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永久落‐Lost

 あるゴシップサイトが掲載した情報が話題になっていた。今、巷で大人気の某ゲームの噂だ。メディアが報道する情報の大半はゲームの魅力と攻略情報。さらには誰が一千万を手に入れるのかという話題だ。だがその中で、都市伝説的に勢力を伸ばしている情報がある。永久落トワオチだ。文字通り一度ログアウトしたきり戻ってこなくなる現象だ。通常であれば、現実世界での生活が忙しいとか、飽きてしまったという理由で片付く。しかしこの盛況状態において、永久落トワオチなどという現象は考えずらかった。さらに都市伝説には続きがある。「あのゲームの中で死ぬと現実世界でも死ぬ」という噂まで流れだした。


STAGE4.5「シスター」

 キャラクターエディットは前もって決めていた。

 ピンク色のショートカット。際どい露出のある白いドレス風の「ホワイトリサヤ」という課金衣装。魔法防御に優れるが物理攻撃に対する防御力が極めて弱い。

 ゲームの購入前からこの衣装が気に入っていた。大好きなアーティストのsieluがデザインを担当している。多少値がはっても絶対購入すると決めていた。

 クラスは「シスター」回復を得意とする、白魔術士である。ゲームなのに他人の回復ばっかりやっていて楽しいのかと聞かれることがある。私は戦いとか、そういった争いごとは元々苦手だ。それでもこのゲームの世界に憧れるし、いろいろな世界を見てみたいと願うのは横暴かもしれない。それでも多少、他人本位であっても、前線で戦う仲間をサポートしたい、そう思う。

 現実の自分とは違う理想の自分になれる、そう信じてゲームを始めた。


 体が浮遊感に包まれる。やがて地に足が付く。瞼を開く。


 周囲はローマの外庭宮殿のような出で立ち白色の装飾の施された石柱が数本ある。その中央には噴水があり、その上に地球をかたどったモニュメントが浮いていた。

 ここは宮殿だ。プレイヤーは宮殿を通して召喚をされる。

 噴水を背に写真スクリーンショットをとっている者達がいる。私もいつか、あんな風に仲間と写真スクリーンショットをとったり、ふざけあったりしたいな。できるかな。

 目に映る景色は現実そのもので、グラフィックと呼ぶには美しすぎた。

 プレイヤーの記憶とリンクし映像を補正するシステムによるリアルグリッドといわれる技術の恩恵だという。

 景色に見とれていると、突然写真スクリーンショットを撮られた。ナイツオブワンダーランドのマスコットキャラクターである貴族の格好をした猫のペロータと道化師の格好をした少女マギーが愉快な動きをしながら現れると、今撮った写真スクリーンショットとガイドマップを送ってくれた。それらを渡すとペロータとマギーは愉快な動きで歩いていく。すると女の子のプレイヤーたちが嬉しそうに、はしゃぎながらペロータとマギーを取り囲むと飛びついたり、握手をしたり、写真スクリーンショットを撮ったりしていた。

 歩みを進めると、西洋の街並みを再現した建物が周囲に立ち並ぶ。

 この場所はミコアのバザール。商業地区となっていて市場が開かれている。ここに出店しているのは、現実の様々な企業で、既存の商品とコラボレーションされている。

 カップラーメンや清涼飲料水、お菓子にカロリーメイター、ヌイグルミやフィギュアにキーホルダー。鞄や洋服から何まで、様々な商品を扱っている。

それらを購入すると商品が現実に郵送されて届くと同時に、ゲーム内で使用可能なアイテムとしての効果も持つ。

可愛げなヌイグルミや食玩を見て回った。

 これらは、購入することで使役獣サモンとして使役できる。ソルトポテチと、サクラグミを購入した。

 ポテチはライフ、グミはマジックポイントの一定時間増加の補助ブースト効果がある。

 いろんなものが目移りしてしまって、あれもこれもほしくなってしまいそうなので、ひとまず先を急ぐ。

 

 バザールを吹けると広大なフィールドが広がっていた。視界の先には様々なエリアを代表する建物が見て取れた。

 中でもひときわ目立つのはこの世界のイメージシンボルでもある巨大な城だ。

 プレイヤーは地図を頼りに思い思いのエリアを目指していく。

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