☆肆
山崎すすむ
の漢字がでなかったので
[山崎丞]
で進めます。
** 肆 **
『いったぁ!!』
オレは地面に突っ込み叫んだ。
それから暫くして、辺りを見渡した。
『オレマジでタイムスリップしたんだ…すごっ!!』
辺りは木ばかりで、少し歩くと古い民家が見え
ビルや電線など何1つも無い。
チャキ
オレが感動に浸っていると、妙な音が聞こえた。
それと同時に殺気も感じられる。
ゆっくりと後ろを振り返る。
そこには、刀を抜いているイケメンが…っておい!
〔そこ、関係なくね!?しっかりしろ、自分!!〕
?「…なぜ1人で百面相している…」
『あっ忘れてた。あんた誰?』
?「…怪しい奴…」
?「あ─いた。一君何してるの?隊士達が捜してるよ。」
一「総司か…悪い、怪しいや「あれ、君誰ですか?」…」
イケメンがこちらを見ている。
『オレ!?オレは光。』
総「へぇ…でどうして君は此処にいるの?」
あれ、さっきより殺気が増したような─
一「怪しい奴…屯所に連れて帰るぞ…」
総「そうですね♪行きましょう。」
総司はオレの腕を掴み、歩いていく。
〔屯所ってもしかして…[新選組]か…〕
オレは考えながら歩く。
歩いていると言うより、引きずられている。
〔……。〕
総・一(……。)
ブチッ
『…あーもう限界!!何で引きずるかなあ!?』
オレは、叫び総司の腕から逃れた。
『何なんだ!?貴方は人を引きずるのが趣味な訳!?』
そして、総司に向かって早口で言い放った。
総「…ぷはっ…アハハ…」
突然笑だした総司。
『何?』
総「いや、君面白いですね♪」
『馬鹿にしてる?総司さん?』
総「…沖田…貴方に総司と呼ばれたくありません。」
総司の眼が鋭くなる。
『そう言えばそうだな。ごめん。知らない奴からは呼ばれたくないよな。』
オレは素直に謝る。
一「…取り敢えず、屯所に行くぞ…」
今まで黙っていた一が言いながら歩き出した。
それに沖田さんも続く。
オレは慌てて追いかけた。
〔迷子だけにはなりたくない!!〕
必死に追いかける。小幅が違うせいか、どんどん離される。
ついには走って追いかけた。
『…はぁ…はあ─』
やっと追い付いた時にはすでに屯所だった。
[新選組]
でかでかと書いてある看板
〔芹沢鴨暗殺事件…終わったんだな─〕
なんだか哀しい。
一「此処だ…副長俺です…」
?「斎藤か、入っていいぞ。」
一「失礼する。」
総「ほら君も入る。」
沖田さんに押され部屋に入る。
?「ああ゛総司てめぇもいたのか。…でなんだその餓鬼は?」
総「一君が見つけ、怪しいので連れてきただけですよ♪」
?「そうか、斎藤悪いが幹部を集めてくれ。」
一「御意…」
一言返事をすると一は出ていき、一の前にいた人が見えた。
眉間に皺を寄せた目付きの鋭い人だ。
〔さっき、副長って呼ばれてたから土方歳三か…それにしても…〕
じっと土方の顔を見る。やっぱりイケメンだ。
〔…ここはイケメンが多い!!〕
?「なんだ?餓鬼。」
『オレは餓鬼じゃねぇ、光だ…刺鬼光。』
バタバタ
ドタドタ
ダダダダ
いくつもの足音が聞こえてくる。
?2「歳、話ってなんだ?」
歳「ああ、近藤さん。この餓鬼のことだ。」
近(うん?)
