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勇士‐ブレイバー

 リリィはさっきまでの初心者模倣装備を着替えて、今手に入る中でも上級クラスのガンナー装備に変わっていた。必要最低限の金属装備、機動性を重視した革装備だ。いたるところに収納が備わっており、弾薬や薬品が入っているのだろう。

 そもそもゲームの中のガンナーは、どういうわけか不遇なステータス設定なことが多い。このゲームも例外ではないはずだが、彼女の拳銃は戦士ソルジャークラスの鉄の鎧を木端微塵に吹き飛ばしていた。相当な改造カスタムが施されているようだ。

 リリィは言った。

「シュライバも装備を元に戻せば?」

 何言ってんだこいつ。俺はこの装備が今最高にベストな装備なんだよ。誰でもお前みたいに、初心者装って追剥バンデット狩りしようと考えていると思うなよ。

 俺の装備は大雑把にいえば今手に入る装備の中では、戦士ソルジャークラスの中でも下の上。低クラスで手に入る装備を最高まで強化した鉄製装備だ。性能のわりに見た目は割とかっこいいと俺は思う。

 ゲームの楽しみ方はいくつかある。俺みたいにキャラクターに自分を投影して、性能よりも見た目を重視するタイプ。ライトユーザーとでもいうのだろうか。

 もう一つは見た目よりも効率重視。狩りも効率を重視する。パーティに下手なプレイヤーがいれば罵る。ヘビーユーザーだ。

 これは偏見だ。

 皆が皆そういうわけではない。

 ただ、誰かに罵られて気持ちがいい人はいない、と思う。

 だから俺は効率よりもただ、純粋にこの世界ゲームを楽しみたい。

「俺はな。この装備が好きなんだよ」

「ふーん」

 広大な草原。

 そのど真ん中で人が倒れていた。

 俺は思った。

 罠だ、と。

 ただ俺の判断だとかは、リリィには関係なかった。

 リリィは言った。

「なにやってんの?」

 やめとけって。絶対まともじゃないって。

「寝てる」

 ほら見ろ変人だぞ。

「なんで」

「なんでって。ライフが回復しないかなと思って」

「しないと思うよ」

「マジ?」

「まじ」

 ひょこりと起き上がり胡坐あぐらをかく。金髪の女騎士だった。よく見れば凄い美人だ。まるで大人びたファッション雑誌の外国人モデルのようだ。

 まぁゲームの中なので現実には期待しない。きっとおっさんだ。

 女騎士は肘に顎をつくとなにやら考え出した。

「薬草きれたの?」

「まぁそうだな」

「あげようか?」

 もうやめろよ。関わるんじゃねぇよ。

「マジで?」

「でもなぁ」

「ハァ?」

「それでなんかわたしにメリットある?」

「まぁ。ないな」

「よしっと」

 リリィはため息をつくと、新たな旅路に向け、また一歩踏み出した。

「待て待て待て。冗談だ。なに新しい旅路に活路見出してんだ。わかった。そうだな。おまえのムカつくやつ一人、ぶっ殺してやる」

 なんかさらっと物騒なこと言ってるぞ!

「本当?」

「勿論」

「でもいいや。そーいうのは自分でやるから」

「ハァ?いやいるだろ。自分じゃどうにもならないようなやつ」

「うーん。多分いないけど。そうだな。しいていうなら、この世界のラスボスとかかな」

「ハァ?ラスボスはさすがに無理だろ」

「無理なの?」

「無理じゃねぇよ」

「じゃ契約成立。お姉さん名前は?」

 そういって薬草を99個渡す。

 この娘ったら加減をしらないようだ。

「おう。恩にきる。私の名はアイリスだ。今後ともよろしく」

 こいつもこいつで、もらっちゃうのかよ。って、やばいやつ仲間にしたぞ!?

