表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/100

あとの祭り

よわったなぁ・・・


『あのさ、加瀬くん、怒ってるよ ね?』


「部長が変なこと言うからですよ。どうしてそんな嫌味言うんですか?」


『嫌味って、オレ噂で聞いてさ・・・君に彼ができたって』


オレはしかたなく、おトキから話を聞いた事。

磯田祥子があの日、囁いていたことを正直に言った。


加瀬恭子は泣き止んだ目を輝かせて笑いだした。


「部長でも噂に惑わされるんですね?課長に言いつけますよ~」


笑うとかわいいなあ。いつも思う。

オレはこの笑顔を見てると、どんなことでもガマンできそうだ。


「別に隠すことじゃないんです、部長にお話ししても

    かまわないんですけど。聞いてくださいますか?」


聞きたいんですけどっ。という感じだった。


彼女の話はこうだ。

太田とは別に普通に何度も話はしていた。

たまたま、いつだったか?磯田祥子と2人で仕事帰りに

太田と、もう1人の男性社員と出会って

その時、お茶に誘われて、4人でカフェへ。

世間話して特に何もなく、終わった。


それから少し日にちが空いて、太田が加瀬だけをお茶に誘った。

太田は恋愛対象ではなかった。年下だし、意識もしてなかった。

でもまあお茶くらいならいいか?と。これも世間話で終わった。


そのあと、1回食事を。と誘われ、仕事帰りにファミレスへ行った。

彼女としては、この時点で、付き合いはないな。と予感したのだが・・・

実はこの食事を磯田祥子が知り、付き合ってる?と尋ねた。

否定はしたが、照れ隠しと取られた。


そのあと1回お茶したのだが、その時、イヤな事があって。ダメだと思った。

その場で、彼に、正式にお付き合いを申し込まれたが、できません。と伝えた。

その後、フラれた彼は退職した。


「1対1では、1回お茶して、ごはん1回、お茶1回ですね。

       計3回ですよ。なのに彼だなんて、何もないですよ」


『そうなんだ!』


『君も彼氏募集中なんだから、てっきり上手く行ってると思ってたから。

            いや、早とちりで失礼したよ。ごめんね』


「橋本さんに話されたら、信じちゃうかもしれないですねえ」


加瀬恭子に彼氏は居なかった。

オレの勝手な言い方で表現すれば、誰にも取られなかったのだ。


「部長~?なんだかうれしそうですね?」


加瀬恭子はいたずらっ子のような顔で言った。


『なに言ってんだい?嬉しいなんて。残念だよ』


「残念じゃないですよ。私お付き合いしなくて

      よかったと思ってるんです。太田さんには悪いけど」


『そんなにダメな男だったのか? 松野は褒めてたけどなあ・・・』


「課長は仕事しか見てないからですよ。オフは真逆の人も居ますよ。

       お茶したり食事すれば大体、人柄もわかるじゃないですか」


『それはそうだけど、オレは付き合ってると思ったよ』


「私だって選ぶ権利はありますよ」


『そりゃ、そうだ。イヤな奴と無理に付き合う必要はないからな』


「そうですよ。女はね、特に嫌悪感抱くと、ダメなんですよね。

       ガマンできないですから、無いわ~ってなっちゃいます」


『よかったよ、オレは嫌われてないみたいだし』


「当たり前でしょ~ こうして一緒に居るんですから!」


彼女の笑いは屈託なくていいなあ。

つくづく思う。


ああ・・・でも異動すれば、この笑顔見れないんだよなあ。


勇み足だったかなあ・・・


異動したくないなあ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