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お年玉

もう飽きたな・・・


同じ漫才師が、さっき見たネタをまたやってる。

正月のTVは同じようなものばかりだ。


年末に自宅から舞い戻ってしまったオレ。

なにもやる事がない。

年末にドッと買い込んだ食料を消費する日々。

あと3日かあ・・・やる事がないのも辛いなあ・・・


そんな事を考えていた時、妻から電話だ。


正月の間、ずっと考えていた。

私たちの将来、子どもの将来。

電話は、そんな出だしで始まった。


本当に今まで悪かった。反省している。

私はあなたに感謝が足りなかった。

できれば心を入れ替えてやり直したい。


オレはその声を聴いていて、ふと思った。

本心なんだろうか?オレの勘だ。

美しい言葉に、感動も感激も無い。


『やり直すって、具体的にどうする事なんだ?』


「仲良くこれからも、連絡とって・・・」


『なんなら?こっちへ来るか?住めるぞ』


「え?!」


『切り返しできないだろう?さあ、どう言おう?』


「・・・・」


オレは心の底から笑った。


『そんなセリフ信じる男じゃないって、わかってるよね?』


「そんなことないわ、そっちへ行くなら用意とかあるから

                    ちょっと考えたのよ」


『あのさ、そういうのが1番むかつくんだけど』


『去年の続きだ。将来のこと、考えたんだろう?

            どうだい?そろそろ本音吐いたら?』


妻はポツリポツリと本音を吐き出し始めた。

26年の感謝はしている。でもどうしても性格の不一致や

上手くかみ合わない部分を感じると・・・・

遠回しに、オレ達に溝ができたようだと言ってきた。

離婚とは言わないが、今後、2人の歩み方を相談する必要がという。


『ただ暮らしているだけだって、何度も言っただろう?

         顔はキレイでも心は汚いよなあ。早く言えよ』


「別れたほうがいいのかな?私たち?」


『素直じゃないねえ。若い時からそうだったけど。

               話し合いして結局、お別れすんだろ?』

 

電話の向こうで泣き出した。


『オレに切り出されてホッとしたんだ? よかったね~うれし泣き~』


TVでは3人のお笑いコンビがコントをやっていた。

音は出ていなかったが、学生服を着て、学校のコントをやっていた。


ふと、息子を思い出した。

オレには2人の息子がいる。


長男24歳、大手企業のサラリーマン。

次男21歳 IT関係。


2人ともまだ独身だが別に暮らしている。

別に仲が悪いわけではないが、オレは音信不通だった。

この正月に帰っていろいろ話をしたのだろうか?

ひょっとしたら、離婚の話もしていたのかもしれない。


『あいつらには、話したのかよ?』


息子2人に正月休みには、話をしたようだ。

オレのせいで離婚になりそうだ。くらいは言ってるだろう。

別に悪者にされるのは、構わない。子どもは母親の見方をするもんだ。



息子2人は、夫婦2人で決めて、離婚ならそれで構わないという。

もう大人だし、自立していける。安心してくれと言ってくれた。

結局、協議離婚ということになるんだな。

2月にも相談の場を設けて円満に話し合いをしよう。

それで新たな生き方を探していこうという話になった。


オレが結論を出せなかったのは

泥沼の法廷争議を想像していたからだった。


よかった。


お年玉もらった。




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