 その時だった。鈴の音が鳴った。その鈴は決して鳴って嬉しい代物では無かった。鈴の名は「竜鈴」。竜の咆哮が発する特殊な周波数に反応し、竜の戦闘圏外からその存在を知らせる逸品だ。俺はこれまで何度もこの鈴に命を救われている。俺は言った。

「おい!大変だ竜鈴が鳴ってる!」

「本当だ」

 どういうわけかリリィは満面の笑みを投げかけてくる。そしておもむろにアイテムストレージから角笛ホーンを取り出す。角笛ホーンと言えば、敵の注意を自分に引き付けるアイテムだ。まさかこいつ。

 草食モンスターの仲間を呼ぶ声のような低い笛の音が辺り一帯に響く。

 終わった。

 間もなくして笛の音に答えるように、大気を割くような、おぞましい咆哮がとどろく。空を叩くような低い翼の音が近づく。

 そしてそれは降り立った。ついに来てしまった。これまでずっと死に物狂いで逃げてきたのに、こいつはそれを、あろうことか、自ら呼び寄せやがった。

 翼竜ワイバーン。数あるドラゴンの中でも最小にして最弱の部類と言われている。それでも、おそらく俺があと10人束になっても敵わない。俺のステータスでは、このドラゴンの放つ、どの技を受けたとしても、一撃でロストしてしまう。

 最小といわれているがその全長は翼を除いても立ち上がったときの体高は約4m。翼を入れれば約10m。これはこれまで出現エンカウントした敵の中では最大だ。

 翼竜ワイバーンは牙がずらりと並んだ口から炎を溢れさせながら咆哮し俺達にむけて威嚇をした。

 その音圧だけで俺は腰が抜ける。体は縮みあがった。

 ただ、不幸中の幸いというべきか、こちらには俺の知る限り、最強のガンナーがついている。そうだ、この女、こいつを呼んだからには、きっと何か勝算があるんだよな。俺は震える声で、リリィに聞いた。

「お前、もちろん、これと戦ったことあるんだよな」

「え?あるわけないでしょ。シュライバならあるかと思って」

 あるか、そんなもん。毎回逃げてるわ。そもそもお前のほうが俺よりも百倍強いだろうがッ!

 あれ、あの女騎士は?あいつならきっと倒せるかも。俺は辺りを探す。

いた。さっきの場所で胡坐あぐらをかいて何かをしている。慌てて覗き込むと、なんかめっちゃ調合してる。俺は聞く。

「何やってんの」

「ああ。なんか今日は駄目だ。上手くいかない」

 めっちゃ調合失敗してる。もう半分近く消耗してるじゃねぇかよ!

 こいつどんなバットステータスが発動したらそんなことになるんだ。

「ちょっとお前ステータス見せろ」

「はぁ?やだよ、なんでお前に見せなきゃいけないんだよ」

「駄々をこねるな!いいからはやく」

 アイリスはしぶしぶステータスを見せる。

 なんだこれはあらゆる生活スキルがマイナス域だ。しかもそのなかでも最悪なのは回復力のマイナスだ。

 本来、体力ライフはダメージを受けると一定量の回復域が設けられる。その回復速度を推し量るのが回復力だ。でもこいつの回復力はマイナス域達しているため、全ての攻撃に対してアイリスは回復域が設けられていない。

