思考機械-AI
情報の海に生じた世界。幻想の世界において、人々は際限なく力を、その「極端」を求める。
持てる全ての能力、戦略、戦術、あらゆる「力」を駆使し、最強のゲーマーの座をかけて戦士たちが、集う。
あるところに優秀な研究者たちがいた。
研究者たちは最強のプログラムを作ろうとした。
システム上の最強の理論。それを学ぶ上でどうしても必要なモノがあった。
最強の対人システム、ディープブルーのシステムだった。
研究者たちは頭を抱えていた。
彼らは始めは高度なAIによるシステム最適化を行おうとした。しかし実際に戦場で判断しなければならない要素が多すぎた。
攻撃パターン、使用可能な武器な魔法やスキルの数、その全てを網羅した上で、さらに相手の特性判断、さらには地形や環境判断、さらには未知の可能性を含む多くの事象を解析した上で最適解を求めると、計算処理に時間がかかってしまう。さらに環境は刻一刻と変貌していく。したがってできあがったのは、いたって平凡なプレイヤー以下のモノになってしまった。
そこで、無駄な思考を省き、動作も一定に絞り、きめられた基本動作に絞った。戦闘思考を単純化させた。これでやっと中程度のプレイヤーであれば同等まできた。ただそれは、結局通常のCPU程度のモノだった。
考え抜いた彼らはすがるようにあるものを参考にすることにした。
最初の案には出ていたが、ゲーム性の違い、戦闘判断の多様性から、参考にするのは難しいだろうと言われていた。
しかし実験をすすめるうちに、人間の優れた判断能力の前にどうしても、自分たちの作ったモノでは敵わなかった。
人間の判断と同等のことができるプログラムを作成するには時間が足りないうえに、容量が足りなかった。
これらのことから、優れた対人プログラムの研究は頓挫しかけていた。
何せ、人間一人分の思考に近い情報量が求められていたからだ。
そんな中、支援者の用意した、相談役はこう言った。
「アレを参考にするといい」
それからは彼らはどうしてもそのプログラムを参考にしたくてたまらなくなった。
人間に勝つことのできるプログラム。
思考戦闘機械「ディープ・ブルー」だった。
自己の置かれている基本状態を6種類16種類の駒、さらに対象の置かれている基本状態を6種類16種類の駒で表し、刻一刻とかわる戦況を各、盤上の状態に記憶さることで、あらかじめ10の50乗の戦況に分類させた。
さらに、その上で、相手が講じた、またはこれから講じるであろう策に対しこちらがどう対応すべきかの判断をディープブルーにさせている。
やがてできたのが思考戦闘機械「蒼」だった。