近藤さんと呼ばれた男はオレの方に首だけ向ける。
歳「斎藤と総司が怪しいだとよ。」
?123「「「何処が怪しいんだ?」」」
近藤さんの後ろにいた3人が言った。
歳「てめぇらあ!!うるせぇ静かにしやがれ!!」
『…あの貴方が1番煩いです。』
オレは耳を押さえながら言った。
歳「ああ゛…すまねぇっておい!!」
『何ですかぁ、土方さん。』
歳「なっ!!てめぇ何で俺の名を!!」
『此処にいる人達なら多分全員わかりますよ♪
あっ天井裏にいる人も含めて♪』
その瞬間、幹部達全員がオレに殺気を向けた。
1人を除いて。
歳「…間者か!?」
『ハズレオレは間者ではないね♪』
近「君の名は?何処からきたんだい?」
殺気を向けて来なかった近藤さんが聞いてくる。
『オレは刺鬼光。未来からきました。』
幹「「「「は?」」」」
『だから未来からき「ふざけてんのか?」…』
土方の殺気が増す。
『いえいえ、真剣に。』
歳「信じられるかあぁぁ!!」
『最初から信じて頂けるとは思ってませんよ。
まずは、証拠として貴方たちの名前を当てます。』
歳「…言ってみろ。」
『えっと、オレの目の前に居るのが近藤勇で局長、そして貴方は副長の土方歳三。又は…豊玉さん♪』
オレは土方さんを見てニヤリと笑い言った。
歳「なっ!?」
土方の顔が紅くなっていく。
総「…ぷはっ…アハハ君も知ってるんですね♪」
?「なあ総司?豊玉さんってなんのことだ?」
総「それはですね…土方さんのし「あぁぁぁぁ!!」…」
総司の声は土方の声で消えた。
総「何ですか、土方さん?僕の話を遮るなんて。」
歳「はぁ…今度甘味奢ってやるから。」
総「約束ですよ♪」
『次いいですか?』
オレは遠慮がちに言う。
歳「ああ。」
土方は思った。
無駄な時間だったと…
『それじゃぁ次は…』
総「あ、はい僕はわかりますか?」
『さっき名乗ってましたよね…貴方は沖田総司。三段突きが得意ですね。』
総「はいっ♪」
『それから1番先に会った無口なのが斎藤一。左利きで…平手平打ちが得意。』
一「……ああ。」
『次はそこの3人。
左側が永倉新八で流派は神道無念流。
真ん中が藤堂平助。背が低いのが悩み?
右側が原田左之助。切腹した時の傷を自慢している。ただ1人の槍使い…』
永・藤・原「「「おお!!すごいな。」」」
その中で、永倉さんがオレの背中を叩く。
『あの痛いです。』
永「まぁまぁ、気にするな。」
ニカッ
っと笑いながら言う永倉。
イラッ
『痛いって言ってるじゃないですか!?
止めてください!それとも、貴方は馬鹿なんですか!?』
オレは一気に言って永倉さんの手を叩く。
永「…いってぇ!!」
藤「今のはぱっつあんが悪い!!」
藤堂が言うと原田が
原「そうだぞ新八、刺鬼に謝れ。」
オレはその瞬間、原田を睨んだ。
原「えっ何でオレが睨まれてる訳?」
『刺鬼って呼ぶな!!苗字は嫌いなんだ…』
最後は消えそうな声で言ったオレに
原「わ、わりぃ光。」
原田は直ぐ様謝る。
『いいよ♪言ってなかったオレが悪いし♪』
──────
微妙な空気が流れる。
歳「…光、続きだ。」
そんな空気を破ったのは土方だった。
『そうだった。…えっと近藤さんの左側に座っているのが山南敬助。文学が得意。マジで優しそうですね♪』
ニコッ
と土方に向けた笑みと違う笑みを浮かべる。
山「っ//…。」
『あれ?違いましたか?』
山「あ、すみません。あってますよ。」
『よかったぁ。次は…』
チラッ
『天井にいる監察方の山崎丞。』
シュタ
天井から山崎は降りてきた。
丞「何でわかったんや?