おそらくモンスターかトラップによるカーズ状態異常バットステータスを受けている。

 そりゃ、草原のド真ん中で途方に暮れるわけだ。

 駄目だ。アイリスはとても戦える状態じゃない。

 俺は急いで翼竜ワイバーンと対峙するリリィに言った。

「駄目だ。逃げよう。アイリスはカーズ状態異常バットステータスで戦える状況じゃない」

「え?そうなの。そんなことないと思うけどけど、それはまずいね」

 あれ、なんか聞きわけがいいな。

 俺は二人の首根っこを掴むと一気に走り出す。

 翼竜ワイバーンは咆哮し地面を這うように追いかけてくる。あれ、あの動きなら逃げきれるかも、と思ったら結構早いじゃねぇか!?なんであれが早いんだよ。

 そして、悪いことは続くとはよくいうが、これは最悪だ。前方から角笛を聞いたゴブリンが迫っている。囲まれた。

 アイリスは言った。

「戦うしかないようだな」

「何バカなこと言ってんだ。おまえはいいから回復しろよ」

「ああ。これはな、このままでいいんだ」

「はぁ!?何わけわかんないこと言ってんだ」

 ゴブリンとドラゴンなら、ゴブリンさえ突破できれば。

「リリィ!ゴブリンを倒そう」

「はーい」

 リリィは素早くレイジング・フィールドを抜くと詠唱を開始する。

「聖霊よ、疾風の如く、肉を穿て」

 たった一瞬だった。

 聞こえたのは一発の銃声。倒れる敵の数は6匹。魔力制御による高速射撃。

 すげえ。あまりの凄さに小学生並みの感想を述べることしかできなかった。

 リリィはすぐさま空薬莢と弾丸を入れ替える。さらに銃声が一発。敵がもう六匹倒れる。

 アイリスはにやけ顔でお手並み拝見といった顔だ。まぁ無理もなく、アイリスは今戦える状態じゃない。そんなことよりも早く回復しろよ。

 ゴブリンは怯み始める。中には逃げるものすら出始める。だがここで思わぬ誤算が生じる。

 ゴブリンが薬瓶を投こうした。まずいッこの攻撃は、俺は咄嗟に言った。

「防御しろ!」

「え?」

「は?」

 薬瓶の中には何らかの状態異常バットステータスを引き起こす薬剤が込められている。薬瓶が割れ周囲に状態異常バットステータスが生じる。

このときに防御体制の判定が間に合えば、効果は無効、間に合わなければ状態異常バットステータスが生じる。

 リリィとアイリスが力なくばたりと倒れる。

 最悪だ。睡眠スリープが発動した。一定時間の行動不能。不眠薬または、パートナーのサポートにより回復する。

 すぐさま近づこうとするが、増え続ける、ゴブリンに道を塞がれる。

 背後からは翼竜ワイバーンが迫ってきている。

 こうなってしまったら、もう勝ち目はない。時間の問題で体力を削られて最後には意識を失う。これはゲームの経験ではなく、現実からの経験談だ。複数人に囲まれた場合リンチを耐え抜く意外の選択支はない。長い苦痛、長い屈辱。

 だが、今このリンチを耐え抜くだけのライフはリリィは差し置いても、俺やアイリスにはない。だから回復しろってあれほど言ったのに。

 あと一つ方法がある。この二人をおいて逃げれば、少なくとも俺はロストせずに済む。

 ロスト。この世界でいう「死」だ。ロストしたプレイヤーは事実上のニューコンティニュー状態に陥る。つまり、初期化だ。これを避けるには特殊な工程と現実の資金カネが必要となる。それがコズミックフロント社が忌み嫌われる理由の一つでもある。

 逃げ切れば、俺はこの先もこの楽園のようなゲームを続けることができる。

 まだ見ぬ世界に足を踏み入れることだってできる。頂点を目指すこともできる。

 でも、ここで逃げれば俺は、僕は、現実の世界の、弱い僕のままだ!

 ゴブリンが錆びついた肉切り包丁のような、ほぼ鈍器の剣をアイリスに振りおろそうとした時、俺は自らのブロードソードで斬撃を打ち払う。その瞬間いくつもの斬撃が俺の背中を襲う。背後の無数のゴブリンによる攻撃だ。すぐに回復薬を使用する。これで、逃走に必要な回復薬はなくなった。もう後は無い。


 リリィごめん。少しのあいだ耐えてくれ。君の防御力ならゴブリンの攻撃を防ぎきれるかもしれない。

 そう、せめてアイリスが目覚めるまでは頼む。アイリスに触れれば一定時間で睡眠から復帰できるかもしれない。でもその間ゴブリンの攻撃を防ぎきれる自信がない。だから、今できることはここで耐え忍ぶことだ。

