赤い薔薇
明日の12時まで、約15時間か・・・
食事を終えたオレはやることがなくなった。
部屋を意味なくウロウロして、机に座りPCを開いた。
なにすっかな。と言いつつ、風俗サイトを検索する。
オレは今まで、風俗を利用する男は、哀れな奴だと思っていた。
でも今は、寂しさから出張するたびに相手を探している。
1件のHPの上品な作りが目に留まった、高級店だと書いてある。
在籍している女も、顔はわからないが上品そうだ。
電話してみる、一般企業の受付のような丁寧な対応に驚く。
70分3万か~ 結構かかるな。まあ高級店だからな。
金額より驚いたのが、この店のシステム。
まず、この店は女と会う前にスタッフが面談するという。
店の女の子が安心して働けるように、客が紳士かどうか見るそうだ。
これは面白い、この店に決めることにした。
指名はあるかと聞かれたが、初めてなので。と答えた。
それなら、新人の清楚でキレイな子がいるから、どうですか。と。
お薦めの子が居るなら、それでよろしく。
オレの泊まっているフロアは、カードキー無しで上がって来れない。
1Fに降りて、店のスタッフと会い、面接を受けなくてはならない。
約束の時間になり、店から電話が鳴る。再度スーツに着替えてロビーに向かう。
エレベーターを降りた所に、スーツ姿の男が立っていた。
「○○さんですか?」
へー普通のリーマン風だな、もっと強面が来ると思った。
オレたちはロビーのソファに座った。男はテキパキと店の説明をする。
盗撮禁止、チェンジ不可など注意事項を書いた誓約書にサインを求めた。
どうせ偽名なんだけどな、何になるんだ?こんなもの。
そう思いつつサインをする。これで契約は成立だそうだ。
どうやらオレは面接に受かったようだ。
「当店は○○様のご利用を、心より歓迎いたします。
レディをご案内いたしますのでお待ちください」
男は一礼してエントランスを出た。外はいつの間にか雨が降っていた。
1分ほどして、ホテルの前に白のレクサスが止まる。
さっきの男が降りてきて、うやうやしく傘を差しだしながら、後部座席を開けた。
小柄な女が降りてきた。
黒のロングコート。ピンクのバッグに白い傘。
栗色の長い髪。美人だが下品な顔だ。
これが清楚でキレイな新人かよ・・・
見た瞬間、イヤだなぁ。と思った。
「こんばんはぁー」
返事はせず、笑顔だけ返してエレベーターに向かう。
「素敵なホテルですね~」
オレは無言のままエレベーターに乗り込む。
女が何か言ってるが、耳に入ってこない。
キャンセル、チェンジ不可って言ってたよな・・・
2514。 カードキーをタッチし、部屋に入る。
「わー素敵なお部屋~ すごいですねえ~」
『ねえ』
オレは初めて口を開いた。
『あなたのとこ、高級店なんだろ?』
「はい・・・・」
『だったらこれくらいのホテルには何度か来てるだろう?
ワ~ワ~言うほどの部屋なのか?ここが』
「ごめんなさい、私、まだ新人で、こんな素敵なホテル初めてで・・・」
オレの吐いたセリフにトゲを感じたのか。
女は、声のトーンを若干落として愛想笑いをした。
バッグをソファに置いて、黒いコートを静かに脱いだ。
その下のワンピースは真っ赤なミニ。胸元が大きく開いていた。
襟がフラメンコの衣装のように大げさだ。
スカートのプリーツもわざと大きく、
お尻の部分が花の蕾に見えた。
女は赤い薔薇だった。