気配は消しとったはずやで。幹部の皆はんもあんまわいの気配は気付けへんのに。」
『あーオレが気配に物凄く敏感やから(笑)消すんもできるけど。』
何となくで関西弁で答えてみた。
丞「そか。てか光、関西弁喋れるんか?」
『少しだけやな。関西出身って訳じゃないし♪』
丞「ほんなら、普通に喋りぃ。面倒やから。」
『はーい(笑)』
歳「…何和んでるんだ山崎?」
丞「あ、そやった。すんません。」
そう言うと
フッ
一瞬で天井に消えた。
歳「話を戻すが、本当にてめぇは未来から来たんだな?」
『最初に言ったじゃないですかぁー?
ああ、それとも聞いてなかったんですか?』
小馬鹿にしたように土方さんをみた。
眉がピクピクしている。
〔あ、ヤバイ怒った?〕
そう思い、
『冗談ですよ。マジで未来から来ました。』
藤「…なぁ『マジで』ってなんだ?」
『マジってのは本当って意味だ。』
総「へぇ…未来って変わった言葉使ってるんですね♪」
歳「少しは黙れ!!俺が話してるんだ!!」
『……。』
幹「「「……。」」」
歳「─フゥ…それで他の証拠は?」
『ありますよ♪例えば…あった…これ。』
バッグをあさり、携帯電話を土方に渡す。
歳「なんだこれ?」
『携帯電話です。未来ではそれを使って遠くの人と会話をすることができます。』
近「…歳、そろそろ信じてやったらどうだ?
」
歳「ッチ…わぁーたよ。信じてやる。」
近「歳!!」
近藤は嬉しそうに土方の名を呼ぶ。
歳「但し、此処で隊士として働いてもらう。」
総「土方さん、入隊試験やるんですか?」
『入隊試験…って何するんだ?』
歳「てめぇには試合をしてもらう。平隊士とだ。」
総「えっ僕が殺りたいです!!」
歳「…総司…殺すきか!!」
総「冗談ですよ、嫌だなぁ土方さん。」
歳「もういい。行くぞ光。」
土方が言うと、幹部も部屋を出ていく。
『行くって何処に…?』
歳「はぁ?試合すんだから道場に決まってんだろ。」
『道場…』
〔ああっ…オレ稽古してねぇ!!よくみたら、オレ胴着のままだし!〕
『早く行きますよ、土方さん!!』
何故か急に急ぎだしたオレに驚く土方。
『ほら早く!!』
土方さんの腕を引っ張りながら、オレは幹部の後をついていく。
道場に着くと、オレは竹刀を勝手に拝借し、幹部をみた。
バチッ
沖田さんと目が合う。
『沖田さん、稽古付き合って下さい!今日の分やってないんですよ。お父さん怒らせるのごめんだから!!』
総「今からですか?入隊試験は?」
『あ……』
総「…忘れてましたね。土方さん、やっぱり僕がやってもいいですか?」
歳「ああ、構わねぇ。あいつが指名したしな。」
総「光さん、やりましょう♪」
『はいっ!!』
総(毎日稽古してたみたいですね。どのくらい持つでしょうか?)
〔もしかしたら、三段突きが観られるかも!!〕
2人は全く違うことを考えながら、竹刀を構えた。
幹「「「「…っ!?」」」」
皆が驚いた理由。
それは光の構えだった。
全く隙の無い綺麗な構え。
『審判!!』
歳「…始め!!」
──沖田目線
総(全く隙がない!!)
『こないなら、此方から行きますよ!』
タンッ
光さんが床を蹴る音。
総(速い!!)
