未来予想図
スカイプでの思い出話は続く。
オレの言葉、仕草まで細かい所を覚えているもんだなぁ。
目が悪いとか、関係ないんだな・・・変な所を感心する。
次回はいつ?早く会いたいな・・・
甘える彼女に何と伝えよう?
そりゃあ。会いたいさ。オレを愛してくれる女と過ごしたい。
でもやっぱり考える。
彼女はセフレではない。愛しい女なのだ。
自分が寂しさを埋めるための道具にしてはならない。
彼女は幸せな結婚をしてもらわないと。
お泊りデートが終わってすぐ、結婚しなさい。なんて言えない。
でも結婚は、2人で考えなければならない。
会話の中で加瀬恭子が言う。
「良二さんのお部屋、行ったらダメですか?
私、お手伝いしたくって・・・ダメ?」
『うーん。来てほしいけど、なにがあるか?わからないからなあ』
「やっぱり危険ですかねえ?」
『100%ってこの世にないからなあ。安心して会えるのはホテルだよ』
「堂々と会えないですもんね・・・」
顔が曇る。やはり彼女も不倫の後ろめたさは感じているのだ。
ここから、オレの心をよぎる不安を伝えようか?と思った。
いや、今日は止めよう。やはり時期をみて伝えよう。
スカイプは1時間ほどで終わった。また明日ね!
今日は疲れただろう?おやすみなさい。
スカイプを閉じながら思う。
幸せな結婚か・・・加瀬恭子は結婚できるんだろうか?
オレは、妻と別れたと仮定して、彼女との結婚を想像してみた。
経済的なことは置いておいて・・・
結婚したとして・・・
今、オレは51歳。来年くらいに結婚して子供が生まれる。
無事妊娠、出産する。オレが54、5歳 彼女は35歳くらいか?
子どもが男か女か?どっちでもいいが、成長していく。
小学生になり、3,4年生くらいになれば親の年が気になるだろう。
12~3年経てば、オレは65歳。子どもは友人の親とオレを比べる。
娘だったら、そういう所は余計に気になるだろうな。
子どもの親も気になるだろう。見ただけで、再婚ってわかるな。
30代半ばの親たち、オレの子どもの年齢なのだ。
加瀬恭子は言うだろう。
そんなこと、誰も気にしないよ。
子どもを育てたことが無い人間の意見だ。
子どもの世界もオレたちの社会と同じ。
子どもには子どものメンツと誇りがある。
年老いた親は子どもにとって見られたくない存在だ。
それだけではない。
30年後、生きていればの話だが、そろそろ介護がはじまる。
彼女は63歳。まだまだ元気。遊びまわれる年だ。
金が何億もあれば別だが、オレの介護、医療。
彼女への負担ふえる。
その頃、子どもが息子なら結婚か。
おじいさんらしき人が親の挨拶だな。
そんな未来予想図を描く。
杞憂かもしれない。
でもオレは考える。
自分の存在が後ろめたかった、母を思う。
因縁なのかな?