 刹那、丸太のような肉厚な尾による斬撃が飛んでくる。寸前で横に転がりこむように回避する。翼竜ワイバーンの攻撃も常に気にしなければならない。我ながらよく避けられたと思う。ほとんどまぐれだった。


 翼竜ワイバーンの攻撃は一回だって当たるわけにはいかない。このまま戦うとアイリスに翼竜ワイバーンの攻撃が当たる。俺はブロードシールドを低く構えると、ゴブリン供にタックルをかます。なんのスキルでもない、ただのタックルだ。それでもゴブリンは体制を崩す。

 俺は走りながら、ブロードソードブロードシールドを叩き打ちならす。挑発をする。翼竜ワイバーンの注意をこちらに引き付ける。

 翼竜ワイバーン視線を俺に落とすと、ゆっくりとこっちを向き体を向ける。ゴブリン供もわらわらと迫ってくる。ブロードソードで斬り伏せながらブロードシールドを叩き続ける。翼竜ワイバーンの注意をひきつけ続ける。ほぼ全ての敵の注意を引き付けた。翼竜ワイバーンは牙を剥き出して咆哮する。咄嗟にブロードシールドを構える。びりびりと衝撃が伝わる。音圧を受けきる。

 ゴブリン供は音圧で散りじりになる。その隙に全力で剣を振るう。ゴブリンの数を一体でも多く減らさないと。刹那俺の体を重い衝撃が襲う。翼竜ワイバーン頭突ヘッドバッドだった。目の前の視界が、時間がゆっくりと流れる。ブロードシールドは耐久力を越え破壊される。ライフゲージが左に向かって、0に向かって、ゆっくりと減っていく。

 ついに翼竜ワイバーンの攻撃を受けてしまったようだ。お終いだ。短い間だったけど、俺はこの世界で、少しは変われただろうか。

あぁ、まだやりたかったな。

 

 薬瓶が投こうされ、割れる音がする。ライフゲージが右に向かって伸びていく。これは、この現象は「回復」だ。

「待たせたな」

 アイリスが立ち上がる。

 突然のライフ回復は彼女の仕業だった。やっと調合が成功したのか。

 アイリスは手をかざす。

 倉庫ストレージが反応する。

 彼女に細い手に沿って青い情報片データダストが寄り集まっていく。

 黒い刀身の美しい剣だった。

「今日は特別に私のスペシャルコースでもてなしてやる。――我は破壊するもの。白き薔薇よ、咲き乱れろ」

 刀身が青白く光る。

 一瞬で大気が凍る。

 キンッと透き通るような音とともに周囲に白銀の結晶が散る。

 濃霧が漂う。

 辺りを静寂が包む。

 霧がはれるとそこには何体もの氷の彫刻があった。翼竜ワイバーンは丸くうずくまった姿勢で凍っていた。

 その姿はまさに、大地に咲いた白い薔薇・・の如き美しさだった。

 属性攻撃。聞いたことないぞ。こいつ一体何者なんだ。

「行くぞ。シュライバとかいうの。リリィを起こせ」

 リリィを起こし、ダッシュでその場をを離れる。

 リリィは呑気な声で言った。

「ふぁ。よく寝た」

 随分走った。ここまでくればさすがに平気だろう。

 アイリスは、どさっと地面に座ると言った。

「白薔薇は残りライフが少ないほど対象に与えるダメージの大きくなる魔法なんだよ。

 だから回復しなかった。そんでこの剣はベイリン。所有者を不幸にする代償に魔法・物理・両方の攻撃力を著しく上昇させる。

 私の状態異常バットステータスは使用なんだ。

 リリィは何らかのステータス透視ができるみたいで、すぐに気が付いているようだったけどな。だからあんなにクサくれたんだろ」

 いろいろ、驚かされることはあるがなんにせよ、アイリスにしろ、リリィにしろ、化け物じゃないか。一体どうなってるんだ。

 リリィは言った。

「あれ?翼竜ワイバーンは?」

 アイリスは言った。

「多分生きてんだろ。死んでるかな。まぁどっちでもいいや。危ないから逃げてきた。そんなことより、シュライバだっけ、おまえ案外いい男だな」

「は?何言ってんだ」

 突然の迷言に俺は困惑し、赤面する。

「逃げればいいものを。ゲームなんだからさ。まぁ面白いな。おまえら」

 俺たちは深い森進むと、やがて視界が開けた。生い茂る木々の先には、まばゆい陽光と共に巨大な城が待ちかまえていた。

※設定資料(読まなくても支障無)

