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違和感

加瀬恭子との、予期せぬデートが終わる。

日常に引き戻され、また1か月が過ぎた。


加瀬恭子とはあいかわらずスカイプでデートをする。

世間話をし、仕事の愚痴聞く。いちおう婚活はしている。

オレと付き合うようになってから、モテるようになったそうだ。

でもイイ男には会えないそうで、1~2度デートをしては断ってばかりだ。



そうこうしているうちに、いつしか季節は冬を迎えていた。

正月は休みになる。さすがにオレも帰らなくてはおかしい。

しかたなく家に帰ると妻に伝えた。


この前の電話の件があったからだろう。

妻は何度か?オレに元気?とメールをしていた。

オレはまるで定型文のような返信をした。

文字からでも、相手の愛は伝わる。

加瀬恭子のメールに比べるとクソだなと思った。


加瀬恭子も正月は実家に帰るという。

スカイプで話すことができないのは寂しいがしかたない。

オレは家で何をして過ごせばいいんだろう?

たった1週間の休みをどうしようか?

オレは駅に着いた時点で気が重かった。


タクシーで見慣れた街並みを見る。

1年も経っていないのにやけに懐かしい。


小林 表札を眺めてしばし玄関に立つ。

オレの家なのに入りたくないな。

そんな気がした。


「おかえりなさい」


玄関で妻が迎える。

驚いた。お迎えなんて何年振りだろう?

キャリーを受け取ろうとする右手を無視して

オレは尋ねた。


『なんかあるのかい?』


「なによ?」


おや?そう言った妻の顔に微かな動揺が見られた。

こいつは我儘で好き放題に暮らして来た女だ。

表情を殺すことができない。

オレの一言にあきらかに顔色が変わった。


『お出迎えなんて気持ち悪いな』


「タクシー止まったからよ」


オレは少し首を傾げて、そのまま靴を脱いであがる。

無言で自分の部屋にいく。空気が入れ替えてある。

掃除もしてあるみたいだ。おかしい。

そんなことする女じゃなかったな。


いつも通りの無機質な会話だ。でも何かが違う。

オレはこの家に入ったとたん違和感を感じていた。


1年近く帰ってないからではない。

この部分だ。と言えない違和感なのだ。

それは言いようのない不安感というか予感に近いものだ。


オレはふと想像した。

こいつ、オレになにか隠し事があるのか?

そんな事を思いながらジャージに着替えてリビングへ行く。


同じリビング。何も変わりがない。

でもオレは周りを見回し、キョロキョロする。


「なによ?さっきから?」


『いや、なんとなくな・・・』


「なんとなくなによ?」


『オレの家の気がしない』


「帰ってから様子がおかしいわ。さっきから」


『ああ、そうさ、違和感があるんだよ。

         ここはオレの家に感じない・・・』


「久しぶりに帰ってイヤなこというのね?

          この前の事、根に持ってるの?」


ワハハ。オレは笑った。

根に持つ。もなにも、不満は10年以上前からあるぜ。

オレは返事をせず、PCをいつもの場所に置いて座る。



こいつに男がいればいいな。

不倫でもしてくれてたらいいな。


そうすれば円満離婚できる。

金もさほどとられないだろう。


子どもももう成人だ、大丈夫。

そんな空想をしてみる


この1週間楽しくなりそうだな。



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