予定変更です
ちょっと短いかもしれません。
結局、俺は勇者パーティーに入らない事になった。
国王曰く、「自分から志願しない限りは君がどんなに力を持っていても、そんな事にならないから安心してくれ」だそうだ。
大体の事は話し終えたところで、団長が微妙そうな顔をしていた。
「どうしました団長?何か気になる事でも?」
「一つ聞いていいか?ヒバリは勇者が嫌いと言ったが、キョウスケ達も嫌っているのか?」
何を言っているのだろうこの人は?
「別に嫌ってませんよ。京介達は天職が勇者なだけですし」
「同じじゃないか?」
「全然違いますよ。別に天職=職業や立場って訳じゃないんですから」
天職が剣士のパン屋さんとかもいるだろうし。
「他には何か質問は有りますか?話しは大体終わりですが」
特に質問は無い様だ。
「隠していた事を話して貰って済まかった。ヒバリ君」
ルーデウス王がそう言ってくる。本当にこの人は良い人だと思う。
「別に構いません。どうせ、その内話したでしょうし」
「そうか。そう言ってくれると助かる。ところで、君や二人の学園の件だが」
「何か不都合でも有りましたか?」
「そうでは無くてな。私が学園に入って貰おうと思ったのは、君達に何か経験をして力を付けて欲しいと思ったからだ。だが、君達は全員強い。紹介状を書けば、直ぐに冒険者として遣って行けるぐらいだが、君達はどうする?」
改めて、学園に入るかどうかを聞いている様だ。
「学園には入ろうと思っています。この世界の学園に興味がるので」
俺の答えにルーデウス王は嬉しそうに笑った。
「あいわかった。では、手配しておこう」
「よろしくお願いします」
さて、そろそろ部屋に帰るか。
「・・・つまり、お前の事がバレたと」
「そうゆうことになるな」
部屋に戻って、二人にルーデウス王達との話し合いについて教えた。
「雲雀、俺は言ったよな?絶対にバレるなと。なあ、言ったよな?」
こめかみに青筋を浮かべながら質問してくる雄一。
・・・なんか雄一の背後に刀を持った般若が見えるんだけど。
「一応、言い訳はさせてやる」
・・・般若が俺を見つめてくるんだけど。
「感覚系スキルを甘くみていました。直感スキルなんてチートがあるとは思わなかったんです」
これは本当だ。俺はちゃんと実力を悟られない様に隠していた。団長に直感スキルなんて物が無かったら、バレる事は無かったと思う。
「つまり、スキルの所為だと?」
「そうだ」
・・・般若が刀を構えてきたんですが。
「言いたい事はそれだけか?」
「いえすいません俺の所為です俺が無知だからですこの通りですだからどうか命だけはお助けくださいお願いします後生ですから」
雄一のドスの効いた声と視線を受けて、俺は直ぐさま土下座する。
プライド?何それ美味しいの?人生は命あっての物種さ。
・・・だからお願いだ雄一!そのスタ○ドを消してくれ!なんか刀振り回してこっちに近づいてきてるから!!
ちょ、危な・・・ギャーーーー!?
閑話休題。
「えっと、バレちゃったのは仕方ないよね。でも、これからどうしようか?」
雄一とそのスタ○ドに地獄の様な折檻を食らっていたが、翔吾のこの一言によって終了となった。
翔吾さんマジ天使。・・・男だけど。
「一応、他言無用って事にはなってるから、情報が広がることは無いぞ」
「話しを聞いた全員が約束を破らない保証なんて何処にある?」
当然の疑問だ。だが、ちゃんと保険は掛けてある。
「安心しろ。あの場にいた全員に【ギアス】って魔法を掛けてある。これは制約の魔法でな、誓ったことを無意識のレベルで破ることを拒絶する。だから、他言無用の約束は守られる」
「「うわぁ・・・」」
俺の保険の内容に二人がドン引きしていた。
「お前、国の重鎮達にそんな魔法掛けるとか頭大丈夫か?」
「バレたら確実に極刑ってレベルだよそれ」
「大丈夫だよ。無意識だって言っただろ。魔法が掛けられてる事自体気付かない」
それでも不安そうな二人に、俺は世界の真理を教えることにした。
「ばれなきゃ犯罪じゃないんですよぉ」
「いきなりネタをぶっこむな!!」
思いっきり雄一にツッコまれる。結構良い音鳴ったな今。
「実際【ギアス】は念の為だ。あの人達は恐らく約束を守るだろうし」
「そうなの?」
「あの場にいたのは、一国の王であるルーデウス王が信頼できると言った人間だけだ。あの人は暗君じゃない。むしろ、名君と呼ばれる類いの善王だ。人を見る目が無いなんて事は有り得ない」
人を見る目は上に立つ者の必須技能だからな。
「それに、直感スキルを持っている団長が何も言わかった。それだけである程度信用できる」
「だったら、魔法なんて使って危ない橋を渡る必要なんて無いんじゃないの?」
「そうでも無いさ。本人にそんな気がなくてもうっかり言ってしまうなんて事はあるかもだし、それこそ、俺が騙されている可能性もある。だから保険を掛けておく事に越したことはない」
言わないだろうと信用はしていても、絶対に言わないと断言する程信頼はしていない。
「それに、いくら善王とその王が信頼している部下とはいえ彼等は王であり貴族だ。私欲の為に利用する事は無くても、国や民の為とあらば、俺達を利用するだろう」
それが出来ないのならばそれは王では無い。
「二人には悪いけど、厄介事に巻き込まれる可能性が高くなった」
頭を下げる。こんな事にするつもりは無かったが、結果としてなってしまったから。
「そんなに気にしてないよ。こんなの何時もの事だしね」
「どうせ何とかなるだろし」
二人は笑う。気にするな、関係ないと。
「有り難な」
短くだがしっかりと礼を言って、二人に今後の行動を伝える。
「最初はこの世界の事を調べると決めたが、予定を変えるぞ」
力を付ける必要がある。厄介事に対応する為に、面倒事を跳ね除ける為に。
「力を付けるって、どうやって?」
翔吾の疑問。そんなの簡単だ。ステータスなんて概念がある世界だ。答えなんて決まってる。
「レベルを上げるぞ。レベリングだ」
雄一は新しいスキル、スタ○ドLV10を手に入れた!