか?

こいつ、何言ってんだ?オレは松野に電話を入れた。


『昨日のメール見てないのかよ?』


「メールって来てないですよ」


『ええ?オレちゃんとさ、夕べ18時・・・・』


そこでオレは言葉を失った。


送信ミスだ。


メールは加瀬恭子へ・・・


ヤバい。








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