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凱旋帰国

加瀬恭子とのお泊りデートから2か月が過ぎた。


お泊りのあと、言いようのない不安に駆られたオレは

この不倫の泥沼の結末を想像して怯えた。

加瀬恭子がオレと付き合うことで、ただ惰性で流されて

生きるのではないか?と心配した。


そんな思いを抱えたまま、彼女と週に3回ほどスカイプデートする。


話の内容は普通のカップルのそれと変わらない。

だがオレは会話の中に、彼女の心境を探ろうと必死だった。


そんなデートを繰り返すうちに、嬉しい変化が起きた。

彼女が婚活パーティに行きだしたことだ。


以前1度パーティに行った話は、あの夜、川べりで聞いた。

その後、イイ男が居ない。という理由から具体的な

活動はしていなかった。ということだったのだが・・・

実は、経理の磯田祥子、があるパーティで彼をゲットした。

これに触発されて、彼女も再度、婚活をするようになった、という。




オレは前向きに婚活をしていると聞いてホっとした。

その安心はオレのためだ。卑怯だと自己嫌悪に陥る。

でも加瀬恭子の結婚を祈るオレが居るのも事実だ。


そしてオレたちの会話は婚活相談が主になっていった。


彼女が出会った男の話を聞く。

良二さんなら、この人、どう思う?

オレは同じ男として、本音で彼女の相手を分析して話した。


色々話を聞いているうちにわかったこと。


それほど高スペックの男は居ない。普通の30代、40代の男だ。

話にならないようなクズ野郎も居ない。

要は、女性が高望みせず、男とつきあえば話は進展するだろう。


加瀬恭子が、とにかく普通に付き合うことができればなあ。

事態は良い方向に行くのに・・・


オレの仕事は、そんな悩みとは逆に順調だった。

ニュータウンも着々と売り上げを伸ばしている。

それと同時に買い替え物件のリフォームも業績をあげている。

社員も報酬があがるもんだから、がんばるし、営業所も活気づく。


世の中はおもしろいもので、プラスの連鎖が続くことがある。

バブル景気とまではいかないが、予想以上の売れ行きだ。

半年を過ぎて、うちの営業所は本社から表彰をされた。


その報告でオレは半年ぶりに本社へ戻った。


3部を覗きたかったが、加瀬恭子もいる。

もう部下と上司の関係じゃない2人だ。

オフィスで顔を見ると動揺するかもしれない。

彼女には《戻っているけど、あえてそっちにはいかない》

と前日に伝えてある。それに野上の顔も見たくなかった。


本社では専務の藤木が満面の笑みでオレをむかえる

オレの見立ては正しかった。君にニュータウンを任せてよかった。

そりゃ、もろ手を挙げて賞賛するよなあ?

お前たちが予想した2倍近い売り上げなんだから。


その代わり、3部が前年同月比、3割へこみだそうだな?

オレは加瀬恭子から情報得てるんだよ。

面白いねえ。ざまあみろ。野上がんばれよ。


藤木の顔を見ていても楽しくもなんともない。

でも今夜は雅楽がらくに席を取ったという。

オレを労いたい?それなら100万ほどキャッシュで出せよ。



そんな嫌味を腹に抱えながら、オレは雅楽がらくへ向かった。





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