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プロローグ
店のドアノブに手をかけ、私は大きく息を吸った。
目を瞑り、息を止め、高鳴る心臓の音に耳を傾ける。
――――――落ち着け、止まれ……。
何度も自分に言い聞かせてから、今度は大きく息を吐いた。
よし。と、小さく呟き気合を入れたところで目を開く。
もうみんなは集まっているのだろうか。
だとしたら、みんなはどんな風に私のことを迎えてくれるのだろうか。
あの頃と何も変わらない、呆れたようでどこか優しい顔で笑ってくれるのだろうか。
ドアノブにかけている腕についている時計を見た。
時刻は午後1時半過ぎを示している。
約束の時間からは1時間以上も過ぎていた。
ドアの向こうのみんなの表情を想像し、頬が緩む。
――――――大丈夫だ。
覚悟を決めて私はドアを押した。
その先に待っているのは……。