「レポート‐ナイトメア・プロジェクト」


 コズミックフロント社に忍び込ませたある調査員からのレポートがここにある。

 このゲームを作り上げるまでには、いくつもの越えなければならない壁があった。社長の想う世界において重要なファクターの一つ、現実の通貨と同じようにゲーム内の通貨を流通させるシステムがある。

 これはプレイヤーが手に入れた、ゲーム内のアイテム各スポンサー会社が買い取ることで解決した。買い取ったアイテムに応じて自社から、広告料としてスポンサー会社に報酬を支払う。

 もっとも、このシステムで困難なのは、ゲーム上のシステムではなく、日本国内に存在する法律による賞金を制限する法律だ。

 違法性をつつき会社から金を絞り取ろうとする輩が現れることが予測された。

これは政治家に金を包ませることで解決させた。

 日本は出る杭は打たれるのが伝統だから、あくまで謙虚にいかなければなるまい。

 ただ今後ともこの問題に関してはシビアに観察を続ける必要がある。

 金が欲しいハゲタカは掃いて捨てるほどいるからだ。

 次に重要だったのは、宣伝だ。

 広告料には糸目をつけなかった。テレビ番組では特集を組ませ、専門家を雇いこのゲームがいかに優れているか、いかに魅力的かを伝えさせた。もちろんゲームに内在する脳への未知の影響については伏せさせた。

 人気があるタレントにも金を包み宣伝をさせた。これは確か日本語でいうと、ステマとかいう手法だ。人気があるタレントが宣伝をすれば、人気のないタレントは勝手に宣伝を始める。

 これにより市場は確保された。

 次に重要なのは世間にゲームという存在その物のイメージの払拭だ。既存の有力者にはゲームに対するマイナスイメージが強い。

 この問題に対する解決案は以下のものだ。

 国内で大々的に賞金のかかったゲームの大会を開き、プロのゲーマーを世間に認知、さらに周知させる必要がある。

 これらのことから「KING・OF・GAMER」略称KOGの開催を予定する。水面下でこの情報は伝達され、大手ゲーム会社3社はこぞってプレイヤーの育成に力をいれた。この中で重視したことは公にはできないが、プロプレイヤーにはビジュアル的な制約を与えた点だ。ゲームがオタクのものであるという点を払拭するため、各企業にはプレイヤーに対しスタイリストをつけるよう要請した。

 

 これらの計画によって計画の地盤は固まった。

 ただし最も重要な画期的なゲームシステムに関しては、情報がまるでない。機密レベル5。最重要機密に分類されている。社内でも極一握りの役員にしかその実態はしらされていないようだ。

 デバイスを用いるだけで人間の脳波と相互通信が可能なシステム。媒体を分解他者のエンジニアが分解してみても、まるで情報が得られない。エンジニア達はまるで未知の技術ブラックボックスのようだと、言ったそうだ。

 さらにこの機密レベルの高さはどうみても異常だ。独自の調査で国防総省がコズミックフロント社に何らかのアプローチをしてきていることを掴んだ。「ゲーム」と並行して進められている別の計画に関係があるのかもしれない。ナイトメア計画プロジェクト。彼らはそう呼んでいる。

 馬鹿げた話だが、私はこの計画と噂の永久落トワオチがなんらかの関係があるのではないかと踏んでいる。

 今後も詳細については調査の必要がある。


 この報告の二日後、調査員は消息をたった。

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