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ピロートーク

食事が終わり、部屋でくつろぐ。


オレがスーツを脱ぐと彼女は自然に受け取る。

そんなことをされるのは20年ぶりくらいだな。


ガウンに着替えてソファに座る。

彼女にも着替えを勧めると、洗面へ着替えにいく。

面白いものだ。すべて見ているのに。

バスローブに着替えてゆっくりする。


テーブルにはアイスコーヒーとチョコ。

酒があまり強くない2人のクールダウンだ。

ソファで寄り添い語り合う。テレビもなにも要らない。


1つの壁を超えると本音が出てくる。

彼女も、着ていた鎧を脱いでくれた。

共に過ごすほど、本当の加瀬恭子が現れる。


甘えん坊でどうしようもないほどかわいい。

常にオレにしがみついて離れない。


こんなに愛されたことがあっただろうか?

オレはこの年になって、不思議なものだなと思う。

それほどひどい身体ではないが、やはり50だ。

33歳の彼女にすればじいさんの身体かもしれない。


オレは老いという負い目を彼女に感じていた。

だが、彼女は言う。私を愛してくれた人はあなただけだと。


そんなことはないと思う。

唯々、この子には縁がなかっただけだ。

こうしてオレの腕の中で居る彼女は素敵な女だ。


2人はソファからベッドに移る。

コーヒーとチョコの香りのキスが心地よい。

再び求め合う。オレも若い頃の体力が戻ったようだ。


上に乗られた時は一瞬、重いと感じるが

それ以外は違和感のない体格だ。

胸が小さく、下半身がデカいと彼女は嘆いていたが

そんなマイナス面は全然感じない。


オレの中で何度も何度ものけぞる

止まらないクライマックス。


どれくらいの時間が経ったのだろう?

今何時なんだろう?

そう思いつつ、起き上がろうとすると


「いや・・・離れないで・・・」


長く美しい指がオレの手を探す。

恋人つなぎがまるでジグソーパズルのように合う。

布団も掛けずに生まれたままの姿で2人は話を続けた。


今後のルールを作ろう。ということになった。


基本タメ口。 難しいだろうが、がんばろう。


名前で呼ぶ。恭子ちゃん、良二さんと呼ぶように。


缶コーヒーなど、少額の買い物などは彼女の役割とする。


会えない時は無理をしない。メールやスカイプも無理をしない。


婚活は継続してがんばる。


そしてもっとも大事な取り決めは・・・


2人にお別れはない。


だった。

いつか会えなくなる日が来る、その日まで愛し合う。

お別れとはお互いが相手を嫌いになった時だ。

そんな時は永遠に来ない。会えなくなる日はお別れではない。

2度と会うことがなくても、それはただ、会わずに離れていること。

たとえ離れていても、お互いの存在が支えあえる存在だ。



最後の取り決めに満足した2人は


また1つになった。



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