最後のメール
加瀬恭子の退職は結婚準備なんだろうか?
オレの離婚が成立すると同時に結婚かぁ。
世の中皮肉なもんだな。
オレに抱かれながら、独身だったら・・・
なんで結婚してるのよ~?
と何度も言ってくれたっけ。
そんな出来事を思い出す。
自分で仕向けておいて後悔してるオレ。
この年になって本当に哀れだなと思う。
いや、この年だからこそ、ウジウジするんだな。
熟年離婚を突き付けられる男はオレみたいな奴なんだと思う。
加瀬恭子は仕事を辞めて実家へ帰った。
地元の小さな会社の事務に納まったという。
年齢からして、ここ1年以内には結婚だな。
がんばれと応援したあの日から半月。
彼女からは挨拶ていどのメールを交換する。
オレに気つかってるのか?
メールでも彼の話をしない。
オレは気になってしかたがなかったが、やせ我慢だ。
気になる。
会おうと誘ってみようかな?
いや、それはダメだ。
このままフェードアウトがいいのだろう。
オレは最近身体の具合が悪いと彼女に伝えた。
別に元気だったが、自然に消えていく作戦だった。
彼女は心配して、オレのお見舞いに行くと言ってくれた。
それは良くない。もう会社も辞めたし、実家に帰った。
彼も居るんだから、もうオレには会わないほうがいい。
メールでこうしてアドバイスや挨拶は(まだ今は)いい。
でも、それもいつかは・・・そんな話をした。
離婚の淋しさを埋めるつもりはなかったが、正直会いたかった。
また彼女と、ホテルで過ごしたかった。
でも、ここでまた会うような事があれば
ダラダラ引きずってしまう。また堕ちる気がした。
彼女へのメールの最後はこう書いた。
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うん、潮時だと思う。
君が幸せを掴むことはオレの幸せだよ。
もし、君が悲しい人生を送ったら
それはオレのせいだと、自分を責めてしまうだろう。
脅しみたいで申し訳ないけど、オレのためにも幸せになってほしい。
でも、オレは永遠に恭子ちゃんの応援団を務めるつもりさ。
困った時は正義の味方になって駆け付けたい(笑)
冗談ぬきで、この話、うまく進むこと祈ってます。
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返信はすぐ来なかった。
もうメール来ないかな?と思った頃に来た。
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そうですね、潮時。
良二さんに会えて、2年ちょっと。
私は本当に幸せでした。
あなたとの時間は夢のよう。
まるで映画かドラマだった。
2度と来ない季節だと思っています。
ありがとう良二さん。
最後にお願い2つ。
1つ。また何かあったらメールだけしていいですか?
イヤリング、いつまでも着ける事、許してね?
私の応援団さんへ。
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これが最後のメールだな。
きっと・・・・




