表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/100

今どこ?

「いつ見ても素敵な部屋・・・」


そういいつつ、おずおずと部屋に進む後ろ姿。

少し髪が伸びたせいで女らしさが増した。


皮肉なものだ。いつか別れなくてはと思いながら

どんどんイイ女になっていく。

オレが独身だったらなあ・・・また、たら、ればと悔やむ。


彼女はオレの上着を受け取るとクローゼットに向かう。

自然の動きで、まるでここが住まいの様だ。

お風呂はだいじょうぶ?とたずねる。

うん、オレはほとんど飲んでいないんだ。

オレの体調を考えて風呂の用意。妻にはない配慮だな。


2人で抱き合いながらのシャワーブース。

長くなった髪をぬらさないように気を付ける。

痩せた?だいじょうぶかい?


「胸から痩せちゃうから、よけいに貧乳になっちゃった」


『いつも胸のこと言うよね?』


「もっと巨乳のほうがいいんでしょ?」


オレは返事をせず、キスで黙らせた。


「んん・・・」


痛いほどオレの舌を吸う。

しがみつく力も強い。


「会いたかったの・・・会いたかったの」


会えなかった 2か月の空白を埋める作業が続く。

オレは接待の疲れを物ともせず、彼女を愛した。



シャワーから上がる。


「良二さん、だいじょうぶ?

           今日は気を遣って疲れたでしょう?」


冷蔵庫からミネラルを出しグラスに注ぎながら尋ねる。

オレはバスローブに袖を通しながら答える。


『原田と藤木の相手は疲れるよ。リーチや松野なら楽しいけどな』


「役員の方には気をつかいますもんね」


『恭子ちゃんとこうして居ると全部リセットされるよ。

            どれだけイヤなことでも乗り越えられる気がする』


『あ、そうそう・・・』


オレは彼女からグラスを受け取りながら

今日のクラブ「うらら」での出来事を話した。

ママに彼女が居ると指摘されたことを伝えた。


「え~ なんか嬉しい~」


『あれ?意外だなあ。クラブに行ったこと、妬いてくれると思ったのに』


「だって~ ほんとに、やましい事があったら話しないでしょ?

         それに第一、クラブが楽しかったら、帰ってないでしょ」


『そりゃ、そうだな。10時半に店出たからな』


「でもママ鋭いんですね。やっぱりプロの目かしら?」


『なんでもさ、彼女がいる男は目が違うんだってさ。店の子を見る目が』


「それも嬉しいな。良二さんがお店の女の子に興味を示さなかったってことだし」


そう言いながら隣に座った彼女は言った。


「携帯、点滅してます?」


オレの携帯だ。ガラケーなので表面に小さなインジケーターがある。

小さな紫の光が等間隔で点滅している。シャワーの間に着信があった印だ。

彼女が携帯を差し出す。開いてみる。


着信1。小林奈津美。


オレの顔つきが変わったのだろう。

加瀬恭子の顔が青ざめた。


『嫁だ、気にしなくていいさ、でも電話はしないとな、するね』


彼女は無言でうなずいてソファを離れベッドに。

オレは横を向いて電話をする。


呼び出し2回で出た。

出るのが速いな?

電話を待っていた証拠だ。


『もしもし、なんだ?』




「今、どこ?」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