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出張

年に何回か出張がある。

当然仕事なのだが、そこにオレは遊びを入れる。

2泊の出張の場合、1日有休をプラスして3泊4日に変更する。

仕事が終わってからの1泊は自分の時間だ。

自分の金でやることだし、会社も多めにみてくれている。


その日が久々にやってきた。

仕事を終わらせ、夕方には会社を出てホテルに到着。

お気に入りの常宿は外資系の一流ホテルだ。


重厚なたたずまいのロビーに多くの客がたむろする。

キャリーを引きながら客をすり抜け、エレベーターに向かう。

チェックインは1Fではなく、20Fの専用ラウンジで行う。


ここはクラブフロア宿泊者専用のラウンジだ。

アンピール調の作りがバブル時代を思い出す。

顔見知りのスタッフが笑顔で迎えてくれる。


ラウンジでソフトドリンクを飲みながらチェックイン。

今日のアサインは25Fか?案内はいいよ、わかっているから。

コンシェルジュからキーを受け取ってエレベーターに乗る。


2514・・・か、東側だったかな? 部屋に入る。

部屋の広さは50㎡、畳にすれば30畳だ。

仕事柄、部屋のレイアウト、家具の配置などが気になる所だが

ここのクラブフロアの部屋は文句の付けどころがない。


ネクタイも解かずにまずバスタブに湯をはる。

コンシェルジュへ電話してルームサービスを頼む。


『じゃ、8時にお願いね』


風呂に入って、上がって・・・計算しての時間だ。


コンビニで買った自分の好みの飲み物をキャリーから出す。

モスコミュールにジントニック。コンビニで何でも揃うな。

あとは、廊下に出て氷取りに。アイスペールを抱え走る。


そうこうしている間にバスタブに湯が溜まった。

グラスに氷、モスコミュールを注ぎバスタブの側へ。

シャワーブースで髪を洗い全身を流す。

洗い終わってバスタブへ移動、足ふきタオルのデカいのが欲しいな。


湯につかり、フーっと、ため息をつく。 

傍に置いていたグラス片手に足を伸ばしてバスタイム。

普通のサラリーマンのオヤジが使うにしては

多すぎる金額を使っての贅沢。


オレの使った金額を妻が知れば、オレは刺されるかもな。

そんな想像をして笑ってしまう。

どうせ、お前だって金貯めこんでんだろう?


オレの金だよ、オレの。

お前に言われる筋合いはないよ。


『がんばったよな、お疲れさま』


きっと誰かに言ってもらいたい言葉を自分にかけながら風呂を出る。


程なくルームサービスがやってきた。

可愛い女性スタッフが手際よく準備をしてくれる。

さ、ディナーの始まりだ。


TVを見ながら楽しい夕食。


本当にリラックスできる時間だ。


食事が終わり、ワゴンを廊下に出しコンシェルジュに電話。


部屋の灯りを落として窓のカーテンを開ける。

ソファに座ると目の前には夜景が広がる。

いい部屋だな。

オットマンのソファに寝転んで思う。



でも、オレ独りだもんな。


家でもここでも


オレは独りなんだ・・・




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