何とか避ける。
だが、光さんの攻撃は続く。
総(本気を出しますか…)
歳「総司の奴、本気でやる気だ─」
近「なんだって!?止めないと!!」
歳「待て、近藤さん。光の顔を見てみろ。」
近「……。」
近藤は黙った。
光が楽しそうにやっていたからだ。
総「…クスクス…久し振りに楽しめますね♪」
『そうですね♪』
僕は殺気を増やす。
それを感じたのか、光さんは構え直し、殺気を出し始めた。
──光目線
〔沖田さん本気だ。オレも少し本気でやるか…〕
オレは殺気を出す。
バタッ
バタッ
近くにいた隊士達が倒れていく。
〔早目に終わらせないとな─〕
そう思い、
タンッ
床を蹴り、素早く沖田さんに竹刀を振る。
バシッ
ビシッ
バシッ
暫く打ち合いが続く。
〔そろそろかな♪〕
オレは平手平打ちの構えをとる。
隊「…なぁあれは斎藤組長の技じゃないか…」
ヒソヒソと話す隊士達。
だが、1番驚いているのは─斎藤だ。
誰にも教えたことの無い技。
初々さを感じるが、完璧な構えだった。
一(……。)
総「なっ!?それは一君の技…」
『そうですよ。でも昨日覚えたばかりで、あってるかわからないですけど。』
総「やっぱり、君は面白いですね♪それじゃぁ僕も─」
沖田さんの目付きが変わり、三段突きの構えをとる。
〔三段突き…綺麗な構え。〕
両者とも動かない。
カタッ
壁にあった竹刀が倒れる音─
タンッ
ダンッ
それを合図に、2人は床を蹴る。
タンッ
ビシッ
歳「勝者─光!!」
土方の声が道場に響く。
幹「「「総司が負けた…?」」」
総「強いですね、又今度やりましょう♪」
『はいっ!!』
総「ですがまさか、あそこで構えを解くなんて。」
『あれですか…あれは沖田さんの三段突きを避けるためですよ。』
───回想───
オレは沖田さんが三段突きをする前に、
床を蹴り構えを解き横に回り、
沖田さんの首に竹刀を当てた。
───回想終了───
『1秒でも遅かったらオレが負けてたかも知れませんし…それに「てめぇらいつまで話してるんだ!!
もう1度俺の部屋にこい!!」…」
オレの話を遮る土方さん。
〔もういい!!呼びし捨てにしてやる〕
怒りを悟られないよう、
『今いきます♪』
笑顔を浮かべて返事をする。
歳(…笑顔が怖い。まるで総司みたいだ。)
土方は光の笑顔をみて背中に冷や汗がつたう。
部屋に戻ると幹部の人達は最初にいた場所に座っていた。
近「よし、揃ったな。改めて宜しく。光さん、今日から新選組の仲間入りだ。」
『宜しくお願いします!あのすみ「おい、そこの3馬鹿。こいつに隊士の部屋を教えてやれ。」…』
〔……〕
ブチッ
幹「「「「ブチッ!?」」」」
その音に一斉にオレを見る幹部。
『さっきから何だ、土方?オレの話を遮るなあぁぁ!!』
歳「は?何で呼び捨てにされなきゃぁいけねぇんだぁ!!
『オレの話を遮る空気の読めないやつは呼び捨てで十分だから?』
歳「…で、話ってなんだ?」
『やっと聞いてくれるんですか。オレは女です!!』
幹「「「「は?」」」」
永・藤・原「「「おんなー!?」」」
『はい、一応。』
総「どうします、土方さん?」
歳「どうするって女は隊士に入れる訳にはいかねぇ。」
総「でも入隊試験したんですよ。武士に二言はないですよね♪」
歳「…わぁーたよ。こいつには隊士として男装させる。」
一「…それは良いんですが副長。こいつの部屋はどうしますか…?」
幹「「「「あ…」」」」
『大部屋で雑魚寝ですよね?オレは構いませんよ。』
近「それは駄目だぁ!!私が許さん!!」
永「そうだぞ光。中にも男色だっているんだ。」
『へぇ、やっぱり男色っているんだぁ…』
幹「「「「はぁ…」」」」
呑気に言うオレにため息をつく幹部達。
歳「生憎、空いている部屋はねぇ…誰かと相部屋でいいだろう。丞、お前の部屋で良いか?」
天井に向かって言う土方。
シュタ
丞「わいはかまへんで。」
歳「よし、光。てめぇは丞と相部屋だ。」
『だからオレは大部屋でい「副長命令だ!!」…わかりました。』
丞「ほんならついてきぃ。部屋に案内してやるさかい。」
『はーい。それじゃぁ、失礼しました。』
ペコッ
頭を下げ、土方の部屋を後にする。
こうしてオレの入隊は決まった。